やっと入国できた。
 それにしても大森林の中央の魔物の素材ってそんなに希少だったのか?何匹かは俺一人でも狩れるぐらいの雑魚も居たはずだが。

「リュウさん遅かったですね」
「マークさん?待っていてくれたんですか!」
 ヤっべてっきり待って無いと思ってた。

「何か問題でもありましたか?この国は様々な方達が来るので審査は確かに厳しいですが、余りにも時間が掛かっていたので心配しましたよ」
「いやすみません。どうも素材の確認で時間が掛かってしまったようで」
「なるほど、魔物の皮を売りに来たと言っていましたからね」
「それから図々しいと思いますが、冒険者ギルドはどこにあるか教えてもらえないでしょうか?」
「構いませんよ。私もあなたの革に興味があります」
「なら報酬はその皮で」
「報酬だなんて、ただの道案内ですよ。『商人』として報酬は自分で作るものです」
 あぁ良い人だ。久しぶりの人間が良い人でよかった。

「ではこちらです」
 マークさんの案内で目指すは冒険者ギルドだ」
「はい着きましたよ」
「ってはやっ!」
 想像以上に近すぎだろ。

「入国後ギルドで依頼の達成や報告のために入り口近くに建てられたそうです」
 マークさんは笑いを耐えながら言った。

 いやそうだったんだ。マジで赤っ恥だよ。
 それにしても立派な建物だ。全部壁は石を切り取ってできた物を積み上げてきた物のようだし、デカデカとギルドマークまである。

『リュウ。ここでお金に換えるの?』
『そうだよ。ここで革とお金を交換するんだ』
『それじゃ見てくる!』
「おい!待てって!」
 リルが俺の腕から飛び出してギルドに行ってしまった。

「リュウさんも待って下さい!」
 それに続いてマークさんも続く。
 中に入ると案外人が少ない。まだ疎らに感じる。

「昼は皆仕事に出掛けているのですよ。夕方頃には皆帰って来ます」
 つまり皆仕事中なのか。
 ってそれよりリルは……いた。人の多さに驚いているのかすぐそこにいた。

「こら、勝手に走るな」
 優しく捕まえて抱き上げる。珍しいのは分かったがおとなしくしてくれ。

『リュウ。人間ってこんなに多いの?』
『これでも少ない方だって』
『……そうなんだ』
 まだ驚いているのようだ。全く可愛いなぁ。

「リュウさん。買い取り受付はこっちですよ」
 マークさんが手招きをしながら俺を呼ぶ。

 受付はいくつかあった。
 一つは一般受付。俺のようなギルドの会員ではない人が依頼を頼んだりする所。
 次は冒険者受付。冒険者が依頼の達成や報告をする所。
 最後は買い取り受付。依頼に関係のない魔物や動物の素材を買い取ってくれる場所。

 今回は素材の買い取りなので最後の受付になる。
「こんにちは、フォールクラウン支部にようこそ。今回はどのようなご用件でしょうか?」
「この素材を買い取って欲しいのですが……」

 そういや国も何かの素材が欲しいだったな。なら雑魚の素材一つでいいか。
 それで出したのは『超巨大猪《ジャイアントボア》』の皮、丸々一匹分を出した。
 体長8メートル程に育つマジでバカデカイ猪だ。このぐらいなら問題無いだろ。

「これ売ります」
「しょ、少々お待ち下さい」
 あれ?またどっか行った。ジャイアントボアなんて、ただのデカイ猪だろ?

「リュウさん。一体どこから持って来たんですか!?」
「どこってただの猪の皮ですよ」
「ただのじゃ無いですよ!ジャイアントボアはA級の魔物ですよ!そこら辺にいる猪と同じ扱いにしちゃいけませんよ‼」

 どうも大森林の生活で俺の感覚は鈍っていたらしい。まさかジャイアントボアごときが人間感覚だとかなりの強者扱いだったとは………

「あの皮一枚で幾らぐらいになるのでしょう?」
 マークさんは考えると。

「金貨50~60枚程でしょうか」
 50~60だと!?暫く遊んで暮らせる額だぞ。あんな猪一匹で5~60枚も儲かるとは。

「お待たせしました。ジャイアントボアの毛皮一枚で金貨62枚でよろしいでしょうか?」
 62!?マークさんの予想より高い!

「そ、それで良いです」
「ありがとうございました。こちら金貨62枚です、ご確認を」
 金貨10枚が積み重なった6つと金貨2枚が置かれた。初めて見たぞこんな大金。

「はい、ちょうどありました」
「ありがとうございました、またお持ち下さい」
 何か意外な形で大金を手に入れてしまった。

『早く美味しいの食べに行こ!』
『はいはい、わかったから落ち着けって』
「そうだマークさんも一緒に食べに行きませんか?今ならいろいろ奢れますよ」
「あ、ありがとうございます。ではお言葉に甘えて」

 さて先立つ物は手に入れた。後問題は明日の王様か?

【後書き】
この世界のお金の価値を書いておきます。
銅貨 100円
銀貨 1000円
金貨 10000円
大金貨 1000000円