キーンコーン
やけにうるさい鐘が学校中に鳴り響く。
学校の終わりの鐘がなったようだ。今日は誰とも帰る予定がないため、サッと準備して帰路に着く。
この時間はまだ親は家に居なく、いつもは友達とのんびり話ししながら帰るので、親のいる時間帯に帰るのだけど、今日は友達は用があり早めに帰ってしまった。
なので少し公園に行って暇つぶしをしに行こうと思っていたのだけど、妙に暗い顔した同い年位の少年が公園のブランコに座って何か考え事をしてるように見えた。
「そこの君、なに悩んだ顔してるの?」
問いかけると少年は驚いてブランコから落ちてしまった。
その姿がおかしくてつい笑ってしまった。
「急に話しかけてきて驚いた姿を見て笑うのはどうかと思いますよ?」
そう言われると笑いながら謝った。ふとさっきの暗い表情してたのは何故なのかという疑問が頭に入ってきた。
「なんでさっき暗い顔してたの?何か悩みがあるんだったら私が相談にのってあげるよ?」
少年は警戒することも無く、何故悩んでいたかを教えてくれた。その理由はあまりにも不思議だった。少年は記憶がない、いわゆる記憶喪失で自分の名前がなんだったか、ここがどこなのか、親のことも何も思い出せないのだという。瑞希は1つだけ気がかりな点があった。
「なんで君はこんな所にいるの?」
「分からない....」