その日営業所に戻ったあたしは、予想通りマネージャーに呼ばれて会議室に行った。

「今日の成果を聞かせてもらおうかしら」

「どうして、個別なんですか?いつもみたいに所内でやればいいじゃないですか」

あたしがそう言うと、藤堂は大声で笑いだす。

「アッハッハ…。飯田さん、みんなに聞かれても平気なの?気を遣ってあげたつもりだったのに、おせっかいだったみたいね?」

「…どういう…意味ですか…」

「そのまんまの意味よ。指示通りに動いたんでしょう?だったらその報告をしてちょうだい」

藤堂はそう言って、あたしが口を開くのを待っている。

「今日は…時田さんと二人で、リストにあげた人にアポを取って会いに行きました。それで、その内の一人は現在加入中のものが古いので、新しくプランを…」

まだ話をしている途中だというのに、藤堂はそれを遮るように怒鳴った。

「そんな話を聞きたいんじゃないわ!まさかあなたたち、あたしの指示に従わなかったって事?」

「…………」

「あのね、飯田さん。マニュアル通りのやり方で契約が取れるなら、誰も苦労しないの。そんな悠長な事やってたら、埒があかないから、すぐに取れる方法を教えてやったっていうのに…」

藤堂は、呆れたようにため息をついた。