一夜が明け、何かものすごいベッドから起きると、何故かリル達が人型でそろって寝ていた。
しかも俺にくっ付くように。
確か風呂から出た後に一度俺の中に戻ったはず。
そのあとゲンさんから、ティアに情報としてアオイとの修行姿を記録した映像を見せていいか聞かれて、いいよって言って、その後特にする事もないから寝て……
うん、この状況、俺も知らないわ。
起きたら美人ハーレム、夢いっぱいだ。
しかしこの事はティア達には隠して……いるのか?
最低でもアオイはばれてるだろうけど、他の三人はどうなんだ?
多分アオイが魔物である事はゲンさんから言われたと思うし、どうなってんだろう。
その辺も後で聞いとかないとな。
俺は優しく声を掛けながら皆を起こす。
一応ここにはタイガ達も居るからな。
リルとカリン、オウカは寝ぼけながら起床、アオイだけは赤面してすぐに目が覚めたご様子。
その後、ゲンさんがまた飯だと言ってきたので、タイガやグランさんとも一緒に食堂に行く事になったが、何故か空気が重い。
確かにあまりいい関係を築いてはいなかったが、ここまで空気が重くなる事はしてないはずだ。
「ゲンさん、俺昨日何か仕出かしたっけ?」
「昨日の映像を見てからだ。普通はああなる」
「まさか昨日見せて良いって言ったあの映像?最前線で戦ってるならあのぐらい……」
「だから普通はない。お嬢ちゃんは戦闘よりその後の映像の方がショックだったようだが」
俺がリル達と仲良くしてる映像か。
あれは俺の方からティアに見せて欲しいとゲンさんに言った。
少しでもティアが魔物に対する考え方が変えられればと思って見せるように頼んだが、どうやら少しは効いたらしい。
「それでティアは?」
「かなり混乱していた。教会で教わっていた常識が壊れた瞬間だったからな」
「教会?何でそこで教会が出てくる?」
「文字の読み書きや歴史を学ぶ場合、ほとんどは教会で学ぶ事の方が多い。リュウは違うのか?」
「俺は猟師のおっちゃんや、前の職場で調薬に関する勉強のついでに教わったから知らなかった」
俺が教会に関わったのは精々カードを貰う時だけで、後は特にない。
細かい事ではあったかも知れないが、ろくに覚えていない。
「そうだったか。とにかく教会は魔物を特に敵視している。気を付けておけよ」
「忠告ありがと。教会と何か仕出かすつもりはないが気にしておく」
どうせ何もないと思うけど。
食堂に着くと既に女性陣は着いていた。
女性陣からは特に重たい空気は感じられない。
「リュウおはよ」
「リュウちゃんおはよう」
「リュウさんおはようございます」
「おはよう」
うん。昨日とそんなに変わんない。
思い悩んでいるのは男性陣だけって事か?
その後も特に変な部分は女性陣からはなかった。
普通にお喋りをしながら飯を食って、特に何もない。
飯を食い終わって席を外した時にティアから声を掛けられた。
「ねぇリュウ、この後暇?」
「ん?まぁ確かに用事はないけどなんか用事か?」
「用事っと言うよりはお願いかな」
「だから何だよ、お願いって」
「私とデートして」
…………はい?
デート?何でデートがここで出てくるんだ?
「ダメ?」
「ダメって言うより何でそうなったかが分かんねぇ」
女性陣はにやにやしてるがタイガの奴はコップを素手で割るかも知れないぐらい握りしめてるぞ。
あと俺の中にいるリル達が猛抗議してくるし。
「デートはいいが、良い場所なんて俺は知らねぇぞ」
「問題ないよ。デート先は私が決めてるから」
ゲンさんの話だと混乱してるって聞いてたが、これはその混乱による影響なのか?
