「あ…あたし…。ごめん…なさい…」

謝ると抱きしめてくれる腕はさらに強まって。

「ほんとに…あたし…」

「悪いのは俺だ。尚美は…悪くない…」

氷メガネはあたしの体をそっと離し、あたしを切ない瞳で見つめた。
そしておもむろにポケットから見覚えのある箱を取り出す。

それって…
さっきの…?

箱の中にはさっき見た、眩しいほどの輝きを放つ宝石…。

でもあたしはこの美しい宝石を身に着けるにふさわしい女なのだろうか…

そう思ったら急に自信がなくなる。

こんなあたしが…
氷メガネにふさわしいのか…
今さらだけど…
今頃こんな風に思っても仕方ないかも、しれないけど…。

「尚美…左手…出して?」

氷メガネが優しく目を細めてあたしを見つめている…。
あたしは嬉しくて、今にもコイツに抱き着いてしまいそうだけど…。

でも…ためらいが…
捨てきれない…。

「尚美…?どした?」

そんなに優しい声で…
あたしの名前を呼ばないでよ…。

そんなに優しい目で…
見つめないで…。

辛く…なるじゃない…。