あたしは懲りずに藤堂に言い返した。

「お言葉ですが…。てっとり早く取った契約は、解約も早いんじゃないですか?少なくとも、継続して頂かないと、会社にとっても利益が出るどころか、経費ばかりかさむと思いますけど」

「ククク…。ほんとに、アンタはわかってないわね…。とりあえず契約してもらったら、アフターケアは絶対でしょう?むしろ、契約よりもそっちの方が大事よねぇ?」

どういう事?
コイツは契約のためだけじゃなく、契約後も継続してもらう為あたし達に人の道から外れた事を強要する気か?

話にならない…。
あたしは勢いよく席を立った。
そして踵を返して部屋を出て行こうとすると、あたしの背中に向かって藤堂が小汚い言葉を吐いた。

「ねぇ…飯田さん…。あたしがお願いした事…。したくてもできないセールスレディだっているのよ…。あなたは年齢のわりに若く見えるし…、見た目だっていい。言ってもらえる事、むしろ喜んでもらいたいわね…」

コイツ…
狂ってる…。
そうでなきゃ、こんな事を平気で言えるはずがない…。

「マネージャー…。あたし、会社の倫理委員会に訴えるつもりです…。覚悟しといて下さい…」

あたしは捨て台詞を残して部屋を出た。