「どうやら二人とも思い当たるふしがあるみたいだね。だったら、自分たちの事を棚に上げてマネージャーを貶めるような事はやめなさい。それができないなら、仕事を辞めてもらわなきゃいけなくなるよ」

「所長…なぜ、あたし達がマネージャーを貶めなければならないんですか…?」

ずっと沈黙を守っていた妙子が、所長に尋ねた。

「金曜日に支社長に会いに行ったらしいね」

あたしは愕然となった。
やっぱりバレてた…。
なんで?
支社長が言ったの?

「支社長がわざわざ電話してくれて教えてくれたんだよ」

所長はいやらしくニヤけながら言った。

あたしは怒りのあまり椅子から立ち上がった。
が、またしても隣の妙子に腕をつかまれ再び座らされる。
妙子を睨みつけるともっと厳しい顔で睨まれた。

なんでよ…?
みんなは裏切られたのに腹立たないわけ?

あたしがそう思っていると眞子が言った。

「所長…嘘つかないで下さい…。あたし達、そんな嘘に騙されませんから」

「フッ…。嘘だと思いたいなら思ってくれて結構だけどね。これ以上、藤堂マネージャーを追い込むような事をするなら、僕にも考えがあるからね。話はそれだけです。仕事に戻って下さい」