「ところでさ、お前の事は何て呼べば良いんだ?」
爺さんの話が終った後、俺は狼と一緒にいた。
詳しい話は親父さんのお仕置きの後となった。
ただ俺へのお目付け役は必要だと言われて狼が選ばれたので、終った後も一緒にいた時に、ふと思った事を口に出していた。
『そうね……お嬢様、かしら?』
「畏まったのは苦手じゃなかったのか」
『ここではそう簡単に呼ばせる訳にもいかないのよ。《名》はとても大事なものだから』
どうもそうらしい。人間から見れば普通にある名前は、魔物から見るのとはまるで違う意味になる。
魔物に《名》を与えるのはその存在を肯定する行為になるらしい。その際名付け親は与えられる側に魂の一部を分け与える、とまで言われている。
実際下級の魔物を使って様々な魔物と契約しようとした者もいたらしいが、そいつらは使役する前に魂が朽ちて死んだ。
しかも魔物によって消費する魂の量は変わるので、様々な魔物の名付け親になろうものなら、魂を全て魔物達に与える事になるので、とても危険である。
実際、魔物に《名》を与えるのは禁忌とまで呼ぶ国もある。
つまり魔物に対する《名付け》は魂を消費する危険な行為になる。
「それじゃぁ……お嬢でどうだ?あんまり畏まって無いだろ」
『う~ん。ま、無難じゃない』
「そんじゃ今からお嬢で」
決まったな。
やっぱり呼び名がないと不便なんだよ。
『私はリュウって呼び続けるから』
「ああ。問題ない」
で、その日の朝から修行初日になった。
内容はお嬢達と狩りをすることだった。
俺に合わせて弱い魔物『豚頭魔獣《オーク》』が今回のターゲットらしい。
「てか、狩りそのものが初めてなんだけど……」
『人間は狩りをしないの?』
「するっちゃするが……」
だってほら、俺平民だし…調教師だし。
狩りも職業『狩人』とか『騎士』の戦士職の連中だし。
『人間ってそのショクギョウを気にしすぎじゃない?』
……そうかもな。でも俺は違うぞ、調教師だけど頑張ってますよ。
「でも武器になりそうな物ぐらいはくれよ。俺、丸腰だぞ」
『それは大丈夫よ。お祖父様からこれを貰って来たわ』
そう言って出したのは……牙の欠片?
「これ何の牙だ?」
『お祖父様の牙よ。お祖父様はこれもお礼に渡せと仰っていたから』
爺さんの牙?これ希少どころの値打ちじゃねぇぞ。
大きさは短剣ほどか?リーチはないけど使い勝手は良さそうだな。
「後で爺さんに礼を言っとかないとな」
『そうね。でもオークをお土産にした方がもっと喜ぶと思うわよ』
はいはい、狩りに行きたいのね。りょーかい。
そんで早くも森の入口周辺。
オークの居場所はお嬢のお供が索敵してくれるので楽チンなのである!
『そのうちリュウ一人で出来るようにならないとね』
……そのうちな、そのうち。
まずは体作りだし。
で、しばらく歩くとオークが六匹いた。
こうしてオークをまじまじと見るのは初めてだ。本当に豚が二足歩行してる!
『リュウ。あなたはオークを一匹仕留める事が出来れば良いわ、他のオークは私達が仕留めるから一匹に集中しなさい』
「ありがとう。助かる」
それじゃどのオークがいいかね。ある程度知能はあるのか武器持ってるんだよな。
と言っても棍棒程度だから殴られたら痛そうぐらいか?
でも相手は魔物だし油断大敵か、出来るだけ避けよう。
「攻撃のタイミングは?」
『好きにしなさい』
俺に合わせてくれるのか。ありがたい。
「じゃ、行くか」
お嬢達も駆け出す体勢をとる。
あ、オーク達が何か警戒し始めた。ヤッパ野生の勘みたいなのはどんな生物にもあるもんか。
一度呼吸を整える。
初めての狩り。ヤッパ緊張する。けどこれが強くなる第一歩だ‼
そして草むらから飛び出す。
って速い!お嬢達が速すぎてもう一対一になった!?どんな速度だよ‼
相手のオークもビビってるよ!そりゃビビるよな!
