こうして始まった俺の冒険。今の状況はでっかい狼に咥えられどこかに移動中です!

 ……いや~何だろうここまで不思議体験になるとハイテンションになるのは何でだろ?

 何処に向かってるのかも全然分かんないし、とりあえず聞いてみるか。

「あの~俺はいったい何処に向かってるんでしょう?」

『森よ』

 何処の森だよ。
「何処の森でしょうか?」

『この大陸の中心の森よ。人間達があの森を何と呼んでいるかは知らないわ』

 大陸中心の森?確かそこって………

「確かそこって高位ドラゴンやら高位の精霊とかが住んでる森のことですか?」

『そうよ。それからいい加減その言い方はやめて、気に入らないの』

 あ、すみません。だから俺を咥える力を強くするのはやめて、地味に恐いから!

「わかったやめる。けど何でだ?お前ら高位の魔物はプライドが高いって聞いたんだが?」

『……ただの私の性格。皆私に遠慮してつまらないから、ペットのあなたにまで気を使われるのは私も疲れるのよ』

 ふーん、結構さばさばした性格と言うか気を使われるのが疲れるって魔物でも同じなのか。

「意外だな。もっと、こう何て言うんだ?傲慢と言うか人間を見下すイメージがあったからやっぱり意外だ」

『あら、それは間違ってないわ。人間何て私達より短い命だし、力も無い。そんな存在見下すなって方が変よ』

「じゃあ何で俺は良いんだ?ただ気に入ったってだけで」

『…何となく、よ』

 何となくって答えになってねーよ。ったく。
 でもま、何となく気に入った奴と一緒に居たいってのは分かるわ。俺もボッチで友達は犬猫っつー悲しい過去をもった寂しい人間だし。

『もうすぐ着くわ』

 ん?ああ、本当だ。『大森林』だ。


『大森林』、正確には『大陸中央精魔龍の大森林』だったりする。

『精霊』『魔物』『ドラゴン』の三竦みがいるバカでかい森だ。

 大森林は国によって言い方は違うらしいが、だいたいは『大森林』で通じる。

 基本的にさっき言った三種は仲が悪いと言われている。

『精霊』は樹木や湖、大地などからひょっこり生まれるらしい。精霊の本体となる樹木などは、人間には切り倒すのは難しいが昆虫型の魔物に喰われたり寄生され苗床にされたりする事もあるらしく魔物を嫌っている。

『魔物』は獲物を喰らい繁殖するので最も生物に近いと言われている。獣、鳥、昆虫、魚類型と種と数が多いのも特長の一つだ。ただ生物に近い分、種が違うと獲物にされるので魔物の中で食物連鎖はよく起こる。

 最後に『ドラゴン』だが俺はよく知らない。ドラゴンも魔物同様に繁殖はするらしいが、生物の進化によって生まれたのでは無いらしい。歴史的に見てもドラゴンは突然現れ、その強大な力で町や国を滅ぼすらしいが、理由は不明だとか。

 そして俺は、英雄どころか戦士でもない、平民の俺が暮らす場所になるのだろう。

 ………即死しないよな?俺。