まさかのティアからの告白に動揺する俺だが、ここは慎重かつ、正直に言わないとダメだろうな。
まず俺は魔物といるのだから、堂々と付き合ってるとは言えない関係だ。
教会が最も顕著だが、やはり他の人間からも非難は受けるだろうし、リル達の事は受け入れてはもらえないだろう。
ってそうじゃなくて今はティアの気持ちに答えるのが先か。
次は落ち着いてティアについて考える。
確かにティアは美少女だし男としてはこれ以上ないお誘いだろう。
背も高く、澄んだ瞳、綺麗な長い金髪、胸は少し小さめだが全くないとも言えない。
そんな美少女が俺の事を好きだと言ったんだ。
普通ならはいの一択だろう。
でも俺の感情は?ティアの事は女の子として見てはいるけど、そこには本当に恋愛感情があるのか?
リルやカリン達には確かに恋愛感情だと思うものはある。
でもティアにはない。
それが答えでいいのか?
「……決めたよ。ティア」
「それで返事は?」
「答えはごめんなさいだ。俺はティアの事も大事だけど、そこに恋愛感情はない」
「そっか……」
やはり落ち込むティア。
そりゃ落ち込むよな。
「やっぱりダメか。そうだよね、だってリュウが私を見る眼とリルさん達を見る眼は違うもん」
「そんな分かり易かったか?」
「分かるよ。今まで見た事のない表情だったから」
どこか寂しそうな顔を見せる。
こんな顔を見るとやっぱり揺らぐ。でもきっとその感情で接してはいけないのだろう。
「その、こんな状況で言うセリフじゃないと思うけどさ。リル達とは違う意味だけどやっぱり俺はお前に傷付いたりはして欲しくない」
「本当に、こんな状況で言うセリフじゃないよ。まだ希望あるかもって思っちゃうじゃん!」
「これからも腐れ縁として、親友として頼む」
そう言ってから俺は部屋を出た。
部屋を出たところにタイガがいた。
「……なんて言った?」
「断った。俺はあいつに恋愛感情はない、それなのに付き合うのはダメだろ」
「そう。ろくに考えず断ったならまた殴ろうかと思ったけど、ちゃんと考えて断ったなら殴らないでおく」
「それにしても俺の知らないところで三角関係になっていたとは驚きだ」
俺は自分の部屋に向かって歩き出す。
タイガは自然と俺を追いかける。
「気付いてないのはリュウだけだったからね。僕達は知ってたけど」
「てかティアの事慰めなくていいのか?」
「さすがにここは女性陣に任せようよ。僕には出来ない」
「ならここは二人で恋愛トークでもするか?場所は……どうする?」
「しないよ。でもリュウの部屋に行きたい。彼女達に会って話を聞きたい」
「本気か?てか今までの黒いオーラはどうした?」
「わざとだよ。いや、わざとでもないか。なんだかティアを弄んでいるようで嫌だったんだ」
確かにそれじゃあ気に入らないだろうな。
ティアの気持ちを知らなかったとはいえ、俺もはっきりとした態度を取らないといけなかったんだろう。
そして俺達の部屋に着いた。
部屋の中にはリル達がいる。
「ただいま~」
「パパお帰り!」
「お帰りなのだ!」
扉を開けていきなり飛びついてきた二人に驚きながらも抱きしめる。
う~んこの抱き心地はたまらない。
「えっと」
「この人は確かパパのお友達?」
「そうそう、お友達でお客さんだから少し落ち着きな、お前達に少し話が聞きたいんだとさ」
「話とはどんな内容なのだ?」
「それは本人に聞いてくれ。ほれ入んな」
「お邪魔します……」
少し気圧されながらも入ってくるタイガ、たぶんゲンさんが見せた映像では二人は人型になっていなかったので分からないのだろう。
アオイはすでにお茶の準備をしていた。
「こんにちは賢者」
「こんにちは、えっと」
「リルでいいわよ。それで話とは私から聞きたいの?」
「いえ、できれば皆様全員に聞きたいのですがよろしいでしょうか?」
「私は構わない。カリンとオウカはどう?」
「難しい話じゃないならいいよ」
「私はお祖母様と相談しながら答えるので問題ないのだ」
「ありがとうございます。では早速よいでしょうか」
いったい何を聞きたいのか気になるな。
タイガは賢者、頭の回転なら俺よりも早い。
こいつは昔っから頭が良かった。
「貴女方知性の高い魔物から見た人間はどんな存在でしょうか」
「どんな、と言うと?」
「感想でも構いませんが、魔物側から見た人間と言う種について聞いてみたいので、そう言わせてもらいました」
つまりタイガは魔物が人間ついてどう考えているか聞きたいって事か?
