「普通に言えば…いいじゃない…。こんな…演出しなくったって…」

どうして氷メガネがここまでの演出をしたのか。
そこまでしないと言えなかったのか。
それをあたしはわかってあげていなかった。

その…繊細な…
秘められた本心を…。

「だから…俺はヘタレって事…。こんだけセッティングしなきゃ…言えないくらい、な…」

自嘲気味に笑う氷メガネに愛しさが募る。

あたしはその頬に手を当てて言った。

「バカ…。断るわけ…ないじゃない…。何、ビビってんのよ、今さら…」

そして氷メガネの頭を自分の胸に押し当て、しっかりと包み込む。

「おい…尚美…苦しーっつーの!」

氷メガネはあたしからパッと離れ、荒くなった息を整えた。

「ごめん…!大丈夫?」

「ったく、お前は…。殺す気か?」

あたしがバツ悪そうにうつむくと、再び氷メガネはあたしを優しく抱きしめた。