さて外に出て来たのは良いんだが……

「ギャラリーが多くね?」
 そう、何か無駄に人が多いのだ。

「すまんすまん。これでも王族だから外に出るときはこうなるもんなんだよ」
「すみません、リュウ。こちらも出来るだけ静かにしたかったのですが……」
 流石王族、護衛の数が半端ない。色んな騎士が一杯いるよ。しかも完全装備だし。

「リュウさん頑張って下さい!」
 マークさんまでいる!完全に見せ物扱いだな、こっちは神聖な儀式のつもりだってのに。

『何か気に入らない』
『俺もだリル。見せ物扱いは気に入らねぇ』
『なら日を改める?』
『いや、いい。さっさと終わらせよう』
 俺は肩の上にいる鷲を抱き締める。
 そのまま頭を撫でると嬉しそうに鳴く。

「いいか、これから行うのは俺とお前が家族になるための儀式だ。『名付け』とはそういうもんだ」
 顔を合わせきちんと言う。
 この子も真面目に話を聞いている。

「お前が俺の家族になってくれると俺は嬉しい。でもこれはお前が決めろ。自分の意思で」
 この子は少し不思議そうに俺を見た。
 そしてまた俺に甘える。
 ……問題なさそうだ。

「それじゃ今からお前の『名前』は炎鈴《カリン》だ」
 その瞬間炎が俺とカリンを包んだ!
 え、何これ。リルのときはこんな派手な事は起らなかったんですけど!

『リュウ大丈夫!?』
「あれ、リル。どうやって来た?」
『無理矢理突っ込んで来たわ。この炎の渦かなり大きくなってるわよ』
「リル……久し振りに凛々しい状態になったな」
『それよりあの子は』
「すぐそこ」
 目の前で大きな卵のようになったカリンを指差す。

 何か浮いてるし。
 胎動しているように見えるそれは紅と金色が混じっているようにも見える。

「これは…生まれ変わるのか?」
『正確に言うと進化ね』
 これが『進化』か。
 魔獣には進化がある。普通の生物とは違い生きたまま進化するし、条件さえ揃えば一瞬で進化はすむ。

「……で何に進化すんの?」
『知らないわよ』
 ………完全にランダムかよ。

『本人が最も望む形と力の最善になるのが進化なのよ』
 そうなのか。で?

「カリンはどうなんの?」
『進化を邪魔すると本人にどんな影響を与えるか分からない。そっとして進化が終るのを待つしかないわ』
 ………なにも出来ないのか。
 ただ待つしか。

 そのまま少し待つと卵が少しずつ割れてきた!
 俺はつい手を広げて「カリンおいで‼」と叫んだ。
 そして卵が完全に割れた時、中から女の子が出て来た!

「パパ‼」
 え、パパ!?
 多分カリンが俺に抱きつく。

 紅い髪に少し金のメッシュが混じった髪、俺より少し低い身長でスタイルは女神のように均等で出るとこは出て、引っ込むとこは引っ込んでいる、すべての女性が羨む程だと思う。
 その声は鈴のように耳に響く。
 あと人間とは違い、紅い翼と紅い尾羽がある。
 俺もつい抱き締めたがこれ本当にカリンか?

「パパ、ちょっと進化に時間かかったけど成功したよパパ‼」
 あ、やっぱ俺の事なのね。

「あ、ああ。心配したぞカリン」
「ごめんなさい。パパと同じ形に成るのに時間使っちゃった」
 成る程、それで時間が掛かったのか。

『全く、無理矢理じゃ無いでしょうね』
「あ、お姉ちゃん。うん無理矢理じゃ無いよ」
『なら良いわ』
 リルがカリンの顔を舐める。
 カリンも嫌がらず、むしろ喜んでそれを受け入れた。

「リュウ無事か‼」
「リュウ殿生きてたら返事を下さい!」
「リュウさーん!」
 おっと、ドワル達の事忘れてた。
 炎の渦もいつの間にか無くなってたし、それじゃご報告に行きますか。

「リル、カリン。行こうか」
『そうだね』
「うん!」
 さてと、これからは三人で頑張りましょうか。