『生存本能』を使ってからどのぐらいの時間が経った?
一秒がやけに長く感じる。
あれから俺達は互いを殴り、斬り、蹴り、魔術と魔力がぶつかり合った。
ダハーカから出てくる眷族の相手もしないといけないので俺は少し疲れていた。
とにかく出し惜しみしている暇は無くただただ生きるために暴れ続ける。
目に血が流れても拭う暇も無く、むしろ攻撃のために無視する。
おかげで龍皇国がどうなっているか気にする暇も無くただダハーカを倒す事だけを考えていた。
それ以外考えられなかった。
それでも楽しいと思っている俺がいるのも驚く。
この何時死ぬかわからん戦いが楽しい。
互いの命を削り、ただ生き残るための戦いにどこか清々しさすら感じる。
悪意は無い。
善意も無い。
戦いの意味は生き残るため。
「がぁっ‼」
俺はまたダハーカを斬り血を流させる。
『ふんっ‼』
今度はダハーカが俺を殴り打撲を作る。
正直『限界突破』も限界に近い、後はただの根性勝負。
だからもうすぐだ。
もうすぐ俺のとっておきが来る。
それまでせめて生き残らないと。
『まさかここまでやるとは思って無かった』
ダハーカは自身に治癒の魔術で回復する。
正直ズルいと思うがこれから俺がするのもズルに入るかもしれないからな。
文句は言わないでおく。
「そりゃ……どうも。ちっぽけな人間も………少しは…出来るだろ………?」
『ああ、想像以上だ。リュウよとても楽しい時間の提供に感謝する』
「まだ終わってねーよ。………後ちょっとだけ…………驚かしてやるよアジ・ダハーカ」
もうすぐ来る、俺のとっておきが!
『ではそれを見せてみろ!』
その時、遠巻きにいた眷族達が炎に包まれた。
紅く金色の混じった炎が眷族を焼き尽くす。
『この炎はガルダか‼我々の戦いを邪魔するか‼』
いやこれは邪魔じゃない。
俺が頼んだ結果だ。
「あいつは俺の従魔でね、周りの眷族達が邪魔で仕方ないから焼いてもらうように頼んでたんだよ。お前の眷族が良いなら俺の魂の眷族も許されるよな、アジ・ダハーカ」
驚きを隠せないダハーカ。
しかし直ぐに理解したのか笑い出す。
『なるほど、『魂の眷族』か。リュウよお前はあのガルダに『名付け』をしたのだな。それなら許そう』
「安心しろダハーカ。俺が頼んだのはお前の眷族達だけ、お前の命を貰うのは俺だ!」
『いや、私がお前の命をいただく!』
もはや構える事も無く互いに突っ込む。
また互いに命を削り合う。
『念話』でリルやカリンが心配な声を上げるが、ただ大丈夫だと言い続ける。
それもきっともうすぐ終わる。
ただの勘だけどな。
ダハーカは傷を癒しながら俺を殺しに来る。
俺は傷だらけになりながらダハーカを殺しにいく。
そしてやっと終わりが見えてきた。
ダハーカが治癒をしなくなった、いや出来なくなった。
つまり魔力の限界がダハーカを襲った。
『ちっ』
ダハーカも自力の力のみで俺と戦い続ける。
俺の魔力は本当のちょびっとだけロウに流しておいた。
とどめを刺すための一撃だけは残せた。
『ここまでのようだな。リュウよ』
「最後まで何が起こるかわかんねーぞ。ダハーカ」
『いやおそらくお前の次の技で決まるだろう。なので先に言わせてもらう。楽しい時間をありがとうリュウ。ただただ楽しい、善も悪も無いどこまでも純粋な戦いをありがとう』
殺しにくすぎる。
全力で戦い、戦いの中で死のうとするこいつは本当に殺しづらい。
「……………いくぞアジ・ダハーカ」
『こい‼』
ロウの魔力を一直線に放出する。
更にティアマトさんに教えてもらった一点集中の無駄の無い攻撃で心臓を討つ。
これが俺なりの敬意。
一撃で終わらせる‼
「うおおおおぉぉぉぉぉ‼」
『生存本能』に『魔力探知』で心臓の位置を把握、そして『短剣使い』『身体能力強化』『覇気』の全力で応える。
そこにロウの中に貯めていた魔力を放出した。
漆黒の魔力がダハーカ貫き口から血を大量に吐き出す。
ダハーカは仰向けに倒れた。
『良い一撃だった。まさに限界を突破した全力の一撃。邪龍に、これ程の価値のある死はない』
どこまでも嬉しそうに死を受け入れている。
俺も死ぬ時これほどに死を受け入れられるだろうか?
