目を覚ますと真っ暗な場所にいた。
何度か経験したことのある暗い空間。
俺がここにいるって事はこれから『あいつ』からお説教を受けるのだろう。
まー今回はかなりの無茶をした自覚はあるし仕方ないか。
それにしてもなんだか頭が温かい。
『あ、起きた』
ひょっこりと俺の目の前に顔を出したこいつが俺の一番最初の従魔。
名前はウル。
種族はドラゴン。
今は人の姿に成っているから黒い髪を腰まで伸ばし、綺麗なお姉さんみたいになってる。
ずっと俺に魔力を供給してくれた一途なドラゴン。
そのドラゴンが今俺に膝枕してくれてた。
『何やってんのウル』
『見たまんまの膝枕。たまには私もリュウとイチャイチャするぐらい良いでしょ?』
『……怒ってねーの?』
『怒ってるわよ。また無茶して』
そのまま頭を包むように手をそっと頬に添えた。
『たまには心配する側の気持ちになってよ。今回はかなり危険だったのよ。二度と一人で突っ走らないで、私との約束』
俺はこの真っ直ぐな目に一度も勝てて無い。
『分かったよ。ちゃんと皆に頼って生きてくさ。俺は弱っちい人間だからな』
『うん。それなら許す』
少しこの温かい感触に身を委ねているとふと思い出した。
『そういやダハーカの魂はどうなった?』
確かダハーカは魂の欠片を俺の中に入れたとかなんとか。
『あそこの卵みたいなのがそうだよ』
気になってその卵の近くに寄ると意外と綺麗な卵だった。
黒を中心にした色合いにさまざまな赤や黄、青に緑など星空のようにちりばめられている。
これがダハーカの魂?マジで?
『邪龍と呼ばれるドラゴンは何も最初から邪龍だったわけじゃないよ。アジ・ダハーカの場合は知識欲、禁呪などに触れたり研究しているうちに邪龍と呼ばれるようになった。だから元々はただのドラゴン、魂の強いドラゴンだっただけ』
『…………たまに魂が強いって言うが魂の強さって何だ?魂が強いと何が良いんだ?』
正直魂なんてみな同じだと考えていた俺には強いとか言われてもよくわからん。
『それ持ってこっち来て』
それってダハーカの魂か?
他に無いし持って行くか。
地面は無いのに歩いているよくわからん感覚でウルの後を追う。
すると先に何か光る球があった。
『これがリュウの魂。この中にアジ・ダハーカの魂を入れて、そうすればアジ・ダハーカは短い期間で復活する』
『え、それって大丈夫なのか?他の魂と魂が混ざってヤバい事になんない?』
『大丈夫、アジ・ダハーカの魂はリュウのスキルとして存在するから二人の意志がごちゃ混ぜになったりしないよ。でもスキルとしてアジ・ダハーカの魂は残さないといけないからこうするしかないの』
ふーん?
つまりダハーカの魂を残すには俺の魂と一緒にした方が良いと?しかも意識は混ざんないから大丈夫と?
