藤堂は颯爽と前の方に出て行き支社長の隣に優雅に立った。
「皆さん、ただいま支社長よりご説明がありました通り、一身上の都合で今月いっぱいを持ちまして退職する事になりました。
この仕事に就いて二十年。マネージャー職を拝命してからは十年という長きにわたり、会社には大変お世話になりました。
志半ばにしてこのような事態になりとても残念ではありますが、私なりに深慮しての事です。皆さんはこれからも変わらず仕事に励んで行かれることを切に願いまして、わたくしの最後の挨拶とさせて頂きます…」
あたしは流暢に話す藤堂を見ていて、なんだか頭が痛くなってきた。
多分あたし以外の三人も同じ気持ちでいるに違いない。
だってこんな事、全然聞いてないし!
支社長は何も言ってくれなかったけど…
どういう事なのかすぐにでも説明をして欲しかった。
だけどそんな事をこの場で言えるはずもない。
あたしはただ、微笑んでいる藤堂を睨みつけるように見る事しかできないでいた。
そして藤堂はそんなあたしの視線に気づき、不敵な笑みをあたしに返してきた。
背筋がスーッと寒くなる…。
あの顔は…
まるで
「覚えていなさい」
とでも言いたいような顔だ。
「皆さん、ただいま支社長よりご説明がありました通り、一身上の都合で今月いっぱいを持ちまして退職する事になりました。
この仕事に就いて二十年。マネージャー職を拝命してからは十年という長きにわたり、会社には大変お世話になりました。
志半ばにしてこのような事態になりとても残念ではありますが、私なりに深慮しての事です。皆さんはこれからも変わらず仕事に励んで行かれることを切に願いまして、わたくしの最後の挨拶とさせて頂きます…」
あたしは流暢に話す藤堂を見ていて、なんだか頭が痛くなってきた。
多分あたし以外の三人も同じ気持ちでいるに違いない。
だってこんな事、全然聞いてないし!
支社長は何も言ってくれなかったけど…
どういう事なのかすぐにでも説明をして欲しかった。
だけどそんな事をこの場で言えるはずもない。
あたしはただ、微笑んでいる藤堂を睨みつけるように見る事しかできないでいた。
そして藤堂はそんなあたしの視線に気づき、不敵な笑みをあたしに返してきた。
背筋がスーッと寒くなる…。
あの顔は…
まるで
「覚えていなさい」
とでも言いたいような顔だ。