俺とおっさんは地上の個室でエルフの買い取り契約書を書いていた。
俺の希望で今日の夜に引き取るので前払いで大金貨七枚と金貨五十枚、夜に残りの大金貨七枚と金貨五十枚を払う契約書にサインしていた。
「えーではお話しさせていただきます。先程言った通り裏ギルドが関わっています。よろしいですね?」
「問題ねーよ。話して貰う代わりに代金多めに払うって」
結局あのエルフは大金貨十五枚で買い取る事になった。
出費は高いが仕方ない。
「で、裏ギルドが何でエルフと精霊を狩ってる?」
「……正確に言いますとエルフはおまけで、彼らの狙いは精霊です。この国を治める貴族様が病で床に伏しています。その結果、次の公爵争いによって精霊狩りは始まりました」
「なるほど、つまり精霊を狙っているのは精霊契約出来てない貴族共か。しかしなら何故精霊だけを狙わない?」
「簡単な事ですよ。精霊はエルフと共にいる事が多い、なのでエルフを狙った方が効率的なのですよ。残ったエルフは奴隷商に、売り物の精霊は貴族様の方々に売られていったのです」
ふーん、確かに言いたい事は分かる。
でもそれは既に契約済みの精霊を売っていると言うこと、再契約は前の契約者と契約を破棄しないといけないはずだ。
もしも破棄されてないとしたら……
「貴族の方々が契約に成功した。と言う話しは聞きましたか?」
「いえ聞いていません。どの精霊も無理矢理連れて来られているので契約以前の問題が多く出ている様です」
やっぱり契約はまだ切れてないと見るべきだな。
精霊との契約は簡単には切れてない、魂の契約程ではないがかなり強い契約だ。
なら先に契約した精霊を解放してからエルフを探した方が楽だな。
「精霊と契約出来た者は少ない様ですね」
「ええ契約出来たのは子供の頃に契約した方だけです。今裏ギルドに依頼した貴族様はダメな様です」
「ありがと店主。いい情報だった。それとも追加で金を払えばどの貴族かも教えてくれるのか?」
「申し訳ありません。流石にそこまでは……」
「そうか、悪かったな。ではまた夜に来る」
「ありがとうございました」
なかなか面白い話が聞けた。
俺は店を出て今日の宿を探す事にした。
宿を探しながら歩いていると気配が二つ追ってくる。
俺は気付かない振りをして路地裏に入る。
気配も付いてきたので振り返って聞いた。
「あんたらがアル長老が言ってた人?」
「はい、今回我々の作戦に協力していただきありがとうございます」
予想通りだ。
追ってくるにしては気配を消そうとしている感じがしなかった。
「それで、何話す?」
「先程奴隷商と話していた内容をお聞きしたい」
「分かった」
情報の共有は大切なので事細かに伝えた。
あくまで狙いは精霊であり、エルフはおまけだと言うことも。
「我々はおまけだと!」
静な声で怒りを表す男のエルフ。
もう片方はずっと何も喋らないが怒った気配は感じる。
「それとエルフを一人買えた。名前はウィロス・ラエ・ソロンだと。知ってる?」
「その方はアル長老の娘です!村にとって重要なお方ですよ」
「ならよかった。今夜彼女を買うから村にはお前らが帰してやってくれ。俺はオークションと貴族の精霊について調べるから護衛はそっちで頼む」
「分かりました。今夜ご同行すれば良いでしょうか?」
「いや止めとく。店を出た直後襲われたら面倒だ。その時お前らを守る余裕があるとは限らない」
「……分かりました。では何処かで待ち合わせになりますがどこにしましょう」
「それはそっちが決めていいよ。送るのはお前らだ」
「ではリュウ殿、この路地裏で会いましょう」
「分かった。そっちも気を付けろよ」
「では」
二人はまた人混みに紛れて何処かに行った。
さてと、もう一組俺を見てる連中がいるな。
とりあえず楽そうな奴を捕まえるか。
近くのゴミ箱の蓋を開けると子供が居た。
「……」
「……」
目が合ったが俺はそっと蓋を閉め直した。
「何で無視するんですか!?」
「いやごめん。家無しの子供だったとは思ってなかったから……」
「家無しでもなければ子供でもありません!私は今年で十九歳です‼ってわわわ‼」
ゴミ箱から身を乗り出したせいかバランスを崩す子供。
パッと見て俺より年上に見えないが……
背は俺の肩にも届かない身長、起伏の無い身体、ショートカットの赤毛の上には主張するようなアホ毛……うん、子供だろ。
俺より年上とかありえねー。
「えっと嬢ちゃんお駄賃やるから今日は帰んな」
「お嬢ちゃんも止めて下さい!私は『光の手国』の情報部です‼これでもエリート何ですよ」
無い胸を偉そうに反らすのは勝手だが相方っぽい気配はスンゲー残念そうな気配が出てるぞ。
ん?ライトライト?
「それ俺の故郷じゃん。ここに何の用事だよ」
「え、そうだったんですか?なら私達に協力していただけませんか?」
「何でだよ」
「だって同郷でしょ?祖国の為に協力して下さいよ」
「……内容次第だ。で、何に協力しろって?」
「この国で不正な奴隷売買、精霊の乱獲です。特に精霊は大問題です。このまま精霊が人間に協力して貰えなくなった場合人類は魔物に敗北します。どうか情報だけでもお願いします」
……あ~あ、何で俺は覚悟ある女の目に弱いんだろ?
