「いくら何でも無茶苦茶な要求だ‼」
私達は部屋に戻った後タイガが思いっきり不満を垂れ流していた。
そりゃ余りにも無茶な要求なのは私も分かる、でも。
「なら造ってもらわなければ良いだけでしょ」
「それじゃこの国に来た意味が……」
「人の命には変えられないよ」
もしフェンリルと戦う事になったら精鋭のメンバーでも必ず死者が出る。
国のためなら多少は分かるが私のためなら特にいらない。
「ならこの国で何か買おう。ただ過ごすのも勿体無いし」
「分かった、付き合うよ」
こうして私達は町に繰り出した。
「しっかしティアの嬢ちゃんもこういうのを楽しむ様になったか」
「失礼でしょグラン。ティアちゃんは女の子なんだから当たり前でしょ」
「だが小さい時から見てたもんだからやっぱりこう、成長したんだなぁと思ってな。マリアだって姉みたいなものだろうが」
「そうだけど……」
結論から言うとパーティメンバーが全員付いて来た。
まず『勇者』の私に『賢者』のタイガ、『騎士』団長のグラン、最後に『僧侶』のマリアさんが私達のメインパーティーになる。
グランとマリアさんは私とタイガの師匠でもある。
グランからは剣術と敵を見る際の注意などを教わった。
マリアさんは教会のシスターで主に魔法と古い魔導書の読み方を教えてもらった。
それに二人は叔父さんとお姉さんの様に優しく接してくれたので家族のような関係だと、私は感じてる。
今は町の様子を見ながらウィンドウショッピングをしていた。
町は活気が溢れ、至る所から良い声が聞こえた。
「ティアちゃん。何か買いたい物とか無いの?」
「う~ん、色々あって悩みますね」
「ティアちゃんは若いしお金もあるのだからちょっとぐらい奮発したら?」
「そんな事言われても流行りとかは分かりませんし……」
「そこまで流行りに気を付けなくても良いのよ。自分がいいなって思ったのを買えば良いのだから」
マリアさんはシスターだけどそんなに信仰深くない。
だから他のシスターさんに聞かれると怒られるような事も普通に言う。
「なぁマリア。こんなアクセサリーより武器を見てきていいか?さっき良い武器が合ったんだよ」
「ちょっと男は黙って女の子の買い物に付き合いなさいよ」
「なら俺達の買い物にも付き合って貰うぞ」
「私達の買い物が終わってからね」
「おいタイガ、お前も強く言ってくれ!マリアはお前とティアには甘いからよ」
「僕はあまりここの武器は合いませんね。僕魔術師なので杖の類いは無さそうです」
「おいせめて俺のフォローぐらいはしてくれよ!」
そんな会話で盛り上がる私達勇者パーティーだった。
夕食、私達パーティーはギルドで食事をしていた。
ギルドは様々な形で利用できるので私達はとても助かっている。
ただ今回は食事だけではなく、情報収集のためにもギルドに来ていた。
勿論内容はフェンリルとガルダの情報だ。
しかし何故かこの話題を出すと皆渋った顔をしてはぐらかす。
「どうなってんだ?フェンリルとガルダの情報を聞くたびに皆こそこそと逃げやがる」
「この国はフェンリルとガルダとの間に何かあったと見るのが妥当じゃない」
「でもどちらも伝説の魔物です。そんな一度に来ますかね?」
「それに何かあったのにこの国が特に何事もなく暮らしてるのも変よ。普通なら各国に応援を要請する事態だわ」
と、色々と話しているがどれも違う気がする。
「そんなにフェンリル様とガルダ様の話を聞きたいのですか?」
不意に後ろから声を掛けられた。
「貴方は?」
「私は情報屋です。勇者様、何故そんなにもフェンリル様とガルダ様の情報を欲しているのですか?」
名を名乗らないその人は情報屋だった。
「ドワル王に無理難題を出されたのよ、武器が欲しければフェンリルの牙とガルダの炎を持ってこいと」
「なるほど、ちなみにそのフェンリル様とガルダ様はどうするおつもりで?」
「殺さなければ手に入らないでしょ」
その瞬間周りざわざわと騒ぎ出した。
一体何?当たり前の事でしょ。
しかもここはギルド、冒険者達のたまり場なのに。
「勇者様。そ、それだけはやめておけ」
「そうだ。悪い事は言わねえからやめろ」
「……最低でもこの国の近くでは絶対に喧嘩は売るなよ。そして勝手に死ね」
様々な言葉が私達に掛けられた。
そして最後に情報屋が言った。
「貴女方がその気でいる限り誰も言わないでしょう。フェンリルとガルダの事を」
つまり皆見た事があるの?フェンリルとガルダを?
