あたしが所属する班は常に営業所内ではトップの成績をおさめていて、支社の中でもかなり優秀な班だった。
何度も支社長や社長から表彰され、そんな班のトップの座におさまっている藤堂はその座を守る事にも必死になっていた。

そんな中、その月は珍しく月の半分の営業日を経過してもまだ目標の数字に達していなかった。
毎朝班のミーティングで発破をかける藤堂だったが、その日は班ミーティングが終わったあとに一人ずつ会議室に呼ばれた。

一人ずつ呼ばれるなんて事は今まで一度もなかっただけに、あたしはすごく不安になっていた。
先に呼ばれていた麻美が次の番であるあたしを呼びに来た時に話の内容を聞いてみたが、麻美はうつむいたまま無言だった。

あたしは不安に拍車がかかったが、マネージャーの命令には背けない。
仕方なく部屋に向かった。

そして藤堂から言われた言葉に、あたしは耳を疑った。
それは到底呑めるはずのないような要求だった。

しかもそれを、あたしにだけさせるつもりなのか?
いや、そんなはずはないだろう。
さっきの麻美の様子からして、きっと麻美も同じ事を要求されたはずだ。