「……!!」

そして唇を離した後敏生を抱きしめる。

「嘘よ…ごめんね…。わかった。アンタの言う通りにするわよ…。トレーナーの試験、受けてみるわ…」

「尚美…」

見つめ合いながら、これからの二人の未来を少しだけ想像してみる。

きっとこれからもケンカしながらこうやってひとつずつ時を刻んで行くんだろうな…。

でもあたし達にはそれがよく似合ってる。

そうやって包み隠さずお互いに気持ちをぶつけ合っていく、それがあたし達の愛のカタチだから。
これからもこうやって愛を確かめて行くのが…
きっとあたし達にはお似合い。

そして敏生はいつも通り、あたしが一番欲しい言葉をくれる。

「ありがとな…。俺、何があっても絶対にお前を守る…。二度と…お前が辛い思いしなくてもいいように…。何が何でも守るから…」

何かうまい言葉で返事をしようと思うけど…
なかなかいい言葉が出てこない。

あたしは敏生を見上げながら言った。

「アンタ、やっぱりメガネない方がいいわ」

なんの脈略もなく言ったあたしに敏生は再び不機嫌になる。

「は?んだよ、それ? それはねーだろ?もっと他に言う事ねーのかよ?」

クスッと笑ったあたしにいつまでも敏生が文句を言い続ける。

あたしはコツコツとヒールの音をアスファルトに響かせながら車に向かって歩き出す。
敏生が後ろから文句を言いながら追いかけてくるけど、知らん顔をしたまま。

そうやって、ずっとあたしを追い続けてよね…。

あたしの大切な大切な…
…愛しい男…



--- The End ---