「グウィバーさん?てことはこいつがこの国の王女様!?」
 え、こんな我が儘娘が王女とかマジかよ………。

「この国終わったな」
 ついポロっと口から出た。

「さっ流石に終わってはいないでしょう‼」
 そうグウィバーさんが言うが………こりゃやっぱり終わってるだろ。

「何やら騒がしいと思ったら、やはりリュウが居ったか」
「あ、爺さん。会議終わったのか?」
「そこの王女が暴れていると聞いて一度休みになった」
「親父さん。てことは邪魔しちゃった?」
「ええわい、良い息抜きになるからの。して一体何があった?」
 とりあえずここに居た各ボス達に説明した。

「なるほど、王女の癇癪か」
「しかし随分と傲慢な」
「血統は分かるが実力が無ければただの血か」
 などなど、俺の説明を聞いて呆れるボス達。

「それはその者の主張であって!」
「いい加減にしなさいオウカ‼」
 ビクッ!っと反応する王女。
 お前名前あったんだ。

「貴女が負けたのは偶然ではなく必然です‼その甘えた考えと日頃の鍛練不足が原因です。リュウ様、これはあくまでお願いですが我孫の鍛練の相手をしていただけないでしょうか」
 世話役さん改め王女の婆さんが俺に頼んできた!

「え!俺ですか!?どうせならもっと強い此方の方々にお願いした方が……」
「その場合この子は直ぐに逃げ出します。リュウ様に怒りを覚えている貴方なら逃げる事は無いかと愚考いたしました」
 うう、この人教育婆さんだ。

「我名に賭けてこの子を次の世代の女王にしなければいけないのです。どうかご協力を」
 人間の俺に頭を下げるとは……そんなにこの人の意思は強いのか。

「見ろ、あの『蒼龍女王《ティアマト》』が頭を下げたぞ」
「まさかあの女王が頭を下げるとは」
「あの人間、それ程の実力があるのか?」
 ………何だろう、ボス達が俺をものスゲェ視線を送って来るんだが?

「とにかく頭を上げて下さい。分かりました、お受けします」
「ありがとうございます。今回の報酬はどういたしましょう」
「報酬?」
 つまり今回受けた事による礼って事で良いのか?

「………ならティアマトさんにはしばらく俺の師になって頂けませんか?」
「師にですか?」
「はい。今回のアジ・ダハーカと戦う際今の俺では大して戦え無いと考えています。ですのでギリギリまで強くなりたいのです。なのでティアマトさんにはそのご指導をお願いしたい」
 しばらく呆けてたティアマトさんだが直ぐに王女を睨んだ。

「見なさいオウカ、これが貴女の負けた意志の有無です。貴女は全く強くなりたいと、まるで思わない貴女の差です。そしてリュウ様、その役全うして見せましょう」
「ありがとうティアマトさん」
「いえ此方もありがたい申し出です。戦力は強いに越した事はありませんから」
 自然な笑みはとても孫持ちの様には見えなかった。

「リュウ………死んではいかんぞ」
 何か知らんが爺さんが俺の肩にそっと手を置いた。
 え、何この雰囲気?

「リュウ殿、頑張って下さい」
 グウィバーさんまで!?
 え、俺何か仕出かした?

「ではリュウ様。早速明日から修練を開始します。その際の体調管理や食事の管理は私がしますのでお任せを。オウカ、貴女も同時に指導しますので決して逃げたりしない様に」
 王女は完全にビビって動け無い。

「リュウ、先に言っておくとティアマトはとてつもないスパルタなんじゃ」
 あーうん。
 何と無く分かった気がする。

「では食事管理は今日から始めます。お残しは認めません。ではまた」
 ティアマトさんは帰りがけグウィバーさんと王女を捕まえて行ったが、きっと旦那のドライグさんも今日はこってり叱られるのだろう。

 さて、ひさしぶりの修行は相当なハードモードになりそうだ。