でも、あの人、今は本社でしたっけ?相変わらずあんな感じなんでしょーね。しかもまだ結婚してないだろうし」

まあ、それも当たってんだけどね。
もうそのくらいでいーでしょーが、アイツの話は。

あたしが奈津子の話に返事もせずにいると、奈津子があたしの顔をのぞきこんできた。

「なんか、尚美さんおかしくないですか?さっきから黙ってなんも言わないし。前はあんなに一緒になって悪口言ってたのに」

え?
アンタって鈍感そうに見えて案外鋭いの?

「そ、そんな事ないわよ…。だってもういない人だし、さ。どーでもよくない?」

あたしは精一杯虚勢をはってそう言った。

「まあ、確かにどーでもいいですけど」

なぜか頬をふくらまし機嫌を悪くしながらも奈津子はそう言った。

今からみんなでお茶しようと誘われたが、あたしはどうしても富美子と二人で行きたかったから適当な理由をつけて断った。
奈津子たちには申し訳ないけど…。
この子たちにはまたそのうち埋め合わせするから。

あたしは口に出せないまま心の中で奈津子たちに謝りながら、富美子との待ち合わせのお店に急いだ。