こんな年になってもやっぱり百点とかって嬉しいもんなんだ。
あたしは自分でも笑いをこらえる事ができず、所長のように満面笑顔になってしまった。

所長がそんなあたしに、「飯田さんも、それくらい笑った方がいいですよ」
と言ってまた笑った。

あたしはお礼を言って営業所を出て、会議室に向かった。
部屋に入ると四人も来ていて、みんなの笑顔を見たあたしはすぐにみんなも合格したとわかった。

「受かった?」

あたしの言葉に全員が笑顔でうなずいた。



そしてとうとうこの日がやってきた。
研修最終日。

今日が終われば明日からみんなそれぞれの所属の営業所に戻り、営業としての仕事がスタートする。
同じI市内だけど営業の仕事は一日中色んな所に出かけているから、偶然に会える事は少ないだろう。

あたしは朝から寂しさをこらえ、わざと冗談を言ったりしてなんとか午前中をやり過ごした。
それが午後の講義も終わりに差し掛かった時、トレーナーが研修終了の挨拶をし始めると富美子がうつむいて泣き出した。