「そういや試練試練言ってたが俺は合格か?」
『ああそうだ。大事な事を忘れていた。私の勇者よ、褒美は何がいい?力か?それとも私の魔術に関する知識か?』
「何でも良いの?」
『私が与えられる物なら』
言質は取ったぞダハーカ。
それなら………何だろう?元々こいつから何が欲しくて戦いに来たわけじゃないしな。
う~んそうだな~。
『早くしろ。先に死ぬ』
「なら俺とダチになれアジ・ダハーカ」
『………ダチ?友になれと?』
「そうだ。俺はまたお前と喧嘩がしたい。その時も横一列の対等な関係でまた喧嘩したい」
本当はダチにさえなってくれればそれで良いんだけどね。
『ククク、これから死ぬ者にダチになれとこれまた珍妙な願いをする。ならこの贈物《ギフト》をやろう。友の証として持っていてくれ』
光りの球の様な物がダハーカから俺の中に入った。
贈物《ギフト》の正体はスキル『魔賢邪龍《アジ・ダハーカ》』これ相当持て余すスキルな気がしますが!?
『お前の中に私の魂の欠片を入れた。かなり時間がかかるだろうが私は再びお前の中から復活するだろう』
…………あれ?もしかして俺が生きてる間はダハーカも復活しほうだいとかじゃないよね?あれ、俺もしかして世界的に相当ヤバい事しちゃったんじゃ!?
『では去らばだ。私の勇者、リュウよ』
「ちょっと待って!俺たった今世界最大のヤバい奴になったんじゃ!」
アジ・ダハーカは質問に答える前に砂のように消えた。
…………俺更に何かの業を背負った気がす……る。
気が抜けたせいか俺は気を失った。
一秒がやけに長く感じる。
あれから俺達は互いを殴り、斬り、蹴り、魔術と魔力がぶつかり合った。
ダハーカから出てくる眷族の相手もしないといけないので俺は少し疲れていた。
とにかく出し惜しみしている暇は無くただただ生きるために暴れ続ける。
目に血が流れても拭う暇も無く、むしろ攻撃のために無視する。
おかげで龍皇国がどうなっているか気にする暇も無くただダハーカを倒す事だけを考えていた。
それ以外考えられなかった。
それでも楽しいと思っている俺がいるのも驚く。
この何時死ぬかわからん戦いが楽しい。
互いの命を削り、ただ生き残るための戦いにどこか清々しさすら感じる。
悪意は無い。
善意も無い。
戦いの意味は生き残るため。
「がぁっ‼」
俺はまたダハーカを斬り血を流させる。
『ふんっ‼』
今度はダハーカが俺を殴り打撲を作る。
正直『限界突破』も限界に近い、後はただの根性勝負。
だからもうすぐだ。
もうすぐ俺のとっておきが来る。
それまでせめて生き残らないと。
『まさかここまでやるとは思って無かった』
ダハーカは自身に治癒の魔術で回復する。
正直ズルいと思うがこれから俺がするのもズルに入るかもしれないからな。
文句は言わないでおく。
「そりゃ……どうも。ちっぽけな人間も………少しは…出来るだろ………?」
『ああ、想像以上だ。リュウよとても楽しい時間の提供に感謝する』
「まだ終わってねーよ。………後ちょっとだけ…………驚かしてやるよアジ・ダハーカ」
もうすぐ来る、俺のとっておきが!