しかもタイガの顔がものすごい事になってるし。
タイガくーん笑ってぇ、いつもの優男顔がとんでもない事になってるぞー。
てな事に突然なって、勇者とデートをする事になりました。
行先は不明で決闘前に何してんだよ、と自分でも思う状態になった。
飯食ってすぐに行く事になった勇者とのデート。もちろん後ろには勇者パーティーの参謀、賢者タイガが率先して前に出ている。
せめて邪魔しないように、隠れるなら隠れるでその殺気は止めろ。
デートと言う割には俺もティアもおめかしなんてしてないが、お互い防御力ゼロの普段着と剣を持って国の外に出た。
会話のない移動だが俺から話すには話題もないし、何を望んでいるのかも分からない。
そんな微妙な空気の中で何もない平地に着いた。
「ここならいいかな」
「なぁティア、こんな所に来て何がしたいんだ?」
「会ってみたくって、リュウの従魔に」
「……何でだ?理由によっては会わせらんないぞ」
ティアが俺の従魔を気にする理由はなんだ?
倒すとかそんなんだったら会わせねぇぞ。
「聞いてみたいんだ。何でリュウと一緒にいるのか、何でリュウを選んだのか」
「……傷付けないと約束できるなら会わせてもいい」
「うん。約束する」
だってさどうする?
『私から参りましょうか?恐らく映像から人型で現れても問題ないのは私でしょう』
『私はまだ怖いから遠慮するのだ』
『私も辞めておく、この人はまだ信用できない』
『……アオイさん、今回は私に譲ってくれない?』
リル?
何でお前が?
『勇者がここまで来たのは私のせい、私に話をさせて』
『……危険ですよ』
『大丈夫でしょ、この勇者は私より弱い』
『……分かりました』
『リュウもいいでしょ?』
いいよ。
いざって時は俺が護るから。
そう頭の中で言うとリルは俺の中から狼の状態で出てきた。
ティアはその光景に驚きながらも剣に手を伸ばそうとはしなかった。
『初めまして、勇者。私はリル、リュウの従魔よ』
「初めまして……話せたんだ」
『当たり前よ。それで私がリュウと一緒にいる理由だったかしら?』
「はい、それと何故リュウを選んだのかを聞きたくて」
リルはティアに動じる事無く答える。
その光景を見るとまるで俺とリルの出会いに似ている気がする。
『そうね。一番の切っ掛けは面白かった事かしら』
「面白い?」
『ええ、私を見て動じる事無く接するリュウに興味を持った。同時にこの人間ならお祖父様を助けられるかもと思った』
「助ける?まさか昨日言ってた魔物のボスって」
『私のお祖父様よ。そして私がリュウを連れ去った』
え、それ言っちゃうの!?
流石にまずいんじゃ……
その時、やはりティアから良くないオーラが流れ始める。
「……何でリュウだったの?他にも調教師は」
『何でも何も、リュウ以外の調教師じゃ治す以前の問題だったからよ。他の調教師では唯々泣き喚いて何もしない、魔物に動じない調教師が必要だった。そして偶然見付けたのがリュウだった』
少し強く言ったリルの言葉にティアは言い返せない。
ティアのオーラも揺らぐ。
『感情を持った生物は何も人間だけじゃない。魔物と言われる私達やドラゴンにだってある、血の繋がった誰かを助けようとするのは当然でしょ』
「ならすぐに返してよ!私はずっと心配だった!行方不明になって、もしかしたら魔物に殺されたかもって思う度に頭の中がぐちゃぐちゃになって、おかしくなりそうだった!ううん、おかしくなってた!」
今度はリルが黙る。
静かにティアの言葉を聞く。
「勇者としての仕事をしながらリュウを探して、次の町、次の町って魔物の被害が起こった場所に行って、同時に魔物に殺された人達の安置所に行ってリュウがいないか確認してた!死んでなくて安心したけどすぐに別な場所で殺されてないか、食べられてないか不安だった!」
『それはリュウに文句を言いなさい。森に残ると言ったのはリュウよ』
「え?」
『リュウは力を持っていた。その力を使いこなすために森に残ったのだから』
それを聞くと今度は俺を見るティア、ああ言い辛い。
「そう……なの?」
「まぁ、な。俺が普通じゃないのはご覧の通りだ。だから人に見つからない所で修業したくてさ」
「なんで、別に人前でも……」
「怖くってさ、人間で調教師のくせにとんでもない力があって、それが理由で人間扱いされなくなるのが怖かった」