「おい情報屋。金はやる話せ」
グランが金貨の入った袋を出しながら言った。
それを見た情報屋はため息を出しながら近くに座る。
「お代はいただきません。その代わりあやふやにこの状況についてお話しましょう」
そして情報屋はまるでお伽噺のような話をした。
フェンリルとガルダを連れた男がこの鉱山の魔物を狩り、この国を豊かにしたと。
「つまり彼はこの国の英雄なんです。しかも彼自身は目立ちたく無いと言ったためドワル王は皆に彼の話をしないように御触れを出したのです」
「それが何故こんな恐れた空気を出してる?話したら殺すとでも書いてたか?」
「それは勇者様がフェンリル様とガルダ様を殺すと言ったからです。実は例の武器の試し切りで彼とフェンリル様達が模擬試合をしたのですが、その際少しフェンリル様達が力加減を間違えたらこの国が滅ぶのではないかと、思った程でして。もし殺そうとしたら国が滅ぶと皆思ったからでしょう」
なるほど、それだけ恐ろしい強さを持っているって事ね。
「なら余計に殺しておかないと」
「…………え?」
「それだけ恐ろしい魔物は放って置けないわ。殺さないと」
「ティア?」
情報屋とタイガは何故不思議そうに私を見るの?私の使命は魔物やドラゴン、悪魔を滅ぼす事。
何も間違って無い。
そうしなければ人類は平和に生きていけない。
「情報屋さん、ありがとう。おかげで恐ろしい魔物を滅ぼす覚悟が出来たわ」
「ま、待って下さい!何も、何もしなければフェンリル様もガルダ様も襲って来ることは無いのですよ‼」
「まさか、それは向こうの気紛れ。いつ魔王と共に滅ぼしに来るかわからない相手を生かしておけと?タイガ、グラン、マリアさん。至急フェンリルを滅ぼす準備をしましょう。いつか戦う相手です、準備をしながら棲息地を探しましょう」
「嬢ちゃん?」
「ティアちゃん?」
「………ティア」
恐ろしい魔物は私が滅ぼし尽くします。
リュウ、それが終わったら絶対見付けるからね。
私達は部屋に戻った後タイガが思いっきり不満を垂れ流していた。
そりゃ余りにも無茶な要求なのは私も分かる、でも。
「なら造ってもらわなければ良いだけでしょ」
「それじゃこの国に来た意味が……」
「人の命には変えられないよ」
もしフェンリルと戦う事になったら精鋭のメンバーでも必ず死者が出る。
国のためなら多少は分かるが私のためなら特にいらない。
「ならこの国で何か買おう。ただ過ごすのも勿体無いし」
「分かった、付き合うよ」
こうして私達は町に繰り出した。
「しっかしティアの嬢ちゃんもこういうのを楽しむ様になったか」
「失礼でしょグラン。ティアちゃんは女の子なんだから当たり前でしょ」
「だが小さい時から見てたもんだからやっぱりこう、成長したんだなぁと思ってな。マリアだって姉みたいなものだろうが」
「そうだけど……」
結論から言うとパーティメンバーが全員付いて来た。
まず『勇者』の私に『賢者』のタイガ、『騎士』団長のグラン、最後に『僧侶』のマリアさんが私達のメインパーティーになる。
グランとマリアさんは私とタイガの師匠でもある。
グランからは剣術と敵を見る際の注意などを教わった。
マリアさんは教会のシスターで主に魔法と古い魔導書の読み方を教えてもらった。
それに二人は叔父さんとお姉さんの様に優しく接してくれたので家族のような関係だと、私は感じてる。
今は町の様子を見ながらウィンドウショッピングをしていた。
町は活気が溢れ、至る所から良い声が聞こえた。
「ティアちゃん。何か買いたい物とか無いの?」
「う~ん、色々あって悩みますね」
「ティアちゃんは若いしお金もあるのだからちょっとぐらい奮発したら?」
「そんな事言われても流行りとかは分かりませんし……」
「そこまで流行りに気を付けなくても良いのよ。自分がいいなって思ったのを買えば良いのだから」
マリアさんはシスターだけどそんなに信仰深くない。
だから他のシスターさんに聞かれると怒られるような事も普通に言う。
「なぁマリア。こんなアクセサリーより武器を見てきていいか?さっき良い武器が合ったんだよ」
「ちょっと男は黙って女の子の買い物に付き合いなさいよ」
