一夜明けて出発日。
 とりあえず湖で身体を洗っている俺達。

 昨夜はどうもリル達も変なテンションになってたらしい。
 伝説様との戦いで死ぬんじゃないか、二度と帰って来ないかも、と色々考えた末の行動だったとか。

 まぁ俺も途中から自分からヤってたし俺にも責任はあると思うからな。
 そして現在リルとカリンは顔を真っ赤にしてた。

「さてと、そっちの気もすんだか?」
「う~」
「む~」
 恨みがましそうだが誘ったのはそっちだからな。

「それじゃ俺は時間だからそろそろ行くぞ」
 爺さんの言ってたミドガルムズオルムが来る時間が迫っていた。

「リュウ」
「パパ」
「ん?」
「「いってらっしゃい」」
「いってきます」

 何か良いな、こういうの。
 どこか安心出来ると言うか、帰る場所があると言うか。
 とにかく心地良い。
 革鎧を着て脇差の腰に差し、少し歩くと爺さんがいた。

『随分とお楽しみだったようじゃの』
「怒ってねぇの?」
『そんなもんお主と孫娘が共に旅に出た時から覚悟しておったわ』
 そうだったんだ。
 ならきちんと言っておかないと。

「責任は持つ。寿命以外では絶対に死なねぇ。あいつらは絶対に幸せにする」
『気負い過ぎじゃ、それでは長く持たんぞ』
「大丈夫だ。これが終わったらのんびりするさ」
 この戦いが終わったらしばらくぐーたらしてたい。

『ならよい。ほれ来たわい』
 木がメキメキとへし折れる音が聞こえる。
 てか『魔力探知』に反応があったので知ってた。

「いちいち迎えに来なくてもいい気がするんだが?」
『しょうがないのじゃ、龍皇国はドラゴンと共にしか入れん。故にミドガルムズオルムが迎えに来なくてはいけなくてのぉ』
 そりゃ面倒な事で、しかしそれが国の警備方法なら仕方ないか。

『みんなぁ~。迎えに来たよぉ』
 また上から声を掛けてきたのはミドガルムズオルム、こいつの話し方だと気が抜けるんだよなぁ。

『ほう、今日は遅れなかったか』
『流石にぃ事が事だしねぇ、遅れるとぉ龍皇にぃ怒られるからねぇ』
『では行くか。リュウよ、お主もミドガルムズオルムの背に乗れ。こやつが送ってくれる』
 背に乗って良いんだ、なら遠慮なく乗るか。
 ミドガルムズオルムの背に乗ったがかなりだだっ広いので生物の背に乗ってる感じがしない。
 少しすると次々と群れの雄達がミドガルムズオルムの背に乗る。

『全員乗ったな。ではミドガルムズオルムよ、頼むぞ』
『それじゃぁ出発ぅ』
 動くと意外と速かったミドガルムズオルムは龍皇国に向かって動いた。