なら入れてみるか、ダハーカも出来るだけ早く復活して欲しいし。
そう思って俺の魂にダハーカの魂を近付けるとあっさり入った。
俺の意識や感情に変化は無い。
『本当に上手くいったのか?』
『上手くいったよ。リュウがアジ・ダハーカをキチンと受け入れただけだから。それじゃリュウはそろそろ帰らなきゃ』
『なあ、ウルは何時俺の中から出られるんだ?』
俺はずっと気にしてた。
ウルはずっとこの何も無い空間で一人でいる。
それが寂しくないか、悲しくないか気になってた。
『寂しくないよ。ここはリュウの中だもん。むしろ心地良いぐらい』
『本当か?俺に気遣ってるだけじゃ』
『本当にそんな事ない。リュウの中は温かくて、ほっとして、安心出来るそんな場所。むしろアジ・ダハーカがこの空間に来た方がヤダ。私がここを独り占めしてたのに』
可愛く頬を膨らませて言った。
『だからリュウは気にしないで。私は幸せだよ』
『………なら良い』
幸せなら良い。
でもやっぱり外で、現実でまた一緒に居たい。
『なあウル。俺の魂ってそんなに凄いのか?』
『そりゃねぇ。何で勇者にならなかったのか不思議なぐらいだよ』
そうか、俺悪い意味でレアだったのか。
でも悪い意味でレアだったから選択肢が出来た。
『ウル、俺が『魔王』になったらウルは外に出れるか?』
本気の質問。
ウルは答えてくれるか。
『………出れるよ。でも魔王は止めた方が良い』
『何で?』
『あの人達は本当に化物みたいな人達ばっかりだから』
『ダハーカと殴り合った分既に化物みたいなもんだと思うけどな』
『………本気?』
『本気』
ウルは少し考えるとため息を一つ付いてから言った。
『『魔王』に成る条件は人間の魂を一万以上奪う事。リュウにそれが出来る?』
『気に入らない奴や殺しに来た連中を逆に殺せばあっさり集まるかもよ?』
『意外とあっさり言うね』
『俺が甘いのは身内や仲の良い連中だけだ。他の連中ならどこで死のうが構わない』
正直知らない連中がどこで幸せになろうが不幸になろうがどうでも良い。
俺が気にするのは身内の心配だけ、他人の事なんか知ったこっちゃない。
『はぁ、リュウも極端だよね。リュウとリュウの好きな人達が幸せなら良いって。しかもその他はどうでもいいって』
『人間突き詰めればそんなもんだと思うけどな』
俺に世界を救う力は無い。
でもやっぱり身内ぐらいは幸せに出来たら良いな、ぐらいは普通じゃね?
どこかを見るウル、すると俺に手をかざした。
『おはようの時間みたい』
『そっか。ならウル、またその内』
『またお喋りしようね、リュウ』
『ああ』
こうして俺の意識は現実に帰った。
何度か経験したことのある暗い空間。
俺がここにいるって事はこれから『あいつ』からお説教を受けるのだろう。
まー今回はかなりの無茶をした自覚はあるし仕方ないか。
それにしてもなんだか頭が温かい。
『あ、起きた』
ひょっこりと俺の目の前に顔を出したこいつが俺の一番最初の従魔。
名前はウル。
種族はドラゴン。
今は人の姿に成っているから黒い髪を腰まで伸ばし、綺麗なお姉さんみたいになってる。
ずっと俺に魔力を供給してくれた一途なドラゴン。
そのドラゴンが今俺に膝枕してくれてた。
『何やってんのウル』
『見たまんまの膝枕。たまには私もリュウとイチャイチャするぐらい良いでしょ?』
『……怒ってねーの?』
『怒ってるわよ。また無茶して』
そのまま頭を包むように手をそっと頬に添えた。
『たまには心配する側の気持ちになってよ。今回はかなり危険だったのよ。二度と一人で突っ走らないで、私との約束』
俺はこの真っ直ぐな目に一度も勝てて無い。
『分かったよ。ちゃんと皆に頼って生きてくさ。俺は弱っちい人間だからな』
『うん。それなら許す』
少しこの温かい感触に身を委ねているとふと思い出した。
『そういやダハーカの魂はどうなった?』
確かダハーカは魂の欠片を俺の中に入れたとかなんとか。
『あそこの卵みたいなのがそうだよ』
気になってその卵の近くに寄ると意外と綺麗な卵だった。
黒を中心にした色合いにさまざまな赤や黄、青に緑など星空のようにちりばめられている。
これがダハーカの魂?マジで?
