会議終了予定時刻から十五分ほど過ぎたあたりで、妙子の携帯が一回だけ鳴った。

妙子がすぐに確認し眞子からの着信だと告げると同時に、あたし達は揃って店を出て支社ビルへ向かった。
眞子から聞いていた通り七階の支社長室を目指す。

途中で出会った職員に訝しげな顔で見られたが、それは仕方がない。
あたし達が誰かまではわからないだろう。

エレベーターが七階に到着し、あたし達は支社長室へ直行した。
妙子がドアをノックすると、中から支社長の声で「どうぞ」と聞こえた。

「失礼します!」

あたし達は、妙子を先頭に支社長室に入った。
そこにはソファに座っている支社長と、向かいのソファに座っている眞子がいた。

「どうぞ。皆さん、適当に座って」

支社長の言葉に従い、ギュウギュウになりながらもなんとか四人が座る。
座ったのを確認して支社長が切り出した。

「大筋は今、日比谷くんから聞いたよ。藤堂くんもとんでもない事を言ったもんだね」

「支社長、あたし達は、マネージャーの言う事を聞く気はありません。あくまでも、人として、正しいやり方で営業活動をしたいんです」

眞子がきっぱりと言った。