精霊と犬が先頭になりエルフの村に向かう。
 俺は安全のためと言って一番後ろにいた。

 捕まっていたエルフのほとんどが女で残りは子供ばかり、本当に気に入らない。
 今回助けたエルフは女四人と子供二人、他にも人間の国に大勢いるか分からないがこれ程腹が立つ事はない!

 そう思いながら歩くと霧が出てきた。
 精霊とエルフ達は気にせず真っ直ぐ歩く。
 俺はエルフ達の気配を見逃さないように気を付けながら追いかける。

 意外と霧は早く晴れた。
 晴れた先に少し大きい村があった。
 ここがエルフの村か……全体の雰囲気が暗い。
 これも密猟の影響か。

「リュウ!こっちなのだ!」
 オウカが手を振っているのでオウカの下に行く。

「よう。上手くエルフの長老に会えたか?」
「うむ。会えたのだ。ただつい先程も何人か人間に見付かったと言って落ち込んでいる」
「それってあいつら?」
 さっき助けたエルフ達を指差す。

「それは長老に聞かねば分からないのだ。ただ人数は合っているから大丈夫だと思うが……」
 オウカがエルフ達を見て言うが実際のところはどうなんだろ?

「エレン‼」
 エルフの男性が子供に抱き着いた。
 親子だろうか?
 確かあの子供は俺に精霊を逃がすのを手伝うといった女の子だ。

「大お爺様、苦しいです……」
「心配したぞ……お前まで居なくなったら私は……」
 ……やっぱエルフって見た目若いのが多いのな。
 いやそれ言ったらうちの嫁たちもなんだろうけどさ。

「あの人が助けてくれました」
 エレンと呼ばれたエルフの子供が俺を見ていった。
 男性のエルフは子供を下ろして深く頭を下げた。

「ありがとうございます。人間の方、私はこの村の長老、アル・ラエ・ソロンと申します。この子は孫のエレンです」
「エレン・ラエ・ソロンです。助けてくれてありがとうございます」
「そんなに気にすんな。俺は精霊王の依頼で助けたんだ、それにあいつら雑魚だったし」
「精霊王様の依頼!ではあなたがリュウ殿ですか!?」
「はい、リュウは俺です」
 エレンに一言言ってから長老さんに言った。

 にしても長老さんだったのか……
 いや見た目がすごい若いからさ、そんな雰囲気ないし、だって見た目二十代後半って見た目だよ?
 金髪で整った優しい顔、これが人間だったら絶対モテモテだな。

「精霊王様からお話は伺ってます。どうぞこちらへ」
 長老さんの案内で来たのは集会所のようなところ、そこにはリルとカリン、ティアマトさんも既にいた。
 あとは男女混じったエルフが十名ほど居た。
 多分偉いエルフか、村の代表といったところか。
 アルさんが一番目立つ席に座り話し始めた。

「たった今、精霊王様が仰っていた人間が村に来てくれました。よってこれより仲間の救出作戦を開始したいと思います」
「待て、その人間は本当に精霊王様が言った人間なのか?」
「魂でつながっているフェンリル様たちが仰っているのです。それは愚問でしょう」
 ちょっと待て、救出作戦ってなに?もう救えるまでの段階にあるのか?

「それって大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。我々もただ何もせず打ち拉がれていた訳ではありません。風の精霊の力を借り、準備して参りました。後は戦力だけです」
 スンゲー不安だ。
 本当に大丈夫なんだよな?