次の日、まだ動きがぎこちない勇者達がいた。
「大丈夫かお前ら?」
「大丈夫、ただの筋肉痛」
「私は眠いだけ」
タイガは負担から後方で魔術ばっかり使っているせいか情けない事に。ティアは昨日の疲れがまだ取れてない様子。
グランさんとマリアさんもまだまだ疲れが堪えている様子。
マジでそんな実力で爺さんに挑もうと思ったな。
飯も終わり、闘技場に着いてから一つ言った。
「午前は俺が修行つけてやる。そのかわり午後は普通に修行するんでよろしく」
と宣言した。
「リュウがつけてくれるの?」
「だって昨日のやつを見る限りいきなりリル達のしごきには耐えられなさそうだし。最初だけ手伝ってやるよ」
どこかほっとした様にする勇者達、根性だけは俺の一人勝ちみたいだな。
俺はいきなり爺さんの修行で、音を上げながらも頑張っていたし。
「それじゃさっそく修行内容を言うぞ。まずは全員でカリンとオウカと鬼ごっこしてもらいます。まずは基礎体力から」
「「「「え」」」」
「とりあえず時間もないから30分間やった後に個別に修行内容に入るので、まずは軽く走りましょう」
「待ってよリュウ!それ軽くじゃないよ!」
「何言ってんだ、リルやアオイに比べればまだマシだろ?」
「リュウみたいな脳筋と一緒にしないでよ!」
「んな事言ったって俺はもっとヤバかったんだぞ。リルの群れの子供全員対俺一人の鬼ごっこ。ちなみに鬼は俺でしかも森の中で足場も悪かったり良かったり、木が邪魔になったり色々大変だったんだぞ」
おかげで早く身体能力向上系のスキルとか大量にゲット出来た訳だけど。
そう言うとタイガは黙った。
マリアさんはすでに絶望した表情でいる。
グランさんは少しでも走りやすくするためか鎧を脱ぎ始めた。
できれば鎧は着たままが良いが最初は良いか。
最後にティアは屈伸とかで準備運動をすでに始めていた。
「ちなみにカリンとオウカには、やる気を出させるために一言言っておいたので、思いっきり逃げてください。飛んでくるんで」
カリンとオウカは飛び易くするためか獣状態で準備万端。
いつでも飛び出せる格好になっている。
「それじゃあ10秒後に開始します。ついでに一番捕まった人には軽い罰ゲームがあるので気を付けてください。それじゃあ、いーち」
カウントを始めると四人は全力で距離をとった。
遮蔽物が全くない闘技場ではこうするしかない。
「はーち、きゅーう、じゅう!」
言い終わるとカリンとオウカは勢いよく飛び出した。
あとは観客席から見て誰が何回捕まったかカウントしながら終わるのを待つか。
「面倒なのでビリだけ言います。今回のビリはタイガです。てことでタイガには罰ゲームとして、このたらい一杯に氷の生成をしてもらいます。ほれ頑張れタイガ」
30分走らせまくった結果タイガとマリアさんは死にかけ、グランさんはどうにか生き残り、ティアは息を切らしながら俺を睨んでくる。
ただ全員文句を言う体力はないので荒い呼吸の音しか聞こえない。
タイガに無理矢理杖を持たせてたらいを渡す。コロンコロンと粒は小さいが確かに氷は生成されている。
タイガが氷を作っている間に休ませた後、本格的に修行を開始した。
まずはタイガから
「タイガには基礎体力の強化だな」
「僕魔術師だけど?」
「実を言うと魔術師も身体を鍛えた方が得なんだよ。とりあえずタイガ、弱い攻撃魔術出してみて」
タイガはよくわからなそうに風の基礎攻撃魔術を放った。
そして俺は軽く講義をするように言う。
「実は魔術にも反動はある。つまり作用反作用の関係だが、これって身体鍛えて耐えられるようになれば威力上がるんだよね」
「そんな脳筋な」
「そりゃ魔術師から見れば術式を書き換えればいいって思うかも知れないけど、この方が魔力量も上がるからいいんだよ」
そう言って俺もタイガと同じ魔術を放った。
威力もサイズもかなり違う。
