「尚美は私の婚約者です。近々塚本さん同様、私達も結婚しますからどうぞよろしく」

敏生の言葉が眞子を固まらせ…
これでもかというくらい、口をポカンと開いたままでいる。

そして次に放った敏生の一言で眞子はさらにその身を縮みこませた。

「日比谷マネージャー。まがりなりにもマネージャー職にある方がする顔じゃないですよ。もう少し感情をコントロールするスキルを身につけて下さい」

眞子は固まりながらもなんとか途切れ途切れに声を出して答える。

「はい…。申し訳…ありません…。第一グループ長…」

敏生は一瞬だけ口角を上げ、眞子の隣で相変わらず固まり続けている妙子にも冷たく言葉を放った。

「日比谷さん、雲居さん。私はこれでも自分が勤務していた支社に所属している職員の事は忘れません。たとえそれが営業の職員であっても…です。事務方の職員はもちろん、それ以外の職員の事も把握しておかなければ内務次長職は務まりませんからね」

敏生の言葉に二人はさらにハハーッと頭を深く下げた。

畏まりまくっている二人を見るに見兼ねて敏生に小さく声をかける。

「もう…そのくらいにしてあげてよ…。恐縮しまくりで可哀想じゃない…」

あたしの言葉が聞こえたのか眞子と妙子がパッと顔を上げた。