「そう…ですよ、ね…」

「そう。だから今後マネージャーがどう出てくるか、誰を使って来るかもわかんない。今まで以上に気を張り巡らせとかなきゃいけないと思う…」

眞子の言葉に麻美がわかりやすく怯える。

「なんか…怖い…。殺されたり、しませんよ、ね?」

「大丈夫だよ!さすがにそこまでしたらヤバいでしょ!あたし達を殺した所で、あの女にはなんのメリットもないって!」

あたしは豪快に笑いながら麻美に言った。

「とにかく、今は支社長からの連絡を待つしかない。で、今できる事。ひとつでも多く契約を取る事!もちろん、正しいやり方でね!」

眞子の言葉に全員がうなずいた。



その次の日もまたその次の日も、支社長からはなんの連絡もない。

が、藤堂も目立った動きはなく、あたし達に発破をかけてくることさえなくなった。

あたしは何度か眞子に進言した。
支社長にこちらから連絡してみたらどうか、と。

でも眞子は頑なにこちらからは連絡しないと言い張った。

支社長を信じているという自分たちの気持ちを表すためにも、待つ方が得策だと言った。

そしてとうとう、その月の営業締切日の前日になった。

締日の前日は、翌日一日で一件でも多く契約を取れという営業職員への最後の通達がある日だった。