「今のは分かりやすい様に派手にしたが、今のタイガじゃ無理だろ?」
「無理だね。悔しいけど量もその反動にも耐えられそうにない」
本当に悔しそうな顔になる。
今のは適当に出したが調整次第ではいくらでも応用が利く。
「てなわけでタイガは体力強化な」
納得してもらえたので次にいこう。
次はマリアさんだ。
「マリアさんは魔力を出来るだけ他の人の波長に合わせる訓練をしてもらいます」
「それは普段からしてるわよ?」
「しかし昨日ティアにかけたヒールは、マリアさんが焦っていたせいか、上手くいってませんでした」
昨日の連続ヒール、あの時実はティアはあまり回復していない事に俺は気付いた。
自身にかける場合なら問題ないが、他人にかける場合は一々他人の波長に合わせる必要がある。
「なので今回は平常心を保ったままヒールをかけることに専念しましょう。付加術でも何でも相手のサポートする系は相手の波長に合わせる必要がありますからね。てことで呪術っと」
「え!?これ何の呪いですか!」
「精神系で落ち着きをなくすだけです。その状態で訓練しましょう」
そう言ってカリンとオウカにヒールをかけさせる。
思いっきり遊ばせたので少しおねむな二人の体力を治してもらう。
次にグランさん。
「攻撃の一点集中はかなり難しいです。なのでここはアオイに任せます」
「よろしくお願いいたします。グラン様」
「おい、良いのか?この人を倒すための訓練だぞ」
「気にしませんよ。俺も最初はアオイに鍛えてもらったので」
あとはアオイに丸投げだ。
きっと強くしてくれるだろう。
最後にティア。
「ティアはとりあえず俺と組み手でもしようか」
「え、リュウが?」
「なんだよ不満か?」
「と言うより付いていけるか不安で……」
そういえば俺とアオイの組み手の映像を見たんだったな。
「あそこまで思いっきりしねぇよ。ちゃんと合わせるって」
「……うん」
「そっちから来な。先手は譲る」
そう言った後ティアは一つ息をつくと剣を構えて向かってくる。
俺はロウで何てことなく受け止める。
綺麗な剣筋で迫るティアの姿は、意外と綺麗だった。
もちろん実力はリル達に比べて弱いが十分強い方だ。
ある程度軽く打ち合うと俺も少しずつスピードを上げていこう。
「ここから速度上げるぞティア」
「一々言わなくていい!」
熱が入ってきたのか力の入った剣を簡単に躱した。
ここから俺は攻撃せず、避けるのと目に見えるぎりぎりの速度で走るのみ。
「くっ!」
「それじゃあ修行開始だ。昨日言ったように気配で探しながら俺に剣を当ててみな」
一応ティアの目に見える速度だからかやはり目で追ってしまう。
しかし剣を振り落とした時にはすでに俺はいない。
「もう少し勘を信じろ」
そういっても目で追いかけ続けてしまうティア。
仕方ないので一度中止した。
「少しやり方変えるからこれ付けて」
「これどうするの?」
「目隠しだよ。剣は握らなくていいからそれで目を隠しながら俺を探してみろ。一度視覚だけない状態でやってみよう」
黒い布を眼もとで巻き付けていく。
鎧を着た女が目隠しされているのは少しシュールな気がするが仕方ないだろう。
「見えるかティア?」
「見えないに決まってるでしょリュウ」
「なら始めるぞ。一応音だけは出しとくからそれを目印に探しな」
俺はわざと音を出すように歩くとティアもふらふらと俺に向かって歩き出す。
ティアは少し目に頼りすぎだ。
他の感覚、嗅覚や聴覚も頼りに動けるようになれば大分改善されると思うが……
「ねえリュウ。リュウはどうやって出来るようになったの?」
ふらふらとさまよいながら聞いてくるティアは危なっかしいが答えた。
「いつの間にか、かな?」
「なんで疑問形?」
「夜中の鬼ごっこでいつの間にか覚えてたんだよ」
「夜中の鬼ごっこ?」
なぜかティアから黒いオーラが出始めた。
俺なんか変な事言ったか?
