「日比谷くん…。君の言う事はもっともだ。私も人の道に外れてまで成績をあげろというつもりなど、ないからね。ただね、私の立場上君たちの話だけ聞くというわけにはいかない。藤堂くんにも同じように話す機会を設けるつもりだが、それは構わんね?」

あたしは予想していた事とはいえ、悔しくて唇をかみしめた…。
いくら非道な事をしているとはいっても、相手はマネージャー職にある人間だ。
いわゆる管理職なのだから、支社長もあたし達の話だけ聞いて処分するというわけにはいかないのだ。

「もちろん、支社長のおっしゃる事はわかります。ただ、あたし達の言っている事はどこにも証明するものがありません。あたし達四人か藤堂マネージャーか、支社長がどちらを信じるかだけです」

支社長は眞子を真っ直ぐに見つめて言った。

「むろんだ…。君たちも、私を信じられるか信じられないか…それだけだ…」

支社ビルを出たあたし達はとりあえずどこかで休憩する事にした。
コインパーキングの近くにある定食屋に入り、軽く食事をする。
車の運転があるから飲めないのが残念だったが、みんなでお茶を片手に乾杯した。