『ではそれを見せてみろ!』
その時、遠巻きにいた眷族達が炎に包まれた。
紅く金色の混じった炎が眷族を焼き尽くす。
『この炎はガルダか‼我々の戦いを邪魔するか‼』
いやこれは邪魔じゃない。
俺が頼んだ結果だ。
「あいつは俺の従魔でね、周りの眷族達が邪魔で仕方ないから焼いてもらうように頼んでたんだよ。お前の眷族が良いなら俺の魂の眷族も許されるよな、アジ・ダハーカ」
驚きを隠せないダハーカ。
しかし直ぐに理解したのか笑い出す。
『なるほど、『魂の眷族』か。リュウよお前はあのガルダに『名付け』をしたのだな。それなら許そう』
「安心しろダハーカ。俺が頼んだのはお前の眷族達だけ、お前の命を貰うのは俺だ!」
『いや、私がお前の命をいただく!』
もはや構える事も無く互いに突っ込む。
また互いに命を削り合う。
『念話』でリルやカリンが心配な声を上げるが、ただ大丈夫だと言い続ける。
それもきっともうすぐ終わる。
ただの勘だけどな。
ダハーカは傷を癒しながら俺を殺しに来る。
俺は傷だらけになりながらダハーカを殺しにいく。
そしてやっと終わりが見えてきた。
ダハーカが治癒をしなくなった、いや出来なくなった。
つまり魔力の限界がダハーカを襲った。
『ちっ』
ダハーカも自力の力のみで俺と戦い続ける。
俺の魔力は本当のちょびっとだけロウに流しておいた。
とどめを刺すための一撃だけは残せた。
『ここまでのようだな。リュウよ』
「最後まで何が起こるかわかんねーぞ。ダハーカ」
『いやおそらくお前の次の技で決まるだろう。なので先に言わせてもらう。楽しい時間をありがとうリュウ。ただただ楽しい、善も悪も無いどこまでも純粋な戦いをありがとう』
殺しにくすぎる。
全力で戦い、戦いの中で死のうとするこいつは本当に殺しづらい。
「……………いくぞアジ・ダハーカ」
『こい‼』
ロウの魔力を一直線に放出する。
更にティアマトさんに教えてもらった一点集中の無駄の無い攻撃で心臓を討つ。
これが俺なりの敬意。
一撃で終わらせる‼
「うおおおおぉぉぉぉぉ‼」
『生存本能』に『魔力探知』で心臓の位置を把握、そして『短剣使い』『身体能力強化』『覇気』の全力で応える。
そこにロウの中に貯めていた魔力を放出した。
漆黒の魔力がダハーカ貫き口から血を大量に吐き出す。
ダハーカは仰向けに倒れた。
『良い一撃だった。まさに限界を突破した全力の一撃。邪龍に、これ程の価値のある死はない』
どこまでも嬉しそうに死を受け入れている。
俺も死ぬ時これほどに死を受け入れられるだろうか?
「そういや試練試練言ってたが俺は合格か?」
『ああそうだ。大事な事を忘れていた。私の勇者よ、褒美は何がいい?力か?それとも私の魔術に関する知識か?』
「何でも良いの?」
『私が与えられる物なら』
言質は取ったぞダハーカ。
それなら………何だろう?元々こいつから何が欲しくて戦いに来たわけじゃないしな。
う~んそうだな~。
『早くしろ。先に死ぬ』
「なら俺とダチになれアジ・ダハーカ」
『………ダチ?友になれと?』
「そうだ。俺はまたお前と喧嘩がしたい。その時も横一列の対等な関係でまた喧嘩したい」
本当はダチにさえなってくれればそれで良いんだけどね。
『ククク、これから死ぬ者にダチになれとこれまた珍妙な願いをする。ならこの贈物《ギフト》をやろう。友の証として持っていてくれ』
光りの球の様な物がダハーカから俺の中に入った。
贈物《ギフト》の正体はスキル『魔賢邪龍《アジ・ダハーカ》』これ相当持て余すスキルな気がしますが!?
『お前の中に私の魂の欠片を入れた。かなり時間がかかるだろうが私は再びお前の中から復活するだろう』
…………あれ?もしかして俺が生きてる間はダハーカも復活しほうだいとかじゃないよね?あれ、俺もしかして世界的に相当ヤバい事しちゃったんじゃ!?
『では去らばだ。私の勇者、リュウよ』
「ちょっと待って!俺たった今世界最大のヤバい奴になったんじゃ!」
アジ・ダハーカは質問に答える前に砂のように消えた。
…………俺更に何かの業を背負った気がす……る。
気が抜けたせいか俺は気を失った。