また三日かけて戻って来ました大森林‼
 いやぁじめっとしてんなこの森。
 もうすぐ秋になるのにこの森はまだ暑いなぁ。

「パパのお家はもうすぐなの?」
「う~ん、お家と言うか家族かな?獲物を求めてあっちこっち移動してるから何処かに留まってる事は少ないな」
 カリンは「へ~」と、わくわくした感じがする。

「家族、家族」
 何故かリルまでご機嫌になった。
 家族って言われたのが嬉しかったのかな?

「リル、皆の居場所は分かるか?」
「匂いを追ってるから大丈夫だけど何か別な匂いがするんだよね……」
「別な匂い?獲物とかじゃなくてか?」
「違うね。生きてるから獲物では無いね」
 てことは客か?でも客と言っても全く想像がつかないけど。

「ま、喧嘩や殺し合いじゃ無ければいいや」
 俺の中では無駄な戦いさえ無ければ良いってもんだ。

「……蛇の匂いがする」
 カリンが言った。
 つまり客は蛇型の魔物か?

「カリン、襲っちゃダメだよ」
「はーい」
 返事は良いがちゃんと我慢出来るんだろうな?
 とりあえずは群れに戻れば分かるか。
 そう思っていたが……

「リルよ、あんな山無かったよな?」
 そうリルが匂いを追っていると群れがあると思われる方向に小さな山があるが、あんな山修行中に見た事が無い。
 しかも生物の気配がするし。

「……もしかしたらあれがお客さんかも」
「あれってあの山の事か?」
「うん。『大地杖竜《ミドガルムズオルム》』の大叔父様。お祖父様の義兄弟の一人で蛇型のドラゴンだって聞いた事がある」
 あの山がドラゴンで爺さんの義兄弟?
 流石伝説の魔獣、兄弟のスケールもデカイ。

「パパ、あれちょっと恐い」
 カリンが俺の背中にくっついて怯えてる。
 珍しいな、カリンが蛇相手に臆するなんて。

「カリン、大叔父様はおおらかな方だと聞いてるからきっと大丈夫よ」
 俺がカリンを撫でて落ち着かせているとリルがミドガルムズオルムについて話してくれた。

「だってよ。怒らせ無ければ何もしないって」
「うん。分かった、喧嘩売らない」
 喧嘩売る気あったんかい!よくあんな山みたいにデカイ相手に喧嘩売ろうと思ったな!?

「とりあえずさっさと群れに合流しようか」
 二人も同意したのでさっさと帰る事にした。