手を振りながら無事を伝える。

「おーい。上手くいったぞー」
「何が上手くいっただ!一体何をしたらあんな危険な事が起こるんだ!」
「そうですよ!リュウ殿が死んだら大騒ぎでしたよ!」
「リュウさんよくぞご無事で!」
 おーい成功したんだから少しは褒めてくれよ。

「ところでリュウさん。その女性は?」
 マークさんがカリンを見て聞いてきた。

「こいつはカリン、炎の提供者だ」
 俺の左腕を抱き締めるカリンを紹介した。と言っても前から居るんだけどね。

「本当にその方があの鷲なのか?」
「そうだ。炎の渦のせいで見えなかっただろうが俺は目の前で見た」
「………なら納得するしかないか」
 そうそう、納得しとけ。
 これで剣の製作が進む可能性が出て来たんだから。

「それにしても美しい羽ですね」
 マークさんが落ちてたカリンの羽を拾って呟いた。
 本当に綺麗な羽と翼だよな。
 深くて濃い、紅の翼。
 きっとこの美しい翼はカリン以外誰も持っていないだろう。

「あ、当たり前ですよ…この羽が美しいのは……」
「どうしたドルフ。そんなに震えて?」
 本当にどうした?夏風邪か?

「リュウはその方の種族を知らないのですか?」
 ドルフが俺に聞いてきた、そういえば知らないな。

「カリン、お前の種族って何だ?」
「ん?私は迦楼羅天《ガルダ》だよ。パパ」
 ガルダって確か神鳥じゃなかったけ?確か神すら恐れた聖なる鷲で、蛇もしくは龍殺しの力ももつ民間信仰もある鷲、のはず。

「え、カリンってそんなとんでも種族の鷲だったの?」
「うん。とんでも種族は言い過ぎだと思うけど」
 はぁ、お前がとんでもじゃ無いなら、どんな種族がとんでもになるんだろ。

「ドワル、カリンの炎なら爺さんの牙どうにかできんじゃね?」
 しかしドワル及びその他はいまだに固まっている。

『むしろリュウの方があっさり受け入れすぎなのよ。私も初めて見たわよガルダなんて』
 そうだよな、一生のうちに会えるとは思えない存在だよな~。

『リルはカリンの炎で爺さんの牙を変化出来ると思うか?』
『どうかしら、ガルダとはいえ生まれて間もないから何とも言えないわ』
 やっぱ年季の入ってる方が強いのは当然か。

「流石にこれ以上の炎を探すのは難しいぞ」
 神鳥以上になるともう超高位のドラゴンか精霊しか思い付かない。

「それでもダメだった時は古龍にでも頼んでみるか?」
「むー、私ドラゴンより強いもん」
 カリンが妙な対抗心を持ってるな。ドラゴンには会わないようにしないと。

「流石にこれで十分だろう。カリン殿の炎なら剣が出来る」
 うんうん。ドワルもそう言ってるし、多分大丈夫だろう。

「ならさっそく工房に戻って剣の製作に戻ろう」
 引き返す時、マークさんが小声で。

「リュウさんリュウさん。落ちてる羽は貰ってもいいですか?」
「いんじゃない?自然と落ちた羽だし」
「ありがとうございます‼」
 その後マークさんを含む多くのギャラリーはカリンの羽集めに全力を出した。

 何でもカリンの羽でアクセサリーにして売ったり、対ドラゴン用の御守りとして持っておきたいとか。
 とりあえずカリンの炎で剣の製作が本格的になりました。