するとドルフは俺の少し前に立ち、頭を下げた。

「今回の件、謝罪させてもらう。しかし弁明はさせてほしい!」
 つまり、理由はあったって事か。しかし弁明と言っても内容によるとしか言い様が無いが一応聞いてみるか。

「いいよ。ただし手短にな」
 ドルフは一度深呼吸すると言った。

「私は貴方の革を見たときそれは美しい革だと思った。どれも滅多に市場やギルドの販売などでは見掛けない、A級やS級の素材を一目見て分かった。これは極上の品だと。所持者は調教師と聞いていたのでとにかく金に物を言わせればどうにかなると思った」
 ……俺の革ってそんなに良かったのか?素人の皮剥ぎが?
 そんな疑問が出たが話は続く。

「しかし貴方は私に売らないと言った。信用出来ないと。……私は何故か自分でも抑えられない程の怒りを覚えた。兄の真似で王をしている私を見透かされた気分になった」
「もう長すぎ、メンドイ、つまりお前は俺の革で何がしたかった?」
 途中で話を切られ、調子が悪くなったのか少し目を泳がせた後に言った。

「私も作りたかった。極上の素材で、極上の鎧を」
 は~、職人ってのは良い素材を見るとみんなこうなるのか?ドワルも爺さんの牙を見せた時滅茶苦茶食い付いたし。

「腕はどうなんだ?生半可な技術力じゃ加工すら出来ないんだろう?魔物の素材って」
「兄の鎧は私が作った武具の一つだ」
 何と、英雄ドワーフの鎧は弟作だったのか!

「鎧のご感想は?」
「この鎧に何度命を救われたか、それに手足もよく動く」
「今回は革だが?」
「問題無いだろう。ドルフは手先が器用だ、俺よりもな」
 実力も問題無いか……なら最高の一品のために頼んでみるか。

「なら俺からの条件を言わせてもらう。一つは全力で最高の一品を作ってもらう。二つ、足りない素材は俺が獲ってくるから言ってくれ。三つ目はお前ら兄弟で作れ、以上だ。そっちの条件は?」
 俺からは以上。なのにそっちは何で目をパチパチさせてる?

「一つ目は当然として分からんのは三つ目だ。俺達二人に依頼する、と言うことか?」
「当たり前だろ?どうせ二人同じ所に居るんだ、面倒だから二人でやった方が良い武具が出来そうだし」
「それは牙もか」
「当たり前。二人に俺の命を預ける」
 このぐらい言っとけば断りにくいし、格好いいじゃん。

「私もよろしいので?」
「俺は二人に依頼した。あといい加減堂々としろ、王様の弟か?それでもよ」
 いい加減ペコペコされるのは気に入らないし、やっぱこういう関係は対等じゃないといけない気がする。

「なら俺からの条件はまず炎の確保だ。かなりの魔物の炎を炉に入れる必用がある」
「分かった。で、ドルフの方は」
「私の方は今のところは問題ありません」
「それじゃ頼む」

 こうして俺の武具製作が始まった。