あれからどのぐらい時間が経ったんだろ?
この森で修行ばっかりしてたから今日が何日なのか全くわからん。
ただ分かるのは何となく暑くなってきたことだけ、お嬢と会ったのは春頃だったからもうすぐ夏になるのかねぇ。
『リュウ何してるの?』
お嬢が俺を見つけて走って来た。
「ん?ただもうすぐ夏だなぁって思ってただけ」
『そうねぇ。夏になれば美味しい獲物が増えて嬉しい季節よね』
相変わらず飯が一番かよ。
コカトリスを狩った後、他の狼達に認められた。
お嬢の親父さんもしぶしぶではあったけど認めてくれた。
それからは少しずつ狩りのアドバイスをくれたり、森を走る時何を気を付けるか、組手の相手もしてくれるようにもなった。
おかげで大分狩りも上達したし、身体も大分頑丈になったので感謝しかない。
ただ問題も起きた。
いや個人的には嬉しいんだが、お嬢がよく俺に身体や顔を擦り付けるようになった。
どうもこれが親父さんの逆鱗に触れたらしく、よく追いかけ回される。よく『娘の甘えは私のものだ‼』と本気で殺しにくるので意外とこれが一番の修行だった気がする。
それと驚いたのは親父さんは意外と地位が低かった事。
一番偉いのは爺さん、二番目は爺さんの奥さんの婆ちゃん、三番目はお嬢のお袋さんで、やっと親父さんが四番目に偉いと。
だから親父さんの嫉妬で追いかけ回されると、毎度お袋さんが親父さんを踏みつけるってのがお約束に成りつつある。
だからとても楽しい生活だった。狩りして、組手して、寝るだけだが、ただ牧場で働いていた時よりとても充実している。
もう一つ問題がある。
それは俺の服事情だ。ずっと着ていた一張羅が完全にボロボロだと言うこと。
むしろここまでよく頑張りましたと、言いたいがもう限界だ。
だから一度町で服を買いに行きたいと感じていた。
「やっぱダメかな」
『何がダメなの?』
「一度町に行って服を買いたいんだよ」
『そこいらの魔物の毛じゃダメなの?』
「そんな服を作る技術は持ってない。できるなら魔物の毛を使った物の方が頑丈で良いんだけどね」
『なら持って行けば良いじゃない。その服を作る人間の所に』
「それはそれで金がいるんだよ」
『人間ってよくわからない仕組みの中で生きているのね』
ま、お嬢が言ってるのも間違いじゃ無い。
「ま、とりあえず爺さんに相談してくるか」
『そうね。お祖父様に聞いてからになるものね』
そんで爺さんと相談中。
『人間の町か………』
ま、そりゃ悩むよな。親父さんが言ってた情報漏洩に繋がる話でもあるし。
『やはり止めるべきでは?』
『私も止めるべきだと考えます』
『しかしリュウには大切な問題ですよ。リュウには我々のような毛皮は無いのですから』
上から奥さん、親父さん、婆ちゃんの順です。
普通に爺さんに相談しに行った時、自分一人で決める問題では無いと判断したので、フェンリルトップ会談と言う、家族会議が始まった。
『まぁ、そのみすぼらしい姿をしていればいずれ当たる問題じゃったか』
『そうですね。上半身裸ですし』
『ふん。獣としては正しい姿ではないか』
『黙りなさい』
親父さんが奥さんに踏まれる。親父さん、いい加減学べ。
『お祖父様、お祖父様の知り合いに人間は居ないのですか?』
『う~む、流石に人間は……ん?』
『あなた、人間の知り合いはいませんでしたよね?』
『リュウ、一つ質問だが必ずしも人間でなければならないと、言うことは無いかの?』
「ん?ああ、服さえ買えるなら何処でもいいぞ」
何だその確認?