本当はウルの存在と力を隠すのが目的だったが、まぁいいか。
「そんなの、私は気にしないのに」
「お前がしなくても他の連中は気にするんだよ」
「でも……」
『もう一つは一緒にいる理由だったかしら』
落ち込むティアにリルが強引に話題を変えた。
話題はティアが言ってたもう一つ聞きたい事。
『理由は簡単、好きになったから。それだけよ』
「…………え」
『だって修行していく内にリュウったらどんどん強くなっていくし、ちょっと傲慢な所はあるけど個人的にはそれもいいし』
リルは尻尾を振りながら俺の足に顔を擦り付ける。
それを見たティアはさっきよりも更に危険なオーラを出す。
ごめんちょっと怖い。
「…………魔物は魔物らしく同族と交尾でもしたら?」
『嫌よあんな向上心のない奴らなんて』
「でもリュウは人間だよ。いくら力があっても子供は出来ないよ」
『それは問題ないわ。私が人型になれば良いだけだから』
そう言ってリルは人型に姿を変える。
ティアは驚く場面なのに動揺一つ見せず、唯々オーラと瞳の奥が深く、暗いものに変わっていく。
どう見ても勇者が出しちゃいけないにオーラだよそれ!
「どれだけ姿を変えても結局は犬だよね」
「あら、リュウはこの耳と尻尾をよく喜んで触ってくれるわよ?それに私は狼よ」
「どっちにしろリュウに媚びる雌犬って事は変わんないよね」
「黙れ人間」
「リュウから離れろ雌犬」
だから二人とも怖いって‼
寒気はするは震えは止まらんは体内で残ったカリンとオウカがアオイにくっ付くはで大変な事になってるぞ!
後ろの野次馬共もがくがく震えてるぞ。
『えーっと、リュウ、こんな時だけど報告しなきゃいけないに事が出来た』
何だよウル!あれよりやばい事か?
『アジ・ダハーカが復活する』
…………このタイミングで?
しかも俺にくっ付くように。
確か風呂から出た後に一度俺の中に戻ったはず。
そのあとゲンさんから、ティアに情報としてアオイとの修行姿を記録した映像を見せていいか聞かれて、いいよって言って、その後特にする事もないから寝て……
うん、この状況、俺も知らないわ。
起きたら美人ハーレム、夢いっぱいだ。
しかしこの事はティア達には隠して……いるのか?
最低でもアオイはばれてるだろうけど、他の三人はどうなんだ?
多分アオイが魔物である事はゲンさんから言われたと思うし、どうなってんだろう。
その辺も後で聞いとかないとな。
俺は優しく声を掛けながら皆を起こす。
一応ここにはタイガ達も居るからな。
リルとカリン、オウカは寝ぼけながら起床、アオイだけは赤面してすぐに目が覚めたご様子。
その後、ゲンさんがまた飯だと言ってきたので、タイガやグランさんとも一緒に食堂に行く事になったが、何故か空気が重い。
確かにあまりいい関係を築いてはいなかったが、ここまで空気が重くなる事はしてないはずだ。
「ゲンさん、俺昨日何か仕出かしたっけ?」
「昨日の映像を見てからだ。普通はああなる」
「まさか昨日見せて良いって言ったあの映像?最前線で戦ってるならあのぐらい……」
「だから普通はない。お嬢ちゃんは戦闘よりその後の映像の方がショックだったようだが」
俺がリル達と仲良くしてる映像か。
あれは俺の方からティアに見せて欲しいとゲンさんに言った。
少しでもティアが魔物に対する考え方が変えられればと思って見せるように頼んだが、どうやら少しは効いたらしい。
「それでティアは?」
「かなり混乱していた。教会で教わっていた常識が壊れた瞬間だったからな」
「教会?何でそこで教会が出てくる?」
「文字の読み書きや歴史を学ぶ場合、ほとんどは教会で学ぶ事の方が多い。リュウは違うのか?」
「俺は猟師のおっちゃんや、前の職場で調薬に関する勉強のついでに教わったから知らなかった」
俺が教会に関わったのは精々カードを貰う時だけで、後は特にない。
細かい事ではあったかも知れないが、ろくに覚えていない。
「そうだったか。とにかく教会は魔物を特に敵視している。気を付けておけよ」
「忠告ありがと。教会と何か仕出かすつもりはないが気にしておく」
どうせ何もないと思うけど。
食堂に着くと既に女性陣は着いていた。
女性陣からは特に重たい空気は感じられない。
「リュウおはよ」
「リュウちゃんおはよう」
「リュウさんおはようございます」
「おはよう」
うん。昨日とそんなに変わんない。
思い悩んでいるのは男性陣だけって事か?
