あたしがそんな事を考えていると所長が切り出した。

「早速だけど、君たちも思い切った事をしたもんだね…。自分達がした事がどういう事なのか、わかってる?」

いきなりの所長のその言葉にカッとなる。
あたしの顔色が変わった様子に気づいて、所長が続ける。

「飯田さん。ほら、君はそうやってすぐ顔に出す。それじゃ営業は難しいね」

何それ…
アンタには言われたくないんだけど…
あたしは怒りを抑えながら言った。

「何の…話ですか…。今、そんな事関係ないんじゃないですか?」

所長はバカにしたように笑いながら尚も続けた。

「関係ない事はないよ。君たちの査定では、人間性も多少は評価の対象になるんだからね」

人間性って…
どういう意味よ?
あたしは所長の言ってる事が理解できずに黙る。

所長はまるで自分が天下を取ったかのように横柄な態度で、今度は眞子に向かって言った。

「日比谷くん。君はもう少し賢い人だと思ってたんだけどね。残念です」

眞子は落ち着いた様子で所長に答える。

「所長のおっしゃる意味が…よくわかりませんが…」

眞子の言葉を聞いて、所長は大声をあげて笑った。

「いやぁ、やっぱり藤堂マネージャーの言ってた通りだね。日比谷くんと飯田くんは」