『なら知り合いの『鍛冶亜人《ドワーフ》』を紹介してもよいか?』
ドワーフか、話には聞いた事はあるが会った事は無いな。
「どんな連中なんだ?」
『背は低いが怪力で手先が器用でな、あやつなら服も作れるじゃろう』
「でも職人気質な奴らは気が難しいって聞くぞ。人間だってそうだったし」
『ま、儂に恩もあるし素材さえ有ればこしらえてくれるわい』
素材さえ有れば良いならこっちも楽だ。でもどんな素材が良いんだ?
『とりあえず中央の森で服の素材になりそうな物を見繕うか』
『お待ち下さい、お義父様。この者一人では我々の事を色々と話すかもしれません』
親父さん……踏みつけられているのに言う時は言うのか。
『ならば孫に行かせればよい』
『娘を行かせるのですか!?』
『そろそろ世界を見せておくべきじゃろうて』
つまり俺とお嬢の二人、いや一人と一匹旅になるのか。
『その男とだけは‼』
『いや行かせる。よいな孫よ』
『はい!リュウと共に旅に行って参ります‼』
お嬢も尻尾ブンブン振っちゃてまぁ可愛い。そんなに旅がしたかったのか?
『お父様それは素晴らしい案です。リュウ、娘をよろしく頼みますよ』
『わたくしからもお願いしますね、リュウ』
「はい‼承知しました‼」
なんだろう?奥さんと婆ちゃんからやけに期待されているような……
『グルルルルルルゥゥゥゥゥゥ‼』
親父さん恐い恐い。
『では儂とリュウは服の素材を集めて来よう。おまえと娘は孫にあの術を教えてやってくれ』
『『わかりました』』
さて、どんな旅になるもんだか。
【後書き】
リュウのカード情報をここに書いておこうと思います。
名前 リュウ
職業 調教師
性別 男
スキル『調教師』『身体能力強化』『五感強化』『第六感』『自己再生』『威圧』『毒無効』『麻痺無効』『精神攻撃耐性』
魔術 火水風魔術 魔力放出
この森で修行ばっかりしてたから今日が何日なのか全くわからん。
ただ分かるのは何となく暑くなってきたことだけ、お嬢と会ったのは春頃だったからもうすぐ夏になるのかねぇ。
『リュウ何してるの?』
お嬢が俺を見つけて走って来た。
「ん?ただもうすぐ夏だなぁって思ってただけ」
『そうねぇ。夏になれば美味しい獲物が増えて嬉しい季節よね』
相変わらず飯が一番かよ。
コカトリスを狩った後、他の狼達に認められた。
お嬢の親父さんもしぶしぶではあったけど認めてくれた。
それからは少しずつ狩りのアドバイスをくれたり、森を走る時何を気を付けるか、組手の相手もしてくれるようにもなった。
おかげで大分狩りも上達したし、身体も大分頑丈になったので感謝しかない。
ただ問題も起きた。
いや個人的には嬉しいんだが、お嬢がよく俺に身体や顔を擦り付けるようになった。
どうもこれが親父さんの逆鱗に触れたらしく、よく追いかけ回される。よく『娘の甘えは私のものだ‼』と本気で殺しにくるので意外とこれが一番の修行だった気がする。
それと驚いたのは親父さんは意外と地位が低かった事。
一番偉いのは爺さん、二番目は爺さんの奥さんの婆ちゃん、三番目はお嬢のお袋さんで、やっと親父さんが四番目に偉いと。
だから親父さんの嫉妬で追いかけ回されると、毎度お袋さんが親父さんを踏みつけるってのがお約束に成りつつある。
だからとても楽しい生活だった。狩りして、組手して、寝るだけだが、ただ牧場で働いていた時よりとても充実している。
もう一つ問題がある。
それは俺の服事情だ。ずっと着ていた一張羅が完全にボロボロだと言うこと。
むしろここまでよく頑張りましたと、言いたいがもう限界だ。
