目の前の神秘的な光景に、四人がごくりと唾を飲む。
「やっべーな。なんかすんごくノドかわいてきた」
「そうね。ここが行き止まりみたいだし、慌てなくてもいいでしょ。
これを調べてみる前に、いったん休憩にしない?」
「「「賛成!」」」
リオの提案に全員が賛成です。
ブリサがローブの中から大きなシートを取り出して地面に敷きました。
思い思いにシートに座り、それぞれがローブのポケットに入れて持参したお菓子を取り出して、シートの中央へ。
「ちょっとまってね。今お水も用意するわ」
リオはそう言ってなにかを抱きとめるように両腕を広げ目を閉じる。
ほんの少し洞窟の気温が下がり、白い霧がリオの前に出来上がりました。
やがてそれは、彼女たちの頭の大きさくらいの水の球体に。
「ふっ!」
リオが短く鋭く息を吐き、パンと手を打つと、水の球が四つに割れる。
「ブリサ、あとお願いできる?」
「は~い♪」
リオの言葉に応え、ブリサが人差し指を立てて軽く振ります。
四つに割れた水の塊が四人の口元辺りに、ふわふわ、ふわふわと。
その水に、まずシィーラがかぶりつきました。
「うんまーい! リオの水、おいしー!」
「ふふん。当たり前よ。私の生み出した水は私と同じで綺麗だからね」
「まあ、この魔法しか使えないけどな」
「あなただって、強化魔法しか使えないじゃないのよ! このおバカ!」
「なんだとー!」
お菓子を挟んで二人の睨み合い。
「まあ、まあ。私も風魔法しか使えないし~♪
この中で魔法二つ使えるの、イトルちゃんだけだよね~♪」
「へ? 私も香り魔法だけ……」
「お鼻よくなるのは強化魔法だよね~」
「ム!」
「クッ!」
「ちょ、ちょっと二人とも目が恐いよ!」
両側からジト目で見られたイトルの目にはまた涙。
ブリサが再び「まあ、まあ」と二人を宥める普段通りの展開でした。
そのあとは、持ち合ったお菓子を食べたり、宙に浮かぶ水を飲んだりしながら、畑で採れたかぼちゃがおおばば様のお尻より大きいだとか、近所のおばさんが豚に転ばされたとか、他愛のない世間話。
「ふぅー。休んだ、休んだ。それじゃあそろそろ、あの魔法陣を調べてみるとしますかね」
満足そうに立ちあがったシィーラが、楽しそうにそう言いました。
「調べるのはいいけど、馬鹿力で魔法陣壊さないでよね。ちょっとでもかけたら効果失っちゃうんだから」
「ち、近くで見るだけにしようね。きっとさわったら怒られるよ」
リオとイトルが続いて立ち上がり、最後にブリサがゆっくりと立ちあがってお片付け。
「わかってる。わかってるって。見るだけ。見るだけ」
シィーラは魔法陣の周りをぐるぐると回ります。
「リオ、これってなんの魔法陣かわかる?」
「さあ? こういうのはイトルが得意よね」
「え、えと……封印とか結界の魔法陣だと……思う」
「封印か。あの真ん中に置いてある四つの瓶を封印してるってこと?」
「うん。もしくは護ってるのかな。たぶん魔法陣の中には入れないと思うよ」
言われてシィーラは魔法陣の上に一歩踏み出そうとしたが、つま先が魔法陣のふちで見えない壁にぶつかりました。
「ほんとだ。すげー。これはボクでも壊せないや」
「壊す気だったわけ⁉」
リオが、呆れて大きなため息です。
「フフフ。それにしてもあの瓶。なんだか不思議だね。吸い込まれそう」
ブリサの言葉に、四人が魔法陣の中央に置かれた四つの小瓶に視線を向けました。
四人の口から言葉がなくなり、その場に立ちつくし、ただただ小瓶を見つめていたのです。
5分ほど経過したでしょうか、まずリオが口を開きました。
「……綺麗ね」
「ああ。欲しいな」
「うん。宝物にしたいね」
「それじゃあ、とろっか~」
感情のこもらない声。
四人が魔法陣を取り囲むように四方へと……。
「魔法陣の魔力と波長を合わせるのよ」
「同時に入らなきゃ駄目だぞ」
「一人でもずれたら転移させられるね」
「管理者にもばれて入り口封じられちゃうかも~」
四人の身体を包む赤黒い光。
「「「「せーの」」」」
四人が同時に、魔法陣に向かって一歩を踏み出しました。
先程シィーラのつま先を弾いた見えない壁は、その効果を発揮することなく、四人の足は魔法陣の中へ。
四人はそのまま同じ歩幅、同じ歩調で魔法陣の中央へ、どんどんどんどん進んでいきました。
小瓶の前でたちどまった四人は、躊躇なく、それぞれ小瓶を手にし、そして……。
蓋を開けたのです。
