「おめでとう！！」

お祝いの言葉が会場のあちらこちらから飛んでくる。

クラッカーの音、拍手の音。
そして笑い声。

幸せを象徴する音の全てが今、この空間のためだけに存在している。

そしてその音の中心で恥ずかしそうに微笑んでいる…
あたしの同期で親友の富美子…。

今日は富美子と水谷さんの結婚をお祝いするパーティー。

あたしも招待を受けて馳せ参じた所だ。
あたしの隣には…
笑顔で拍手をしている…
敏生。

ふと見上げると、すごく優しい瞳で主役の二人を見守るように見つめている。

その端正な顔を隠している分厚いメガネはない。
彼のトレードマークともいえるあのメガネは、もうしていない。

決して視力が回復したわけではなくコンタクトにしたんだけどね。

なぜかって…？
それはもちろん…

メガネのない敏生の方がカッコいいから。
ただそれだけの理由。

ダメ？
その程度の理由じゃ？

イケメンってバレたら、寄ってくる女がいるんじゃないかって富美子に散々心配された。
確かにアイツがカッコいいからって不安に苛まれた日もあるけど…
でも、もう…大丈夫…。
誰よりもあたしを愛してくれてるって…さすがにわかったから。