あれから更に一ヶ月が過ぎた。

 カリンの炎で爺さんの牙は意外な程に順調に進んだ。
 何度も何度もドワルとドルフが打ち、少しずつ完成に近づいてきた。

 ちなみにドルフの革鎧は先に完成した。
 俺体格に合ったかなり頑丈な服だ。
 実際試験としてこの服を着た状態でリルと組手をしたが全く破けず、むしろリルの攻撃から身を守ってくれた程でリルの方が悔しがってた。

 勿論カリンの炎にも耐えられるように造られた。
 一時間程炎の攻撃を受けたが燃える事はなかった。
 ドルフは誇らしそうに『熱変動無効』の事を話した。

『熱変動無効』は熱による影響を無効化するのがこのスキルの一番の特徴と言える。つまり熱いと寒いが無くなる。
 炎の一番の攻撃は『熱』によるダメージ、氷の一番の攻撃は『吸熱』、その二つを無効する。

 早い話炎と氷の攻撃は効かないということだ。
 勿論氷による吸熱は効かなくても、氷柱による物理攻撃は効く。

 完全とはいかないものかなりの防御力が上がるらしい。
 ちなみにこのスキルはカリンの羽によって付与された。
 これを聞いたカリンはかなり嬉しそうにしていた。

 そしてついに短剣が完全する日が近づいていた。

「これでよし」
 ドワルが鞘に短剣を仕舞った。

「これで完成か?」
「ああこれで完成だ!」
 おお!これが俺の短剣!やっべめちゃくちゃテンション上がってきた!

「ただこの短剣変じゃね?」
「どこがだ?」
「刃が片方にしかない」
 それだけじゃなく、刃の無い部分は反りがある。

「これは脇差という東の国の者に教えてもらった技術だ。切れ味重視でと頼まれたからな」
 ほう、この方が切れ味が良いのか。

「さっそく試し切りするか?」
「ああ、試させてもらう」
 これほど高ぶったのは久し振りだ。
 さっそく試し切りさせて貰おう。