「なら俺達の買い物にも付き合って貰うぞ」
「私達の買い物が終わってからね」
「おいタイガ、お前も強く言ってくれ!マリアはお前とティアには甘いからよ」
「僕はあまりここの武器は合いませんね。僕魔術師なので杖の類いは無さそうです」
「おいせめて俺のフォローぐらいはしてくれよ!」
そんな会話で盛り上がる私達勇者パーティーだった。
夕食、私達パーティーはギルドで食事をしていた。
ギルドは様々な形で利用できるので私達はとても助かっている。
ただ今回は食事だけではなく、情報収集のためにもギルドに来ていた。
勿論内容はフェンリルとガルダの情報だ。
しかし何故かこの話題を出すと皆渋った顔をしてはぐらかす。
「どうなってんだ?フェンリルとガルダの情報を聞くたびに皆こそこそと逃げやがる」
「この国はフェンリルとガルダとの間に何かあったと見るのが妥当じゃない」
「でもどちらも伝説の魔物です。そんな一度に来ますかね?」
「それに何かあったのにこの国が特に何事もなく暮らしてるのも変よ。普通なら各国に応援を要請する事態だわ」
と、色々と話しているがどれも違う気がする。
「そんなにフェンリル様とガルダ様の話を聞きたいのですか?」
不意に後ろから声を掛けられた。
「貴方は?」
「私は情報屋です。勇者様、何故そんなにもフェンリル様とガルダ様の情報を欲しているのですか?」
名を名乗らないその人は情報屋だった。
「ドワル王に無理難題を出されたのよ、武器が欲しければフェンリルの牙とガルダの炎を持ってこいと」
「なるほど、ちなみにそのフェンリル様とガルダ様はどうするおつもりで?」
「殺さなければ手に入らないでしょ」
その瞬間周りざわざわと騒ぎ出した。
一体何?当たり前の事でしょ。
しかもここはギルド、冒険者達のたまり場なのに。
「勇者様。そ、それだけはやめておけ」
「そうだ。悪い事は言わねえからやめろ」
「……最低でもこの国の近くでは絶対に喧嘩は売るなよ。そして勝手に死ね」
様々な言葉が私達に掛けられた。
そして最後に情報屋が言った。
「貴女方がその気でいる限り誰も言わないでしょう。フェンリルとガルダの事を」
つまり皆見た事があるの?フェンリルとガルダを?
「おい情報屋。金はやる話せ」
グランが金貨の入った袋を出しながら言った。
それを見た情報屋はため息を出しながら近くに座る。
「お代はいただきません。その代わりあやふやにこの状況についてお話しましょう」
そして情報屋はまるでお伽噺のような話をした。
フェンリルとガルダを連れた男がこの鉱山の魔物を狩り、この国を豊かにしたと。
「つまり彼はこの国の英雄なんです。しかも彼自身は目立ちたく無いと言ったためドワル王は皆に彼の話をしないように御触れを出したのです」
「それが何故こんな恐れた空気を出してる?話したら殺すとでも書いてたか?」
「それは勇者様がフェンリル様とガルダ様を殺すと言ったからです。実は例の武器の試し切りで彼とフェンリル様達が模擬試合をしたのですが、その際少しフェンリル様達が力加減を間違えたらこの国が滅ぶのではないかと、思った程でして。もし殺そうとしたら国が滅ぶと皆思ったからでしょう」
なるほど、それだけ恐ろしい強さを持っているって事ね。
「なら余計に殺しておかないと」
「…………え?」
「それだけ恐ろしい魔物は放って置けないわ。殺さないと」
「ティア?」
情報屋とタイガは何故不思議そうに私を見るの?私の使命は魔物やドラゴン、悪魔を滅ぼす事。
何も間違って無い。
そうしなければ人類は平和に生きていけない。
「情報屋さん、ありがとう。おかげで恐ろしい魔物を滅ぼす覚悟が出来たわ」
「ま、待って下さい!何も、何もしなければフェンリル様もガルダ様も襲って来ることは無いのですよ‼」
「まさか、それは向こうの気紛れ。いつ魔王と共に滅ぼしに来るかわからない相手を生かしておけと?タイガ、グラン、マリアさん。至急フェンリルを滅ぼす準備をしましょう。いつか戦う相手です、準備をしながら棲息地を探しましょう」
「嬢ちゃん?」
「ティアちゃん?」
「………ティア」
恐ろしい魔物は私が滅ぼし尽くします。
リュウ、それが終わったら絶対見付けるからね。