氷メガネが愛おしそうに見つめていたもの…。

それは、チョコレートと生クリームがたっぷりの…パフェだった。
ヤダ…、超甘そう…。

そう思って見ていると、アイツはまるで大切なものを扱うかのように、そっとスプーンでチョコがかかったクリームをすくい、ゆっくりと口に運んだ。

その口を閉じた瞬間…。
アイツは今まで見た事もないほどの満面の笑顔になった。

信じられない…。
アイツって甘党だったんだ。
ていうか、何あのだらしない顔…。

あたしはアイツの嬉しそうな笑顔を見て、自然と自分も微笑んでいる事に驚いてしまった。

すごいモノ見ちゃった…。

あ、よく考えてみたら、富美子たちってもうすぐここに来るんじゃ…。
あたしは焦って富美子にメールを打った。

『ごめん!やっぱ駅ビルのカフェやめて、Hデパートの一階の喫茶店に変更!』

ハラハラしながらメールの返信を待つ。

するとすぐに富美子から、『リョーカイ(^_^)v』と返事が来た。
あたしは慌ててカフェを出て、Hデパートへ急いだ。

走りながらふと気づく。
なんであたしはこんなに焦ってるんだろ…。
アイツのあの姿を、みんなに見られたらマズイなんて…
そんなのどうだっていいはずじゃない…。