『飯田さんをかばったって…、なんか言われたの?』

眞子が心配そうに尋ねる。

「日比谷さんも知ってるようないつものやつですよ。嫌味たっぷりで挑戦的な態度…。あれです…。でも、もとはと言えばあたしが悪くて言われたんで、言い返せなかったところに塚本さんが、いくらなんでも言い過ぎだって言ってくれて…」

『なるほどね…。なんとなくわかった』

「すみません…。お忙しいのにあたしのせいで面倒な事になっちゃって…」

『いいのいいの!人間相手の商売だからこっちの思惑通りにならない事いっぱいあるでしょ?今回の事もそれとおんなじだってば。色んなトラブルが起きるのは当然だし、起きたらそれにどう対処するか。それがあたしたち営業職の仕事だよ』

「日比谷さん…」

『大丈夫。富美子の事はあたしが守るし、妙子だっているんだから。あたしと妙子がタッグを組めばなんてことないわよ』

それは本当に心強い。静と動のような二人だけど長年コンビを組んで仕事をしているだけに阿吽の呼吸で、きっと数多の困難を乗り越えて来たんだろうと思う。

「よろしくお願いします…」

眞子に頼んだのは念には念を入れてと思ったからだけど、あたしも。
百戦錬磨の二人に比べたら無力だけど、せっかくの縁で出会えた大切な同期をアイツの餌食なんかにしたくない。

なんとしても守りたい…。

何があっても今度は逃げたりしない。
そう強く誓った。