その後も特に変な部分は女性陣からはなかった。
普通にお喋りをしながら飯を食って、特に何もない。
飯を食い終わって席を外した時にティアから声を掛けられた。
「ねぇリュウ、この後暇?」
「ん?まぁ確かに用事はないけどなんか用事か?」
「用事っと言うよりはお願いかな」
「だから何だよ、お願いって」
「私とデートして」
…………はい?
デート?何でデートがここで出てくるんだ?
「ダメ?」
「ダメって言うより何でそうなったかが分かんねぇ」
女性陣はにやにやしてるがタイガの奴はコップを素手で割るかも知れないぐらい握りしめてるぞ。
あと俺の中にいるリル達が猛抗議してくるし。
「デートはいいが、良い場所なんて俺は知らねぇぞ」
「問題ないよ。デート先は私が決めてるから」
ゲンさんの話だと混乱してるって聞いてたが、これはその混乱による影響なのか?
しかもタイガの顔がものすごい事になってるし。
タイガくーん笑ってぇ、いつもの優男顔がとんでもない事になってるぞー。
てな事に突然なって、勇者とデートをする事になりました。
行先は不明で決闘前に何してんだよ、と自分でも思う状態になった。
飯食ってすぐに行く事になった勇者とのデート。もちろん後ろには勇者パーティーの参謀、賢者タイガが率先して前に出ている。
せめて邪魔しないように、隠れるなら隠れるでその殺気は止めろ。
デートと言う割には俺もティアもおめかしなんてしてないが、お互い防御力ゼロの普段着と剣を持って国の外に出た。
会話のない移動だが俺から話すには話題もないし、何を望んでいるのかも分からない。
そんな微妙な空気の中で何もない平地に着いた。
「ここならいいかな」
「なぁティア、こんな所に来て何がしたいんだ?」
「会ってみたくって、リュウの従魔に」
「……何でだ?理由によっては会わせらんないぞ」
ティアが俺の従魔を気にする理由はなんだ?
倒すとかそんなんだったら会わせねぇぞ。
「聞いてみたいんだ。何でリュウと一緒にいるのか、何でリュウを選んだのか」
「……傷付けないと約束できるなら会わせてもいい」
「うん。約束する」
だってさどうする?
『私から参りましょうか?恐らく映像から人型で現れても問題ないのは私でしょう』
『私はまだ怖いから遠慮するのだ』
『私も辞めておく、この人はまだ信用できない』
『……アオイさん、今回は私に譲ってくれない?』
リル?
何でお前が?
『勇者がここまで来たのは私のせい、私に話をさせて』
『……危険ですよ』
『大丈夫でしょ、この勇者は私より弱い』
『……分かりました』
『リュウもいいでしょ?』
いいよ。
いざって時は俺が護るから。
そう頭の中で言うとリルは俺の中から狼の状態で出てきた。
ティアはその光景に驚きながらも剣に手を伸ばそうとはしなかった。
『初めまして、勇者。私はリル、リュウの従魔よ』
「初めまして……話せたんだ」
『当たり前よ。それで私がリュウと一緒にいる理由だったかしら?』
「はい、それと何故リュウを選んだのかを聞きたくて」
リルはティアに動じる事無く答える。
その光景を見るとまるで俺とリルの出会いに似ている気がする。
『そうね。一番の切っ掛けは面白かった事かしら』
「面白い?」
『ええ、私を見て動じる事無く接するリュウに興味を持った。同時にこの人間ならお祖父様を助けられるかもと思った』
「助ける?まさか昨日言ってた魔物のボスって」
『私のお祖父様よ。そして私がリュウを連れ去った』
え、それ言っちゃうの!?