「リルんとこの子供と鬼ごっこしたって言ったろ?それは夜中にもしててさ。視覚はほとんど使えない中での鬼ごっこだったから、耳と鼻、肌に感じる風の感覚で追いかけるしかなかったんだよ。そうしている間に出来るようになった」
「………過酷な鬼ごっこだね」
「ほんと大変だった。月明かりがあるときはよかったが、新月や星すらない曇りなんかはマジ大変、木の根や石ころとかにも気を付けないといけないからな」
「……リュウは無茶ばっかり」
「そうしないと強くなれなかった」
話をしながらのはずだがまだティアは、たまによく分からない方向に歩こうとする事がたまにあった。
こりゃ大変かも。
「大丈夫かお前ら?」
「大丈夫、ただの筋肉痛」
「私は眠いだけ」
タイガは負担から後方で魔術ばっかり使っているせいか情けない事に。ティアは昨日の疲れがまだ取れてない様子。
グランさんとマリアさんもまだまだ疲れが堪えている様子。
マジでそんな実力で爺さんに挑もうと思ったな。
飯も終わり、闘技場に着いてから一つ言った。
「午前は俺が修行つけてやる。そのかわり午後は普通に修行するんでよろしく」
と宣言した。
「リュウがつけてくれるの?」
「だって昨日のやつを見る限りいきなりリル達のしごきには耐えられなさそうだし。最初だけ手伝ってやるよ」
どこかほっとした様にする勇者達、根性だけは俺の一人勝ちみたいだな。
俺はいきなり爺さんの修行で、音を上げながらも頑張っていたし。
「それじゃさっそく修行内容を言うぞ。まずは全員でカリンとオウカと鬼ごっこしてもらいます。まずは基礎体力から」
「「「「え」」」」
「とりあえず時間もないから30分間やった後に個別に修行内容に入るので、まずは軽く走りましょう」
「待ってよリュウ!それ軽くじゃないよ!」
「何言ってんだ、リルやアオイに比べればまだマシだろ?」
「リュウみたいな脳筋と一緒にしないでよ!」
「んな事言ったって俺はもっとヤバかったんだぞ。リルの群れの子供全員対俺一人の鬼ごっこ。ちなみに鬼は俺でしかも森の中で足場も悪かったり良かったり、木が邪魔になったり色々大変だったんだぞ」
おかげで早く身体能力向上系のスキルとか大量にゲット出来た訳だけど。
そう言うとタイガは黙った。
マリアさんはすでに絶望した表情でいる。
グランさんは少しでも走りやすくするためか鎧を脱ぎ始めた。
できれば鎧は着たままが良いが最初は良いか。
最後にティアは屈伸とかで準備運動をすでに始めていた。
「ちなみにカリンとオウカには、やる気を出させるために一言言っておいたので、思いっきり逃げてください。飛んでくるんで」
カリンとオウカは飛び易くするためか獣状態で準備万端。
いつでも飛び出せる格好になっている。
「それじゃあ10秒後に開始します。ついでに一番捕まった人には軽い罰ゲームがあるので気を付けてください。それじゃあ、いーち」
カウントを始めると四人は全力で距離をとった。
遮蔽物が全くない闘技場ではこうするしかない。
「はーち、きゅーう、じゅう!」
言い終わるとカリンとオウカは勢いよく飛び出した。
あとは観客席から見て誰が何回捕まったかカウントしながら終わるのを待つか。
「面倒なのでビリだけ言います。今回のビリはタイガです。てことでタイガには罰ゲームとして、このたらい一杯に氷の生成をしてもらいます。ほれ頑張れタイガ」
30分走らせまくった結果タイガとマリアさんは死にかけ、グランさんはどうにか生き残り、ティアは息を切らしながら俺を睨んでくる。
ただ全員文句を言う体力はないので荒い呼吸の音しか聞こえない。
タイガに無理矢理杖を持たせてたらいを渡す。コロンコロンと粒は小さいが確かに氷は生成されている。
タイガが氷を作っている間に休ませた後、本格的に修行を開始した。
まずはタイガから
「タイガには基礎体力の強化だな」
「僕魔術師だけど?」
「実を言うと魔術師も身体を鍛えた方が得なんだよ。とりあえずタイガ、弱い攻撃魔術出してみて」
タイガはよくわからなそうに風の基礎攻撃魔術を放った。
そして俺は軽く講義をするように言う。
「実は魔術にも反動はある。つまり作用反作用の関係だが、これって身体鍛えて耐えられるようになれば威力上がるんだよね」
「そんな脳筋な」
「そりゃ魔術師から見れば術式を書き換えればいいって思うかも知れないけど、この方が魔力量も上がるからいいんだよ」
そう言って俺もタイガと同じ魔術を放った。
威力もサイズもかなり違う。
