約二週間の研修期間を終えると、試験の日がやってくる。

一ヶ月の研修期間の前半の集大成がこの試験。
これに合格しなければ営業の仕事ができない。

あたしは一度は取っている資格だから、当然合格するものだと思われている分、プレッシャーも大きかった。
毎日研修が終わって帰宅してからも、夜中まで勉強を続けた。

一見チャラく思われがちなあたしだけど、裏では結構努力してる。
それはもちろん、また営業の仕事で頑張ってそれなりの収入を得たいのと…

やっぱりアイツ…
氷メガネに対する対抗意識もあるのかもしれない。

明日行われる試験は午後からM市にあるビルで行われる。

午前中は最終の仕上げとして過去問を解きまくり、その後列車でM市まで全員一緒に行く。
さすがにみんな明日の試験を目前にして緊張しているようだ。

奈津子と祐実は、「あたし絶対無理!落ちる!」と連呼している。
恭子も模擬試験の成績が思わしくなかったらしく、今日も居残りで勉強すると言っている。

落ち着き払っているのはあたしと富美子だけだった。

あたしは富美子に尋ねた。

「富美子、落ち着いてるね。自信あるの?」