「いやいや、一番悪いのは俺なんで!俺が水谷さんに頼んだんだから…」

あたし達のやりとりを見兼ねて張本人が名乗りをあげた。

「そーよ!知らなかったのはあたしだけなんて…。サプライズはもうしないんじゃなかったの?」

また涙が出そうで、あたしは鼻をすすりながら敏生を責めた。
そこへ再び水谷さんが割って入る。

「いや、相談された僕が、どうせなら僕らのお披露目と一緒にしようって言ったんですよ。それまで飯田さんにはナイショにしようって言ったのも僕です」

あたしは驚いて水谷さんを見た。

「なんで…?なんで、そんな事を?」

水谷さんはあたしの質問に一度大きく深呼吸してから答える。

「一番の理由は、僕と富美子は二人ともバツイチバツニで、今更披露するのは恥ずかしかったという事です。でも、僕は…その…初めて心から愛する女性に出会えて…何か記念を残したくなったんです。でも富美子はなかなかうんと言ってくれなくて。だから僕も、伊藤さんの相談は好都合で…。富美子も飯田さんと一緒ならやってもいいと言ってくれたので…」

そう、だったの…。

そこへ敏生も水谷さんを加勢するかのように語り始める。