「まず私から言わせてもらうけど、どうでもいい存在だわ。弱く短命な生物。武器や魔法を発展させて対抗してはいるけれど、私から見れば取るに足らない相手よ」
「では自ら害ある存在として排除する事はない、と」
「基本的にはね。でも私たちの縄張りで何かするつもりなら、容赦なく排除させてもらうわ」
「ありがとうございます。では次は……」
タイガがリルに質問をしている内にアオイがお茶を入れてくれた。
話の邪魔をせず、そっと置く姿はまさにプロだ。
「紅い髪の人はどう思ってますか?」
「私はカリンだよ。えっと感想でもいいんだよね?」
「構いません」
「私は人間って複雑な事をいつも考えてる気がする。パパもだけど、良い人と悪い人に別れてて、それに複雑で私には理解出来ないところが多いって思う」
「ちなみに人間に対して怒りなどを感じたときはありますか?」
「あるよ。前にエルフの村を襲おうとしてきた人間は嫌だったから、全員燃やした」
さらっと全員燃やしたとか言わないの。
燃やす発言でタイガの目が大きく開いたぞ。
「分かりました。ではそこの小さい子はどう思ってますか?」
「小さいは止めるのだ。お祖母様、好きに言って構わないか?」
「構いませんよ。ただしちゃんと伝わるように言いなさい」
「うむ。人間にあったのはリュウが初めてであったが、人間はよく分からんと言うのが感想なのだ。おそらくカリン姉さまと同じだと思う。あまり会った事がないと言うのもあるが、リュウの志向を見る限りすぐに答えを出すのは難しいのだ」
「ではせめて人間のイメージだけでもお願いします」
「イメージは……とにかく種として弱いのだ」
伝わったかな~?
結局大した答えはまだ持ってないみたいだし子供にしては答えられた方かな?
「では次にメイドさん」
「私はアオイと申します。ほとんどはリル様と同意見ですが、私は人間を警戒しています」
「警戒ですか?」
「はい。私は長い時間生きていましたが、稀に、本当にごく稀にですが、リュウ様の様な強者が現れる事もありますので警戒はしています」
「現れた場合はどうしますか」
「そこはその者によるとしか言えません。敵となるなら排除しますし、我々に干渉せず生きるのなら我々も干渉する事はありません」
これはどう感じたんだ?
よく言えば敵意を出さなければ襲わないと言ってる様なものだし、逆に言えば敵意があるなら殺すと言ってんだ。
しかも強者が警戒してる発言もどう取るか気になる。
「……分かりました。皆さんの言葉を直接聞けて良かったです」
「何かいい事は聞けたか?」
「収穫はあったよ。皆さん人間に対してそんなに敵意はない事、そしてこっちから戦いを挑まない限りはそっちからも戦う事はもなさそうだ」
どこか疲れたように言うタイガはお茶を一口飲んだ。
一息付くとソファ-に寄りかかる。
「それに皆さんがすぐに話してくれたからスムーズにいけた」
「俺の嫁は悪い子じゃないからな」
俺も茶を飲みながら答えるとタイガは立ち上がった。
「それじゃあ僕はもう行くね」
「茶一杯飲んだだけでいいのか?」
「やっぱりティアの事も気になるし早めに行くよ」
「……フォローよろしく」
「はいはい、いつだってティアをフォローするのは僕の役目だからね」
そう言って部屋を出た。
まず俺は魔物といるのだから、堂々と付き合ってるとは言えない関係だ。
教会が最も顕著だが、やはり他の人間からも非難は受けるだろうし、リル達の事は受け入れてはもらえないだろう。
ってそうじゃなくて今はティアの気持ちに答えるのが先か。
次は落ち着いてティアについて考える。
確かにティアは美少女だし男としてはこれ以上ないお誘いだろう。
背も高く、澄んだ瞳、綺麗な長い金髪、胸は少し小さめだが全くないとも言えない。
そんな美少女が俺の事を好きだと言ったんだ。
普通ならはいの一択だろう。
でも俺の感情は?ティアの事は女の子として見てはいるけど、そこには本当に恋愛感情があるのか?
