四人でエレベーターに乗った途端、口を開こうとしたあたしをまたもや妙子が制した。

「知ってる?エレベーターの中の話し声って、意外と外に聞こえてるんだよ」

「えっ…?そう、なんですか?」

それは知らなかった…。
だから止めたのか…。

「とにかく、うちに行こう」

眞子が声をひそめて言った。

あたし達は再び眞子の自宅に集まる。
携帯から支社長に電話を入れようとしている眞子に驚いた。

「日比谷さん…支社長の番号知ってるんですか?」

あたしが驚いて尋ねると眞子はニッコリと微笑んだ。

「この前、支社長から直接教えてもらったの。なんかあったらかけてもいいって」

そうか…だから眞子は支社長を疑わなかったのか…。
眞子はあたしの気持ちを察したのか続けて言った。

「電話かけてもいいって言ってくれた人が、そのまま所長に告げ口するかな?
多分あれは所長の芝居だと思う。あたし達をぐらつかせるための…」

「ぐらつかせる…?」

久しぶりに麻美が口を開いた。
今日はほとんど声すら聞いていなかったもんね…。

「つまり、内部に疑いの目を向けて、そこから仲間意識を崩す…。そうすれば、所長やマネージャーが何もしなくても自分たちの方からダメになっちゃうじゃない?」

妙子がそう補足説明をした。