魔法陣が四人を乗せたまま、赤黒い煙に包まれました。
「やっべーな。なんかすんごくノドかわいてきた」
「そうね。ここが行き止まりみたいだし、慌てなくてもいいでしょ。
これを調べてみる前に、いったん休憩にしない?」
「「「賛成!」」」
リオの提案に全員が賛成です。
ブリサがローブの中から大きなシートを取り出して地面に敷きました。
思い思いにシートに座り、それぞれがローブのポケットに入れて持参したお菓子を取り出して、シートの中央へ。
「ちょっとまってね。今お水も用意するわ」
リオはそう言ってなにかを抱きとめるように両腕を広げ目を閉じる。
ほんの少し洞窟の気温が下がり、白い霧がリオの前に出来上がりました。
やがてそれは、彼女たちの頭の大きさくらいの水の球体に。
「ふっ!」
リオが短く鋭く息を吐き、パンと手を打つと、水の球が四つに割れる。
「ブリサ、あとお願いできる?」
「は~い♪」
リオの言葉に応え、ブリサが人差し指を立てて軽く振ります。
四つに割れた水の塊が四人の口元辺りに、ふわふわ、ふわふわと。
その水に、まずシィーラがかぶりつきました。
「うんまーい! リオの水、おいしー!」
「ふふん。当たり前よ。私の生み出した水は私と同じで綺麗だからね」
「まあ、この魔法しか使えないけどな」
「あなただって、強化魔法しか使えないじゃないのよ! このおバカ!」
「なんだとー!」
お菓子を挟んで二人の睨み合い。
「まあ、まあ。私も風魔法しか使えないし~♪
この中で魔法二つ使えるの、イトルちゃんだけだよね~♪」
「へ? 私も香り魔法だけ……」
「お鼻よくなるのは強化魔法だよね~」
「ム!」
「クッ!」
「ちょ、ちょっと二人とも目が恐いよ!」
両側からジト目で見られたイトルの目にはまた涙。
ブリサが再び「まあ、まあ」と二人を宥める普段通りの展開でした。
そのあとは、持ち合ったお菓子を食べたり、宙に浮かぶ水を飲んだりしながら、畑で採れたかぼちゃがおおばば様のお尻より大きいだとか、近所のおばさんが豚に転ばされたとか、他愛のない世間話。
「ふぅー。休んだ、休んだ。それじゃあそろそろ、あの魔法陣を調べてみるとしますかね」
満足そうに立ちあがったシィーラが、楽しそうにそう言いました。
「調べるのはいいけど、馬鹿力で魔法陣壊さないでよね。ちょっとでもかけたら効果失っちゃうんだから」
「ち、近くで見るだけにしようね。きっとさわったら怒られるよ」
リオとイトルが続いて立ち上がり、最後にブリサがゆっくりと立ちあがってお片付け。
「わかってる。わかってるって。見るだけ。見るだけ」
シィーラは魔法陣の周りをぐるぐると回ります。
「リオ、これってなんの魔法陣かわかる?」
「さあ? こういうのはイトルが得意よね」
「え、えと……封印とか結界の魔法陣だと……思う」
「封印か。あの真ん中に置いてある四つの瓶を封印してるってこと?」
「うん。もしくは護ってるのかな。たぶん魔法陣の中には入れないと思うよ」
言われてシィーラは魔法陣の上に一歩踏み出そうとしたが、つま先が魔法陣のふちで見えない壁にぶつかりました。
「ほんとだ。すげー。これはボクでも壊せないや」
「壊す気だったわけ⁉」
リオが、呆れて大きなため息です。
「フフフ。それにしてもあの瓶。なんだか不思議だね。吸い込まれそう」
ブリサの言葉に、四人が魔法陣の中央に置かれた四つの小瓶に視線を向けました。
四人の口から言葉がなくなり、その場に立ちつくし、ただただ小瓶を見つめていたのです。
5分ほど経過したでしょうか、まずリオが口を開きました。
「……綺麗ね」
「ああ。欲しいな」
「うん。宝物にしたいね」
「それじゃあ、とろっか~」
感情のこもらない声。
四人が魔法陣を取り囲むように四方へと……。
「魔法陣の魔力と波長を合わせるのよ」
「同時に入らなきゃ駄目だぞ」
「一人でもずれたら転移させられるね」
「管理者にもばれて入り口封じられちゃうかも~」
四人の身体を包む赤黒い光。
「「「「せーの」」」」
四人が同時に、魔法陣に向かって一歩を踏み出しました。
先程シィーラのつま先を弾いた見えない壁は、その効果を発揮することなく、四人の足は魔法陣の中へ。
四人はそのまま同じ歩幅、同じ歩調で魔法陣の中央へ、どんどんどんどん進んでいきました。
小瓶の前でたちどまった四人は、躊躇なく、それぞれ小瓶を手にし、そして……。
蓋を開けたのです。
魔法陣が四人を乗せたまま、赤黒い煙に包まれました。