リルやカリン達には確かに恋愛感情だと思うものはある。
でもティアにはない。
それが答えでいいのか?
「……決めたよ。ティア」
「それで返事は?」
「答えはごめんなさいだ。俺はティアの事も大事だけど、そこに恋愛感情はない」
「そっか……」
やはり落ち込むティア。
そりゃ落ち込むよな。
「やっぱりダメか。そうだよね、だってリュウが私を見る眼とリルさん達を見る眼は違うもん」
「そんな分かり易かったか?」
「分かるよ。今まで見た事のない表情だったから」
どこか寂しそうな顔を見せる。
こんな顔を見るとやっぱり揺らぐ。でもきっとその感情で接してはいけないのだろう。
「その、こんな状況で言うセリフじゃないと思うけどさ。リル達とは違う意味だけどやっぱり俺はお前に傷付いたりはして欲しくない」
「本当に、こんな状況で言うセリフじゃないよ。まだ希望あるかもって思っちゃうじゃん!」
「これからも腐れ縁として、親友として頼む」
そう言ってから俺は部屋を出た。
部屋を出たところにタイガがいた。
「……なんて言った?」
「断った。俺はあいつに恋愛感情はない、それなのに付き合うのはダメだろ」
「そう。ろくに考えず断ったならまた殴ろうかと思ったけど、ちゃんと考えて断ったなら殴らないでおく」
「それにしても俺の知らないところで三角関係になっていたとは驚きだ」
俺は自分の部屋に向かって歩き出す。
タイガは自然と俺を追いかける。
「気付いてないのはリュウだけだったからね。僕達は知ってたけど」
「てかティアの事慰めなくていいのか?」
「さすがにここは女性陣に任せようよ。僕には出来ない」
「ならここは二人で恋愛トークでもするか?場所は……どうする?」
「しないよ。でもリュウの部屋に行きたい。彼女達に会って話を聞きたい」
「本気か?てか今までの黒いオーラはどうした?」
「わざとだよ。いや、わざとでもないか。なんだかティアを弄んでいるようで嫌だったんだ」
確かにそれじゃあ気に入らないだろうな。
ティアの気持ちを知らなかったとはいえ、俺もはっきりとした態度を取らないといけなかったんだろう。
そして俺達の部屋に着いた。
部屋の中にはリル達がいる。
「ただいま~」
「パパお帰り!」
「お帰りなのだ!」
扉を開けていきなり飛びついてきた二人に驚きながらも抱きしめる。
う~んこの抱き心地はたまらない。
「えっと」
「この人は確かパパのお友達?」
「そうそう、お友達でお客さんだから少し落ち着きな、お前達に少し話が聞きたいんだとさ」
「話とはどんな内容なのだ?」
「それは本人に聞いてくれ。ほれ入んな」
「お邪魔します……」
少し気圧されながらも入ってくるタイガ、たぶんゲンさんが見せた映像では二人は人型になっていなかったので分からないのだろう。
アオイはすでにお茶の準備をしていた。
「こんにちは賢者」
「こんにちは、えっと」
「リルでいいわよ。それで話とは私から聞きたいの?」
「いえ、できれば皆様全員に聞きたいのですがよろしいでしょうか?」
「私は構わない。カリンとオウカはどう?」
「難しい話じゃないならいいよ」
「私はお祖母様と相談しながら答えるので問題ないのだ」
「ありがとうございます。では早速よいでしょうか」
いったい何を聞きたいのか気になるな。
タイガは賢者、頭の回転なら俺よりも早い。
こいつは昔っから頭が良かった。
「貴女方知性の高い魔物から見た人間はどんな存在でしょうか」
「どんな、と言うと?」
「感想でも構いませんが、魔物側から見た人間と言う種について聞いてみたいので、そう言わせてもらいました」
つまりタイガは魔物が人間ついてどう考えているか聞きたいって事か?
