応接スペースに入ると、そこにはあたし以外の三人が既に座っていた。
あたしに座るよう促して、所長がまわりに聞こえないような声で話を始めた。

「まず、今朝は藤堂マネージャーは直行でいないから。それから、朝礼後に皆さん四階の会議室に来て下さい。話はそれだけです。席に戻っていいですよ」

あたしは何か嫌な予感がした。
藤堂の直行は、おそらくM市の支社だろう。

支社長は…

まさか所長に先週の事を話したんだろうか…。

思わず眞子の方を見ると、『大丈夫』といわんばかりに強くうなずいた。

朝礼後、あたし達は所長に言われた通り四階の会議室に向かった。
ドアを開けると長机のまわりに椅子を並べている所長がいた。

簡単な対話スペースが出来上がり、あたし達は所長に向かい合って四人が横並びで座る。
ふんぞり返るように座った所長はいかにも不機嫌丸出しの顔であたし達を見る。

うちの所長、年齢は三十三歳とまだ若い。

若いけど、この人は都会から来た人とは思えないくらい、ダサい。

顔もフツーだし、ちょっと小太りだし、背も低いし、ネクタイのセンスなんかもう論外。
だったら愛想がよきゃマシなんだけど、それもないんだよね…。