ホールの前方に設えられた小さなステージに富美子と水谷さんが寄り添うように並んで立っている。

水谷さんは彼女をこれでもかっていうくらい蕩けそうな瞳で見つめている。

それにしても富美子…すごくキレイなんだけど…
なんていうか、幸せそう…。

見とれているあたしの手を敏生がそっと取り、そのまま優しく握りしめる。
見上げたあたしに目を細め微笑んでくれると、あたしも胸が熱くなってなんだか泣きそうになってしまった。

目の前のキレイな富美子をボーッと見つめながらさっきまでの事を思い起こしてたあたしは完全に油断してて…。

気付いたらやっぱり、ブーケはあたしを目掛けて飛んできた…！

富美子ってば鈍くさい割にコントロールいいんだから…。

「次は尚美ちゃんね！」

富美子の嬉しそうな叫び声に、恥ずかしすぎるあたしは思わずブーケで顔を隠した。
すると敏生がブーケをヒョイと取り上げ…

驚きで見上げたあたしにそのままキスを落とした。

会場にいたお客の何人かがヒューッと指笛を吹く。
敏生は冷やかすお客に笑顔で手を振っている。

ちょっと…主役の二人に失礼じゃないの…。

あたしがそう思っていると、突然マイクから水谷さんの声が聞こえてきた。