「まず私から言わせてもらうけど、どうでもいい存在だわ。弱く短命な生物。武器や魔法を発展させて対抗してはいるけれど、私から見れば取るに足らない相手よ」
「では自ら害ある存在として排除する事はない、と」
「基本的にはね。でも私たちの縄張りで何かするつもりなら、容赦なく排除させてもらうわ」
「ありがとうございます。では次は……」
タイガがリルに質問をしている内にアオイがお茶を入れてくれた。
話の邪魔をせず、そっと置く姿はまさにプロだ。
「紅い髪の人はどう思ってますか?」
「私はカリンだよ。えっと感想でもいいんだよね?」
「構いません」
「私は人間って複雑な事をいつも考えてる気がする。パパもだけど、良い人と悪い人に別れてて、それに複雑で私には理解出来ないところが多いって思う」
「ちなみに人間に対して怒りなどを感じたときはありますか?」
「あるよ。前にエルフの村を襲おうとしてきた人間は嫌だったから、全員燃やした」
さらっと全員燃やしたとか言わないの。
燃やす発言でタイガの目が大きく開いたぞ。
「分かりました。ではそこの小さい子はどう思ってますか?」
「小さいは止めるのだ。お祖母様、好きに言って構わないか?」
「構いませんよ。ただしちゃんと伝わるように言いなさい」
「うむ。人間にあったのはリュウが初めてであったが、人間はよく分からんと言うのが感想なのだ。おそらくカリン姉さまと同じだと思う。あまり会った事がないと言うのもあるが、リュウの志向を見る限りすぐに答えを出すのは難しいのだ」
「ではせめて人間のイメージだけでもお願いします」
「イメージは……とにかく種として弱いのだ」
伝わったかな~?
結局大した答えはまだ持ってないみたいだし子供にしては答えられた方かな?
「では次にメイドさん」
「私はアオイと申します。ほとんどはリル様と同意見ですが、私は人間を警戒しています」
「警戒ですか?」
「はい。私は長い時間生きていましたが、稀に、本当にごく稀にですが、リュウ様の様な強者が現れる事もありますので警戒はしています」
「現れた場合はどうしますか」
「そこはその者によるとしか言えません。敵となるなら排除しますし、我々に干渉せず生きるのなら我々も干渉する事はありません」
これはどう感じたんだ?
よく言えば敵意を出さなければ襲わないと言ってる様なものだし、逆に言えば敵意があるなら殺すと言ってんだ。
しかも強者が警戒してる発言もどう取るか気になる。
「……分かりました。皆さんの言葉を直接聞けて良かったです」
「何かいい事は聞けたか?」
「収穫はあったよ。皆さん人間に対してそんなに敵意はない事、そしてこっちから戦いを挑まない限りはそっちからも戦う事はもなさそうだ」
どこか疲れたように言うタイガはお茶を一口飲んだ。
一息付くとソファ-に寄りかかる。
「それに皆さんがすぐに話してくれたからスムーズにいけた」
「俺の嫁は悪い子じゃないからな」
俺も茶を飲みながら答えるとタイガは立ち上がった。
「それじゃあ僕はもう行くね」
「茶一杯飲んだだけでいいのか?」
「やっぱりティアの事も気になるし早めに行くよ」
「……フォローよろしく」
「はいはい、いつだってティアをフォローするのは僕の役目だからね」
そう言って部屋を出た。