レストランのスタッフにお礼を言って、富美子と水谷さんと別れたあたし達は車で帰路についていた。
車の中で嬉しそうにしている敏生に言う。

「アンタ、よかったわね。水谷さんとダチになれて」

あたしの言葉に珍しく素直に敏生がうなずく。

「ああ…。俺も初めてだよ…。自分のダセー話も気軽に話せるような男」

「結構年が離れてるけど、話合うの?」

「ん?ああ…そう言われればそうかってくらいで。年の差は、あんまし気になんねーな。それくらい、違和感がない」

そうなんだ…。
アンタが言うなら、ほんとにそうなんだね。

あたしと富美子が友達でも、そのダンナ同士が仲良くなれるとは限らないから。
それを聞くとあたしもすごく嬉しかった。

「尚美…。ちょっと寄り道しないか…?」

家に向かっていたあたしに、突然敏生が提案してきた。

「寄り道って…どこに…?」

「俺と尚美の思い出の場所」

敏生との思い出の場所…?
あたしはどこなのかすぐにわからず、考えを巡らせる。
色んな場所で偶然に遭遇したりはあったよね…。
M市でも、あたしの営業所があるI市でも、そういう事があった。