流石にまずいんじゃ……
その時、やはりティアから良くないオーラが流れ始める。
「……何でリュウだったの?他にも調教師は」
『何でも何も、リュウ以外の調教師じゃ治す以前の問題だったからよ。他の調教師では唯々泣き喚いて何もしない、魔物に動じない調教師が必要だった。そして偶然見付けたのがリュウだった』
少し強く言ったリルの言葉にティアは言い返せない。
ティアのオーラも揺らぐ。
『感情を持った生物は何も人間だけじゃない。魔物と言われる私達やドラゴンにだってある、血の繋がった誰かを助けようとするのは当然でしょ』
「ならすぐに返してよ!私はずっと心配だった!行方不明になって、もしかしたら魔物に殺されたかもって思う度に頭の中がぐちゃぐちゃになって、おかしくなりそうだった!ううん、おかしくなってた!」
今度はリルが黙る。
静かにティアの言葉を聞く。
「勇者としての仕事をしながらリュウを探して、次の町、次の町って魔物の被害が起こった場所に行って、同時に魔物に殺された人達の安置所に行ってリュウがいないか確認してた!死んでなくて安心したけどすぐに別な場所で殺されてないか、食べられてないか不安だった!」
『それはリュウに文句を言いなさい。森に残ると言ったのはリュウよ』
「え?」
『リュウは力を持っていた。その力を使いこなすために森に残ったのだから』
それを聞くと今度は俺を見るティア、ああ言い辛い。
「そう……なの?」
「まぁ、な。俺が普通じゃないのはご覧の通りだ。だから人に見つからない所で修業したくてさ」
「なんで、別に人前でも……」
「怖くってさ、人間で調教師のくせにとんでもない力があって、それが理由で人間扱いされなくなるのが怖かった」
本当はウルの存在と力を隠すのが目的だったが、まぁいいか。
「そんなの、私は気にしないのに」
「お前がしなくても他の連中は気にするんだよ」
「でも……」
『もう一つは一緒にいる理由だったかしら』
落ち込むティアにリルが強引に話題を変えた。
話題はティアが言ってたもう一つ聞きたい事。
『理由は簡単、好きになったから。それだけよ』
「…………え」
『だって修行していく内にリュウったらどんどん強くなっていくし、ちょっと傲慢な所はあるけど個人的にはそれもいいし』
リルは尻尾を振りながら俺の足に顔を擦り付ける。
それを見たティアはさっきよりも更に危険なオーラを出す。
ごめんちょっと怖い。
「…………魔物は魔物らしく同族と交尾でもしたら?」
『嫌よあんな向上心のない奴らなんて』
「でもリュウは人間だよ。いくら力があっても子供は出来ないよ」
『それは問題ないわ。私が人型になれば良いだけだから』
そう言ってリルは人型に姿を変える。
ティアは驚く場面なのに動揺一つ見せず、唯々オーラと瞳の奥が深く、暗いものに変わっていく。
どう見ても勇者が出しちゃいけないにオーラだよそれ!
「どれだけ姿を変えても結局は犬だよね」
「あら、リュウはこの耳と尻尾をよく喜んで触ってくれるわよ?それに私は狼よ」
「どっちにしろリュウに媚びる雌犬って事は変わんないよね」
「黙れ人間」
「リュウから離れろ雌犬」
だから二人とも怖いって‼
寒気はするは震えは止まらんは体内で残ったカリンとオウカがアオイにくっ付くはで大変な事になってるぞ!
後ろの野次馬共もがくがく震えてるぞ。
『えーっと、リュウ、こんな時だけど報告しなきゃいけないに事が出来た』
何だよウル!あれよりやばい事か?
『アジ・ダハーカが復活する』
…………このタイミングで?