みんなの顔が不安で暗くなる…。
あまりにもゲリラ的な作戦に、どうしても賛同しかねているのだ…。

すると眞子はさらに続けた。

「アポを取るにしても、何の話で支社長に個別に会うのか、絶対に聞かれるわ。それに…約束までに時間があけば、支社長が誰かに漏らさないとも限らない…。藤堂は汚いその触手をどこまでも伸ばしている可能性がある…。ここにいるあたし達四人以外は…はっきり言って信用できない…」

確かに…
そう言われると、いきなり直談判する方が確実かもしれない…。

あたしの脳裏には、「訴え状」を竹につけてお代官様に訴える農民の姿が浮かんでいた…。
まさにあれね…。

「あたし…日比谷さんの意見に賛成です…。委員会が終わるまで、支社ビルの近くで待機してますから…終わったら連絡を下さい…」

あたしの言葉に妙子も賛同する。
麻美はまだ決めかねているのかうつむいたままだ。

「麻美…アンタは無理しないでいいよ…。誰かがやればいい事だからね…」

あたしがそう言うと、麻美は顔をあげて眞子の目を見て言った。

「いえ…あたしも、あたしも行かせて下さい!同じ班の仲間として…、あたしも一緒に行きます!」

そしてあたし達は決行の日を今週の金曜日と決め、それまでは藤堂に気取られぬよう細心の注意を払うと約束した。