「久しいなリュウ。今まで何処にいた、探したぞ」
うん、この気配はドワルの気配だ。やっぱりゴタゴタは解決したみたい。

「この山の上の方に居たよ、あんまり離れる訳にも行かないしな」
「この鉱山はそれなりにランクの高い魔物が多くいたはずだが……まぁいい、そろそろお前の頼みを叶えるとしよう」
「それはありがたいが弟はどうなった?」
一応聞いておかないといけない件だ。

あの弟のせいでこっちは面倒臭い事が続いたのだから少しは仕返ししたい。
「弟はそこにいる」
え、いるの?

つい周りを見渡すと以前は居なかったひょろ長いおっさんがいた。もしかしてあれか?あれが弟のドルフなのか?

覇気もなければ戦闘もしたことの無い、大人しそうなおっさん。敢えて言うなら知能派、後方支援向きな気がする。

「これが問題起こした?」
つい指を指しながら聞いてしまった。

「そうだ。あれが弟のドルフだ」
そっかあれだったんだ……まだ敵意はあるから油断は危険か?

「ところで俺の革はあった?」
「あった。きれいにコレクションされておったわ」
なら売られるよりましか。

「それで服を作ってもらうために持ってきたし、ついでに服に加工してくれ」
「王に頼む内容では無いな」
「なら腕の良い職人を紹介してくれ」
「俺を超える職人はいないな」
「ならドワルに頼む」
まるでただの職人と冒険者みたいな会話だ。
実際は王と平民なんだよな。
変な関係。

「リュウ、お前に頼みがある」
「何だ炎の事か?」
「それだけではなく弟に仕事の一つを任せたい」
ほう、何を任せたいのかによるな。

「内容は」
「魔物の革を使った服の製作は弟に任せ、俺は短剣の製作に専念したい」
服の製作か、牙はドワル任せられるからそっちは気にしない。ただドルフは信用が無い。
てか腕は良いのか?

「俺が聞きたいのはそいつの腕と信用だ。どうなんだ?そいつは職人の誇りはあるのか?わざと不良品を渡れても俺が死ぬだけだ。そんな相手に命預けたくは無い」
正直な感想だ。俺は戦士職ではないが武具の大切さはよくわかっているつもりではある。信用出来ない武具で戦いには出たくない。
そして信用出来ない相手が作った武具など着たくも無い。

「だそうだ。どうするドルフ」