「どうじゃ、修行の様子は」
「順調ですよ。とても良い子ですよ、リュウ様は」
深夜、ほとんどの者が寝ている時間だ。
しかしフェンリルとティアマトは酒を交わしながら居た。
「お主が人間を誉める時が来るとは思っておらんかった」
「私自身も意外ですよ。まさか人間が私の修練に付いて来られるとは思ってもみませんでした」
「あやつはどこか力に貪欲な部分が有るからの、その内儂らを追い越す日が来るのかのう」
どこか嬉しそうに言うフェンリル、ティアマトはそのフェンリルに言う。
「もしその時が来たとしても大分先の話になると思いますよ」
「そうじゃろうな。早くて20年程かのう?」
「人間にとっては長いかもしれませんが私達にすればとても短い時間だと思いますよ」
「だから良いのじゃ。あやつにとって長い時間であっても我々にとってはごく短い間、短い間に早く強くなれば儂らの群れも安泰じゃ」
「………羨ましいお話です。私の所は実力はありますがオウカに甘過ぎで……」
ため息を付きながら言うティアマト。
憂いを帯びた表情はとても疲れきっているように見える。
「ドライグはともかくグウィバーは私が直接育てたと言うのにまるで躾も成ってない。それどころか甘やかしてばかりいるものですから私が躾けるしかなくて…………お陰でオウカはやりたい放題の我が儘娘になってしまいました」
「……育児と言うものは親にとって永遠の課題なのかも知れんのう」
どこか遠い目をしているフェンリル。
実際孫であるリルもある程度躾けてはいたが群れの若者達と共に人間の国によく近付いていた。
まぁそのお陰でリュウと出会い、失った魔力を供給して貰い、まだ元気でいられるのだが。
「世の中上手くいかんのう……」
「そうですね……」
しばらく無言で酒を飲む。
するとティアマトはポツリと言った。
「無理矢理にでもリュウ様をオウカの婿に出来ないかしら」
「げほっげほっ!お主本気か!?それとも酔っているのか!」
あまりにも唐突な話。
しかもリュウをオウカの婿になったとしたら。
「人間に龍皇の座をやって良いのか!?」
「多少問題は発生するでしょうが実力が有れば問題ありません。それに最近の若者は強くなろうとする向上心があまり無いのでこの際、と思いまして」
あまりにも平然と言うティアマトにフェンリルは呆然とする。
「それでも血統を重んじるお主らがそう簡単に上手くいくとは思えんがの」
「その時は決闘でもさせれば良いでしょう。私は血統より強き者を招き入れたいと考えています」
「それは……分かるが………」
血統より強き者、魔物であれば当然の思考である。
しかしこの龍皇国は代々純血のドラゴン同士で交わる事で力を次の世代に残し続けたのも事実なのだ。
「それにリュウ様は『あの方』に選ばれたようですから」
「あの方?あの方とは一体?」
「我々の神です」
「まさか、あやつがリュウに力を貸すとでも。無理な話じゃよ、あやつの力は大き過ぎた。いままでも多くの者達があやつの力を手にせんと契約をしようとしたが、皆無様に死んだではないか」
そう、皆死んだ。
更なる力を求めて『賢者』『聖騎士』、更には『勇者』まで『あの方』の力を求めた。
しかし誰一人として無事に契約出来た者はいない。
「しかしリュウ様の魔力を放出するタイプの技から『あの方』の力を感じました」
「………やはりか、儂も気付いておったが勘違いだと思い込んでたからの」
もし『あの方』がリュウを認めていた場合、血統より大きな価値が生まれる。
誰一人として手に入らなかった力を手に入れた者として。
「……他に気付いている者はいるか」
「おそらくいないかと。『あの方』が失踪してかなり時間が経っていますから」
「一体いつ出会ったのじゃろうな、あやつとリュウは」
「さぁ?それはいつの日かリュウ様と『あの方』に聞いてみましょう」
「そうじゃな。いつの日か聞いてみるかの」