「とりあえず話はゴミ箱から出てからにしろ」
「…………あ、忘れてた」
顔を赤くしながらゴミ箱から情報部の女は出てきた。
俺の希望で今日の夜に引き取るので前払いで大金貨七枚と金貨五十枚、夜に残りの大金貨七枚と金貨五十枚を払う契約書にサインしていた。
「えーではお話しさせていただきます。先程言った通り裏ギルドが関わっています。よろしいですね?」
「問題ねーよ。話して貰う代わりに代金多めに払うって」
結局あのエルフは大金貨十五枚で買い取る事になった。
出費は高いが仕方ない。
「で、裏ギルドが何でエルフと精霊を狩ってる?」
「……正確に言いますとエルフはおまけで、彼らの狙いは精霊です。この国を治める貴族様が病で床に伏しています。その結果、次の公爵争いによって精霊狩りは始まりました」
「なるほど、つまり精霊を狙っているのは精霊契約出来てない貴族共か。しかしなら何故精霊だけを狙わない?」
「簡単な事ですよ。精霊はエルフと共にいる事が多い、なのでエルフを狙った方が効率的なのですよ。残ったエルフは奴隷商に、売り物の精霊は貴族様の方々に売られていったのです」
ふーん、確かに言いたい事は分かる。
でもそれは既に契約済みの精霊を売っていると言うこと、再契約は前の契約者と契約を破棄しないといけないはずだ。
もしも破棄されてないとしたら……
「貴族の方々が契約に成功した。と言う話しは聞きましたか?」
「いえ聞いていません。どの精霊も無理矢理連れて来られているので契約以前の問題が多く出ている様です」
やっぱり契約はまだ切れてないと見るべきだな。
精霊との契約は簡単には切れてない、魂の契約程ではないがかなり強い契約だ。
なら先に契約した精霊を解放してからエルフを探した方が楽だな。
「精霊と契約出来た者は少ない様ですね」
「ええ契約出来たのは子供の頃に契約した方だけです。今裏ギルドに依頼した貴族様はダメな様です」
「ありがと店主。いい情報だった。それとも追加で金を払えばどの貴族かも教えてくれるのか?」
「申し訳ありません。流石にそこまでは……」
「そうか、悪かったな。ではまた夜に来る」
「ありがとうございました」
なかなか面白い話が聞けた。
俺は店を出て今日の宿を探す事にした。
宿を探しながら歩いていると気配が二つ追ってくる。
俺は気付かない振りをして路地裏に入る。
気配も付いてきたので振り返って聞いた。
「あんたらがアル長老が言ってた人?」
「はい、今回我々の作戦に協力していただきありがとうございます」
予想通りだ。
追ってくるにしては気配を消そうとしている感じがしなかった。
「それで、何話す?」
「先程奴隷商と話していた内容をお聞きしたい」
「分かった」
情報の共有は大切なので事細かに伝えた。
あくまで狙いは精霊であり、エルフはおまけだと言うことも。
「我々はおまけだと!」
静な声で怒りを表す男のエルフ。
もう片方はずっと何も喋らないが怒った気配は感じる。
「それとエルフを一人買えた。名前はウィロス・ラエ・ソロンだと。知ってる?」
「その方はアル長老の娘です!村にとって重要なお方ですよ」
「ならよかった。今夜彼女を買うから村にはお前らが帰してやってくれ。俺はオークションと貴族の精霊について調べるから護衛はそっちで頼む」
「分かりました。今夜ご同行すれば良いでしょうか?」
「いや止めとく。店を出た直後襲われたら面倒だ。その時お前らを守る余裕があるとは限らない」
「……分かりました。では何処かで待ち合わせになりますがどこにしましょう」
「それはそっちが決めていいよ。送るのはお前らだ」
「ではリュウ殿、この路地裏で会いましょう」
「分かった。そっちも気を付けろよ」
「では」
二人はまた人混みに紛れて何処かに行った。
さてと、もう一組俺を見てる連中がいるな。
とりあえず楽そうな奴を捕まえるか。
近くのゴミ箱の蓋を開けると子供が居た。
「……」
「……」
目が合ったが俺はそっと蓋を閉め直した。
「何で無視するんですか!?」
「いやごめん。家無しの子供だったとは思ってなかったから……」
「家無しでもなければ子供でもありません!私は今年で十九歳です‼ってわわわ‼」
ゴミ箱から身を乗り出したせいかバランスを崩す子供。
パッと見て俺より年上に見えないが……
背は俺の肩にも届かない身長、起伏の無い身体、ショートカットの赤毛の上には主張するようなアホ毛……うん、子供だろ。
俺より年上とかありえねー。
「えっと嬢ちゃんお駄賃やるから今日は帰んな」
「お嬢ちゃんも止めて下さい!私は『光の手国』の情報部です‼これでもエリート何ですよ」
無い胸を偉そうに反らすのは勝手だが相方っぽい気配はスンゲー残念そうな気配が出てるぞ。
ん?ライトライト?
「それ俺の故郷じゃん。ここに何の用事だよ」
「え、そうだったんですか?なら私達に協力していただけませんか?」
「何でだよ」
「だって同郷でしょ?祖国の為に協力して下さいよ」
「……内容次第だ。で、何に協力しろって?」
「この国で不正な奴隷売買、精霊の乱獲です。特に精霊は大問題です。このまま精霊が人間に協力して貰えなくなった場合人類は魔物に敗北します。どうか情報だけでもお願いします」
……あ~あ、何で俺は覚悟ある女の目に弱いんだろ?
「とりあえず話はゴミ箱から出てからにしろ」
「…………あ、忘れてた」
顔を赤くしながらゴミ箱から情報部の女は出てきた。