「今のは分かりやすい様に派手にしたが、今のタイガじゃ無理だろ?」
「無理だね。悔しいけど量もその反動にも耐えられそうにない」
本当に悔しそうな顔になる。
今のは適当に出したが調整次第ではいくらでも応用が利く。
「てなわけでタイガは体力強化な」
納得してもらえたので次にいこう。
次はマリアさんだ。
「マリアさんは魔力を出来るだけ他の人の波長に合わせる訓練をしてもらいます」
「それは普段からしてるわよ?」
「しかし昨日ティアにかけたヒールは、マリアさんが焦っていたせいか、上手くいってませんでした」
昨日の連続ヒール、あの時実はティアはあまり回復していない事に俺は気付いた。
自身にかける場合なら問題ないが、他人にかける場合は一々他人の波長に合わせる必要がある。
「なので今回は平常心を保ったままヒールをかけることに専念しましょう。付加術でも何でも相手のサポートする系は相手の波長に合わせる必要がありますからね。てことで呪術っと」
「え!?これ何の呪いですか!」
「精神系で落ち着きをなくすだけです。その状態で訓練しましょう」
そう言ってカリンとオウカにヒールをかけさせる。
思いっきり遊ばせたので少しおねむな二人の体力を治してもらう。
次にグランさん。
「攻撃の一点集中はかなり難しいです。なのでここはアオイに任せます」
「よろしくお願いいたします。グラン様」
「おい、良いのか?この人を倒すための訓練だぞ」
「気にしませんよ。俺も最初はアオイに鍛えてもらったので」
あとはアオイに丸投げだ。
きっと強くしてくれるだろう。
最後にティア。
「ティアはとりあえず俺と組み手でもしようか」
「え、リュウが?」
「なんだよ不満か?」
「と言うより付いていけるか不安で……」
そういえば俺とアオイの組み手の映像を見たんだったな。
「あそこまで思いっきりしねぇよ。ちゃんと合わせるって」
「……うん」
「そっちから来な。先手は譲る」
そう言った後ティアは一つ息をつくと剣を構えて向かってくる。
俺はロウで何てことなく受け止める。
綺麗な剣筋で迫るティアの姿は、意外と綺麗だった。
もちろん実力はリル達に比べて弱いが十分強い方だ。
ある程度軽く打ち合うと俺も少しずつスピードを上げていこう。
「ここから速度上げるぞティア」
「一々言わなくていい!」
熱が入ってきたのか力の入った剣を簡単に躱した。
ここから俺は攻撃せず、避けるのと目に見えるぎりぎりの速度で走るのみ。
「くっ!」
「それじゃあ修行開始だ。昨日言ったように気配で探しながら俺に剣を当ててみな」
一応ティアの目に見える速度だからかやはり目で追ってしまう。
しかし剣を振り落とした時にはすでに俺はいない。
「もう少し勘を信じろ」
そういっても目で追いかけ続けてしまうティア。
仕方ないので一度中止した。
「少しやり方変えるからこれ付けて」
「これどうするの?」
「目隠しだよ。剣は握らなくていいからそれで目を隠しながら俺を探してみろ。一度視覚だけない状態でやってみよう」
黒い布を眼もとで巻き付けていく。
鎧を着た女が目隠しされているのは少しシュールな気がするが仕方ないだろう。
「見えるかティア?」
「見えないに決まってるでしょリュウ」
「なら始めるぞ。一応音だけは出しとくからそれを目印に探しな」
俺はわざと音を出すように歩くとティアもふらふらと俺に向かって歩き出す。
ティアは少し目に頼りすぎだ。
他の感覚、嗅覚や聴覚も頼りに動けるようになれば大分改善されると思うが……
「ねえリュウ。リュウはどうやって出来るようになったの?」
ふらふらとさまよいながら聞いてくるティアは危なっかしいが答えた。
「いつの間にか、かな?」
「なんで疑問形?」
「夜中の鬼ごっこでいつの間にか覚えてたんだよ」
「夜中の鬼ごっこ?」
なぜかティアから黒いオーラが出始めた。
俺なんか変な事言ったか?
「リルんとこの子供と鬼ごっこしたって言ったろ?それは夜中にもしててさ。視覚はほとんど使えない中での鬼ごっこだったから、耳と鼻、肌に感じる風の感覚で追いかけるしかなかったんだよ。そうしている間に出来るようになった」
「………過酷な鬼ごっこだね」
「ほんと大変だった。月明かりがあるときはよかったが、新月や星すらない曇りなんかはマジ大変、木の根や石ころとかにも気を付けないといけないからな」
「……リュウは無茶ばっかり」
「そうしないと強くなれなかった」
話をしながらのはずだがまだティアは、たまによく分からない方向に歩こうとする事がたまにあった。
こりゃ大変かも。