『邪龍と呼ばれるドラゴンは何も最初から邪龍だったわけじゃないよ。アジ・ダハーカの場合は知識欲、禁呪などに触れたり研究しているうちに邪龍と呼ばれるようになった。だから元々はただのドラゴン、魂の強いドラゴンだっただけ』
『…………たまに魂が強いって言うが魂の強さって何だ?魂が強いと何が良いんだ?』
正直魂なんてみな同じだと考えていた俺には強いとか言われてもよくわからん。
『それ持ってこっち来て』
それってダハーカの魂か?
他に無いし持って行くか。
地面は無いのに歩いているよくわからん感覚でウルの後を追う。
すると先に何か光る球があった。
『これがリュウの魂。この中にアジ・ダハーカの魂を入れて、そうすればアジ・ダハーカは短い期間で復活する』
『え、それって大丈夫なのか?他の魂と魂が混ざってヤバい事になんない?』
『大丈夫、アジ・ダハーカの魂はリュウのスキルとして存在するから二人の意志がごちゃ混ぜになったりしないよ。でもスキルとしてアジ・ダハーカの魂は残さないといけないからこうするしかないの』
ふーん?
つまりダハーカの魂を残すには俺の魂と一緒にした方が良いと?しかも意識は混ざんないから大丈夫と?
なら入れてみるか、ダハーカも出来るだけ早く復活して欲しいし。
そう思って俺の魂にダハーカの魂を近付けるとあっさり入った。
俺の意識や感情に変化は無い。
『本当に上手くいったのか?』
『上手くいったよ。リュウがアジ・ダハーカをキチンと受け入れただけだから。それじゃリュウはそろそろ帰らなきゃ』
『なあ、ウルは何時俺の中から出られるんだ?』
俺はずっと気にしてた。
ウルはずっとこの何も無い空間で一人でいる。
それが寂しくないか、悲しくないか気になってた。
『寂しくないよ。ここはリュウの中だもん。むしろ心地良いぐらい』
『本当か?俺に気遣ってるだけじゃ』
『本当にそんな事ない。リュウの中は温かくて、ほっとして、安心出来るそんな場所。むしろアジ・ダハーカがこの空間に来た方がヤダ。私がここを独り占めしてたのに』
可愛く頬を膨らませて言った。
『だからリュウは気にしないで。私は幸せだよ』
『………なら良い』
幸せなら良い。
でもやっぱり外で、現実でまた一緒に居たい。
『なあウル。俺の魂ってそんなに凄いのか?』
『そりゃねぇ。何で勇者にならなかったのか不思議なぐらいだよ』
そうか、俺悪い意味でレアだったのか。
でも悪い意味でレアだったから選択肢が出来た。
『ウル、俺が『魔王』になったらウルは外に出れるか?』
本気の質問。
ウルは答えてくれるか。
『………出れるよ。でも魔王は止めた方が良い』
『何で?』
『あの人達は本当に化物みたいな人達ばっかりだから』
『ダハーカと殴り合った分既に化物みたいなもんだと思うけどな』
『………本気?』
『本気』
ウルは少し考えるとため息を一つ付いてから言った。
『『魔王』に成る条件は人間の魂を一万以上奪う事。リュウにそれが出来る?』
『気に入らない奴や殺しに来た連中を逆に殺せばあっさり集まるかもよ?』
『意外とあっさり言うね』
『俺が甘いのは身内や仲の良い連中だけだ。他の連中ならどこで死のうが構わない』
正直知らない連中がどこで幸せになろうが不幸になろうがどうでも良い。
俺が気にするのは身内の心配だけ、他人の事なんか知ったこっちゃない。
『はぁ、リュウも極端だよね。リュウとリュウの好きな人達が幸せなら良いって。しかもその他はどうでもいいって』
『人間突き詰めればそんなもんだと思うけどな』
俺に世界を救う力は無い。
でもやっぱり身内ぐらいは幸せに出来たら良いな、ぐらいは普通じゃね?
どこかを見るウル、すると俺に手をかざした。
『おはようの時間みたい』
『そっか。ならウル、またその内』
『またお喋りしようね、リュウ』
『ああ』
こうして俺の意識は現実に帰った。