その内に棍棒を持った腕を切り落とす!そのまま後ろに回って次は足!オークも俺が後ろに回ったのを見て避けようするが、その前に軸足を切る!後ろに倒れる間に次は残った腕を切る!オークが驚いているように見えたが気にせずラスト、首を切り落とした。
「はぁはぁ」
なんとか一匹仕留めた。怪我とかは無いけどやけに疲れた。これが死ぬかもしれないプレッシャーか……
『随分バラバラにしたわね』
「お嬢…」
ヤバイ、起き上がるのもしんどい。
『全く、運ぶの大変じゃない。頭は置いて行っていいけど』
「あぁ、考えてなかった。わりぃ」
安全に殺す事しか考えてなかった。
『最初から頭を切ればよかったのに』
そうぶつぶつ言わないでくれ。
こっちだって必死だったんだよ。
「あぁ疲れた」
とりあえず帰ろ。このオーク達は何か持ち帰るらしいし。
お供二匹もオークを回収している。
だから俺もオーク一匹を担いで帰った。
爺さんの話が終った後、俺は狼と一緒にいた。
詳しい話は親父さんのお仕置きの後となった。
ただ俺へのお目付け役は必要だと言われて狼が選ばれたので、終った後も一緒にいた時に、ふと思った事を口に出していた。
『そうね……お嬢様、かしら?』
「畏まったのは苦手じゃなかったのか」
『ここではそう簡単に呼ばせる訳にもいかないのよ。《名》はとても大事なものだから』
どうもそうらしい。人間から見れば普通にある名前は、魔物から見るのとはまるで違う意味になる。
魔物に《名》を与えるのはその存在を肯定する行為になるらしい。その際名付け親は与えられる側に魂の一部を分け与える、とまで言われている。
実際下級の魔物を使って様々な魔物と契約しようとした者もいたらしいが、そいつらは使役する前に魂が朽ちて死んだ。
しかも魔物によって消費する魂の量は変わるので、様々な魔物の名付け親になろうものなら、魂を全て魔物達に与える事になるので、とても危険である。
実際、魔物に《名》を与えるのは禁忌とまで呼ぶ国もある。
つまり魔物に対する《名付け》は魂を消費する危険な行為になる。
「それじゃぁ……お嬢でどうだ?あんまり畏まって無いだろ」
『う~ん。ま、無難じゃない』
「そんじゃ今からお嬢で」
決まったな。
やっぱり呼び名がないと不便なんだよ。
『私はリュウって呼び続けるから』
「ああ。問題ない」
で、その日の朝から修行初日になった。
内容はお嬢達と狩りをすることだった。
俺に合わせて弱い魔物『豚頭魔獣《オーク》』が今回のターゲットらしい。
「てか、狩りそのものが初めてなんだけど……」
『人間は狩りをしないの?』
「するっちゃするが……」
だってほら、俺平民だし…調教師だし。
狩りも職業『狩人』とか『騎士』の戦士職の連中だし。
『人間ってそのショクギョウを気にしすぎじゃない?』
……そうかもな。でも俺は違うぞ、調教師だけど頑張ってますよ。
「でも武器になりそうな物ぐらいはくれよ。俺、丸腰だぞ」
『それは大丈夫よ。お祖父様からこれを貰って来たわ』
そう言って出したのは……牙の欠片?
「これ何の牙だ?」
『お祖父様の牙よ。お祖父様はこれもお礼に渡せと仰っていたから』
爺さんの牙?これ希少どころの値打ちじゃねぇぞ。
大きさは短剣ほどか?リーチはないけど使い勝手は良さそうだな。
「後で爺さんに礼を言っとかないとな」
『そうね。でもオークをお土産にした方がもっと喜ぶと思うわよ』
はいはい、狩りに行きたいのね。りょーかい。
そんで早くも森の入口周辺。
オークの居場所はお嬢のお供が索敵してくれるので楽チンなのである!
『そのうちリュウ一人で出来るようにならないとね』
……そのうちな、そのうち。
まずは体作りだし。
で、しばらく歩くとオークが六匹いた。
こうしてオークをまじまじと見るのは初めてだ。本当に豚が二足歩行してる!
『リュウ。あなたはオークを一匹仕留める事が出来れば良いわ、他のオークは私達が仕留めるから一匹に集中しなさい』
「ありがとう。助かる」
それじゃどのオークがいいかね。ある程度知能はあるのか武器持ってるんだよな。
と言っても棍棒程度だから殴られたら痛そうぐらいか?
でも相手は魔物だし油断大敵か、出来るだけ避けよう。
「攻撃のタイミングは?」
『好きにしなさい』
俺に合わせてくれるのか。ありがたい。
「じゃ、行くか」
お嬢達も駆け出す体勢をとる。
あ、オーク達が何か警戒し始めた。ヤッパ野生の勘みたいなのはどんな生物にもあるもんか。
一度呼吸を整える。
初めての狩り。ヤッパ緊張する。けどこれが強くなる第一歩だ‼
そして草むらから飛び出す。
って速い!お嬢達が速すぎてもう一対一になった!?どんな速度だよ‼
相手のオークもビビってるよ!そりゃビビるよな!
その内に棍棒を持った腕を切り落とす!そのまま後ろに回って次は足!オークも俺が後ろに回ったのを見て避けようするが、その前に軸足を切る!後ろに倒れる間に次は残った腕を切る!オークが驚いているように見えたが気にせずラスト、首を切り落とした。
「はぁはぁ」
なんとか一匹仕留めた。怪我とかは無いけどやけに疲れた。これが死ぬかもしれないプレッシャーか……
『随分バラバラにしたわね』
「お嬢…」
ヤバイ、起き上がるのもしんどい。
『全く、運ぶの大変じゃない。頭は置いて行っていいけど』
「あぁ、考えてなかった。わりぃ」
安全に殺す事しか考えてなかった。
『最初から頭を切ればよかったのに』
そうぶつぶつ言わないでくれ。
こっちだって必死だったんだよ。
「あぁ疲れた」
とりあえず帰ろ。このオーク達は何か持ち帰るらしいし。
お供二匹もオークを回収している。
だから俺もオーク一匹を担いで帰った。