「ダメだったのだ!」
 晩飯の後、オウカが泣き付いてきた。

「やっぱ反対されたか。で誰に反対された?」
「お祖母様なのだ!」
「えマジ?」
 オウカの説明によると、龍皇とグウィバーさんはむしろ嬉しそうに今回の話を聞いて許可を出そうとしたがティアマトさんが待ったをかけたらしい。

 何でもオウカを旅に出すのはまだ早いと言ったとか。
 オウカの意思を尊重する龍皇対まだ早いと言うティアマトさんの戦いになった。
 結果はまだ出ていないが人間で言う貴族みたいな人達はティアマトさんを支持する派閥の方が大きいらしい。
 しかしオウカの意思を尊重する派閥も負けじと抵抗してるとか。

「王女の旅立ちは大変だな~」
「他人事では無いだろう!?」
「まあね。それで何でもうダメなんだ?決着はまだなんだろ?」
「このままだときっと決闘になるのだ。そうしたらお祖母様が出てくると思うのだ……」
 なるほど、それがダメだと言った理由か。

「龍皇やグウィバーさんが頑張ればどうにかなったりしないの?」
「……二人がかりでなら本気で闘えばどうにかなると思うのだ。しかしこれは決闘となると……」
「サシでの勝負になるか……」
 一対一ではティアマトさんに勝てる保証無しか。
 ……なら俺も1つ頑張りますか。

「オウカ、話はまだ終わって無いよな?」
「おそらく」
「ならそこに連れてってくれ。俺も話に参加する」


 てなわけで喧しい開場に参加した。
 向き合うのはティアマトさん、かなり厳しい表情で俺を睨み付ける。

「……ご用件は」
「オウカが旅に出るのを許可して欲しい」
 短く要件を伝える。
 何故か俺の後ろに龍皇やグウィバーさんがいるのが気になるが今は気にせずいくか。

「オウカを唆したのは貴方ですか?」
「唆したつもりは無いが……もし旅に出たけりゃ親に言えって言ったのは俺だ」
「やはり貴方ですか。何のつもりで旅に誘ったのですか?」
「誘ってねぇよ。オウカ自身が旅をしたいと言ったんだ、だから俺は親に一言言ってからにしろと言っただけだ」
「……では貴方がオウカを護ってくれると?」
「そりゃね。俺自身かなり好き勝手生きてきたから誰かにあーだこーだ言うつもりは無い。でも責任は持つ」
 そのぐらいはやってやらんとな。

「……では力を見せて下さい。決闘です」
 随分と早く切り札を使ってきたな。

「それは構わない。それと個人的に賭けをしないか?」
「何の賭けでしょう?」
 警戒しながら聞いてくるティアマトさん、そう悪い賭けでも無いと思うがな。

「俺が勝ったらティアマトさん、貴女も付いてきて欲しい」
 周囲が一気にざわついた。

「流石に俺一人でオウカを護りきれると思う程俺は傲慢じゃ無い、だから実力者のティアマトさんにも付いて来れば心強い」
 本心からの言葉にティアマトさんはどこまで動いてくれるか、そこが勝負どころだ。

「私が勝った場合はどうしますか?」
「好きにどうぞ。俺もかなり無茶なお願いをしているのはわかっているつもりです」
 さてどう答える?

「では私が勝った場合、リュウ様を正式にオウカの婿になっていただきます」
「本気ですかティアマト様!?」
「いくら英雄とは言え人間ですぞ!」
「龍皇様とグウィバー様はどう思われる!」
 当然ティアマトさん側のドラゴンからも多くの声が出た。
 当たり前だよな。
 見るからに純血重視の連中が多いし。

「流石に早いと思うがグウィバーはどう思う?」
「私は構いませんよ。私も早く婚約しまたし」
 頬を赤く染めながら言うグウィバーさん。
 あくまで婚約までならオッケーと。

「俺も賭けとして問題無いです。人を賭ける以上俺自身を賭ける事も自然だと思います」
「では日取りは何時にしますか?」
 そうだな……なんなら面白い方が良い。

「なら俺が褒賞を貰う日はどうでしょう?」
 あくまで運営しているのは龍皇国の人達なので無理なら仕方ないが。

「俺は問題無いと思うがグウィバーはどうだ」
「……少し調整が必要ですが問題無いでしょう。お母様は問題ありませんか?」
「構いません」
「ではリュウの褒賞を与えた後、リュウとティアマトの決闘を行う。他の者達も問題無いな」
 龍皇の確認に文句言う者もおらず俺とティアマトさんの決闘が決まった。