着きました!大森林‼しかもめっちゃ深い所で降ろされた!何もしてないのに涙出てきた!

 しっかし本当にデカイ森だよな、森に入ってから数分かかったしな。

 ま、今は後悔より目の前の連中に集中しないとだめか……

 目の前に居るのは狼の群れ、数は……ざっと20匹…いや、俺を拉致ってきた連中も含めれば34匹ってとこか。

 結構多いな。普通の狼の群れなら少なくて3匹、多くて10匹いるかいないかって所なんだが、一番多い状態の3倍近くとなるとここのボスがかなり強いか、ただ単に大家族なだけか……判断を間違えたら集中攻撃くらうはめになるかも。

 特にヤバそうなのは少し白髪が入った真ん中の一番デカイ狼、多分あれがボスだ。

 あぁ、マジでヤバい。何がヤバいって俺を取り囲んで皆で威嚇してんだよ、すでに。

『娘よ、その人間は何だ?なぜここに連れて来た』

『私が気に入ったので連れて来ました』

 この二人親子だったんだ。そして俺、気まずい。

『理由を聞いている』

『私が気に入ったからだと言ったでしょう、それが理由です』

『理由になっていない‼』

 っだ!何だよ今の、視線ぶつけられただけでかなり痛かったんだけど!?

 そして娘の方はさらっと流すなよどんだけ強いんだよ!

 ヤッパ駄目だ、この森で生きてく自信ねぇよ……周りが強すぎる。

『おい、貴様‼貴様は娘と何処で知り合った!』

 俺に矛先が向いた!何処って言われても、
「職場の牧場で知り合いました!」

『どうやって知り合った!』

「罠に掛かっていたとこを助けたのがきっかけです!」

『娘が人間の作った罠などすぐ壊せるわ‼』

「罠に掛かったふりをする遊びだと、この狼は言ってました‼」

『またそれか…』

 あ、何かボスのテンション下がった。途中まで変なテンションだったけど何か落ち着いた。

 って狼や、その目は何だ?そして鼻先でツンツンするのは何だ?

『余計な事は言わないで』

 余計って、仕方ないじゃん。お前の親父さん恐いし…

『とにかくそれは元の場所に返してこい』

 ………本当に娘が勝手にペット拾ってきて困ってる父親じゃん。

『嫌です』

『…それが何の役に立つ?力も無い、魔力も無い。そんな存在を引き入れてどうする』

『これは『調教師』です。これならお祖父様の具合も少しは善くなるかと』

 するとボスは俺の方を見た、何か品定めをしている様にも見える視線。それに狼の爺さんの話もでてきたし、何か訳有り見てぇだな。

『これがお義父様を救うとでも?お義父様は寿命だ。その人間でも救えん』

『それを知るために連れて来たのです』

 よくわからんが狼の爺さんは死にかけってとこか?その理由を知りたいために拉致った、てことでいいのかね?
 ま、とりあえずこの会話に参加しないと次に行きそうに無いな。

「親子喧嘩中悪いがその爺さんに会わせてくれないか?俺がそいつを診断してやりゃ良いんだろ?」

『貴様、生意気な口を‼』

「俺を連れて来たこいつはその爺さんを診断して助けられるなら助けたい。でもあんたが言うように寿命なら俺にもどうしようも無い。ならとりあえず診せろ」

『リュウ?』

 こいつは俺を不思議そうにしてるがこいつが一番手っ取り早い。

『……ならやってみせろ。その代わり診た後は消えろ』

「構わない。でも情報が欲しい、お前らの種族、その爺さんの歳、後いつからその状態になったか教えろ」

 ボスは舌打ちした後背を向けると『来い』とだけ言った。