だから一度町で服を買いに行きたいと感じていた。
「やっぱダメかな」
『何がダメなの?』
「一度町に行って服を買いたいんだよ」
『そこいらの魔物の毛じゃダメなの?』
「そんな服を作る技術は持ってない。できるなら魔物の毛を使った物の方が頑丈で良いんだけどね」
『なら持って行けば良いじゃない。その服を作る人間の所に』
「それはそれで金がいるんだよ」
『人間ってよくわからない仕組みの中で生きているのね』
ま、お嬢が言ってるのも間違いじゃ無い。
「ま、とりあえず爺さんに相談してくるか」
『そうね。お祖父様に聞いてからになるものね』
そんで爺さんと相談中。
『人間の町か………』
ま、そりゃ悩むよな。親父さんが言ってた情報漏洩に繋がる話でもあるし。
『やはり止めるべきでは?』
『私も止めるべきだと考えます』
『しかしリュウには大切な問題ですよ。リュウには我々のような毛皮は無いのですから』
上から奥さん、親父さん、婆ちゃんの順です。
普通に爺さんに相談しに行った時、自分一人で決める問題では無いと判断したので、フェンリルトップ会談と言う、家族会議が始まった。
『まぁ、そのみすぼらしい姿をしていればいずれ当たる問題じゃったか』
『そうですね。上半身裸ですし』
『ふん。獣としては正しい姿ではないか』
『黙りなさい』
親父さんが奥さんに踏まれる。親父さん、いい加減学べ。
『お祖父様、お祖父様の知り合いに人間は居ないのですか?』
『う~む、流石に人間は……ん?』
『あなた、人間の知り合いはいませんでしたよね?』
『リュウ、一つ質問だが必ずしも人間でなければならないと、言うことは無いかの?』
「ん?ああ、服さえ買えるなら何処でもいいぞ」
何だその確認?
『なら知り合いの『鍛冶亜人《ドワーフ》』を紹介してもよいか?』
ドワーフか、話には聞いた事はあるが会った事は無いな。
「どんな連中なんだ?」
『背は低いが怪力で手先が器用でな、あやつなら服も作れるじゃろう』
「でも職人気質な奴らは気が難しいって聞くぞ。人間だってそうだったし」
『ま、儂に恩もあるし素材さえ有ればこしらえてくれるわい』
素材さえ有れば良いならこっちも楽だ。でもどんな素材が良いんだ?
『とりあえず中央の森で服の素材になりそうな物を見繕うか』
『お待ち下さい、お義父様。この者一人では我々の事を色々と話すかもしれません』
親父さん……踏みつけられているのに言う時は言うのか。
『ならば孫に行かせればよい』
『娘を行かせるのですか!?』
『そろそろ世界を見せておくべきじゃろうて』
つまり俺とお嬢の二人、いや一人と一匹旅になるのか。
『その男とだけは‼』
『いや行かせる。よいな孫よ』
『はい!リュウと共に旅に行って参ります‼』
お嬢も尻尾ブンブン振っちゃてまぁ可愛い。そんなに旅がしたかったのか?
『お父様それは素晴らしい案です。リュウ、娘をよろしく頼みますよ』
『わたくしからもお願いしますね、リュウ』
「はい‼承知しました‼」
なんだろう?奥さんと婆ちゃんからやけに期待されているような……
『グルルルルルルゥゥゥゥゥゥ‼』
親父さん恐い恐い。
『では儂とリュウは服の素材を集めて来よう。おまえと娘は孫にあの術を教えてやってくれ』
『『わかりました』』
さて、どんな旅になるもんだか。
【後書き】
リュウのカード情報をここに書いておこうと思います。
名前 リュウ
職業 調教師
性別 男
スキル『調教師』『身体能力強化』『五感強化』『第六感』『自己再生』『威圧』『毒無効』『麻痺無効』『精神攻撃耐性』
魔術 火水風魔術 魔力放出