「順調ですよ。とても良い子ですよ、リュウ様は」
深夜、ほとんどの者が寝ている時間だ。
しかしフェンリルとティアマトは酒を交わしながら居た。
「お主が人間を誉める時が来るとは思っておらんかった」
「私自身も意外ですよ。まさか人間が私の修練に付いて来られるとは思ってもみませんでした」
「あやつはどこか力に貪欲な部分が有るからの、その内儂らを追い越す日が来るのかのう」
どこか嬉しそうに言うフェンリル、ティアマトはそのフェンリルに言う。
「もしその時が来たとしても大分先の話になると思いますよ」
「そうじゃろうな。早くて20年程かのう?」
「人間にとっては長いかもしれませんが私達にすればとても短い時間だと思いますよ」
「だから良いのじゃ。あやつにとって長い時間であっても我々にとってはごく短い間、短い間に早く強くなれば儂らの群れも安泰じゃ」
「………羨ましいお話です。私の所は実力はありますがオウカに甘過ぎで……」
ため息を付きながら言うティアマト。
憂いを帯びた表情はとても疲れきっているように見える。
「ドライグはともかくグウィバーは私が直接育てたと言うのにまるで躾も成ってない。それどころか甘やかしてばかりいるものですから私が躾けるしかなくて…………お陰でオウカはやりたい放題の我が儘娘になってしまいました」
「……育児と言うものは親にとって永遠の課題なのかも知れんのう」
どこか遠い目をしているフェンリル。
実際孫であるリルもある程度躾けてはいたが群れの若者達と共に人間の国によく近付いていた。
まぁそのお陰でリュウと出会い、失った魔力を供給して貰い、まだ元気でいられるのだが。
「世の中上手くいかんのう……」
「そうですね……」
しばらく無言で酒を飲む。
するとティアマトはポツリと言った。
「無理矢理にでもリュウ様をオウカの婿に出来ないかしら」
「げほっげほっ!お主本気か!?それとも酔っているのか!」
あまりにも唐突な話。
しかもリュウをオウカの婿になったとしたら。
「人間に龍皇の座をやって良いのか!?」
「多少問題は発生するでしょうが実力が有れば問題ありません。それに最近の若者は強くなろうとする向上心があまり無いのでこの際、と思いまして」
あまりにも平然と言うティアマトにフェンリルは呆然とする。
「それでも血統を重んじるお主らがそう簡単に上手くいくとは思えんがの」
「その時は決闘でもさせれば良いでしょう。私は血統より強き者を招き入れたいと考えています」
「それは……分かるが………」
血統より強き者、魔物であれば当然の思考である。
しかしこの龍皇国は代々純血のドラゴン同士で交わる事で力を次の世代に残し続けたのも事実なのだ。
「それにリュウ様は『あの方』に選ばれたようですから」
「あの方?あの方とは一体?」
「我々の神です」
「まさか、あやつがリュウに力を貸すとでも。無理な話じゃよ、あやつの力は大き過ぎた。いままでも多くの者達があやつの力を手にせんと契約をしようとしたが、皆無様に死んだではないか」
そう、皆死んだ。
更なる力を求めて『賢者』『聖騎士』、更には『勇者』まで『あの方』の力を求めた。
しかし誰一人として無事に契約出来た者はいない。
「しかしリュウ様の魔力を放出するタイプの技から『あの方』の力を感じました」
「………やはりか、儂も気付いておったが勘違いだと思い込んでたからの」
もし『あの方』がリュウを認めていた場合、血統より大きな価値が生まれる。
誰一人として手に入らなかった力を手に入れた者として。
「……他に気付いている者はいるか」
「おそらくいないかと。『あの方』が失踪してかなり時間が経っていますから」
「一体いつ出会ったのじゃろうな、あやつとリュウは」
「さぁ?それはいつの日かリュウ様と『あの方』に聞いてみましょう」
「そうじゃな。いつの日か聞いてみるかの」